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姫野カオルコおすすめ作品8選をご紹介~常に読者目線で描く~

濃密さが漂う文章を描く、姫野カオルコ氏のおすすめの作品8選をご紹介させていただきます。

姫野氏は書くことが大好きで、小学生の頃から作家になることを志していて、大学在学中のアルバイトでは、読者投稿原稿のリライト作業などをしていました。

大学卒業後は、画廊に勤めたり、事務員などのアルバイトをしながら、小説を執筆していました。

そして、1990年に出版社に持ち込みをした、「ひと呼んでミツコ」という作品で、作家デビューを果たします。

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姫野カオルコおすすめ作品8選をご紹介~常に読者目線で描く~

それからも数々の作品を発表し続け、何度も直木賞候補に挙がり、ついに2014年に「昭和の犬」という作品で第150回直木賞を受賞します。

最初の直木賞にノミネートされてから実に17年目で、時代も審査員も変わる中、5回も候補に選んでもらったことが、とても嬉しかったそうです。

小説を書く上での姿勢は、いつも読者の存在を意識し、何を書く時でも、常に読者のことを考えて、楽しませるということを念頭に置いているそうです。

そんな姫野カオルコ氏のおすすめの作品8選をご紹介いたしますので、お楽しみください。

1、『ひと呼んでミツコ』

主人公は生真面目な女子大生であり、彼女が受け入れられない理不尽な言動に超能力を発揮して、怒りの鉄槌を下す話が7編詰まった連作短編集です。

常識知らず、勘違い教員、お役所仕事、セクハラ上司、マナー違反等、自分自身の場違いな正義を振りかざす人間たちを、ミツコは謎の力で成敗しまくるのです。

ここがポイント

散りばめられた、様々な言葉にも計算された意味があって、その言葉が分からないと、完全に置いていかれそうになります。

現在でも通用する注釈や文中のカットの使い方が、絶妙且つ斬新で楽しむことができます。

まさしく抱腹絶倒作品です。

2、『変奏曲』

双子の姉弟の、時代を超えた禁断の愛を描いた話です。

物語の舞台は現代に始まり、戦前から戦後へ、そしてクライマックスの時期まで飛躍していきますが、姉、洋子と弟、高志の二人は、それぞれの時代で、新たに生まれ続けていくのです。

しかし、何度も双子として、生まれ変わる軌跡を起こしても、二人が結ばれ幸せに生きられない悲しさが、巡ってくるのです。

ここがポイント

過剰な装飾もなく、シンプルな文章なのに、濃密さが漂っていて、何度も読み返してしまいます。

特異な世界観が、味わえる作品です。

3、『整形美女』

美しすぎる容姿を平凡に整形した甲斐子と、美しい甲斐子のように整形した阿倍子の話です。

幸せになるという目的の為に、二人の女性は同じ整形という手段を取るのですが、行き着く先は異なってしまうのです。

容姿の変化と共に、二人の立場や言動が変化していく様が、面白可笑しく描かれています。

ここがポイント

顔を変えても心が満たされなければ、幸せには、なれないのかもしれません。

女性の幸せについて、いろいろと思うこと、考えることが多い作品です。

4、『ツ、イ、ラ、ク』

小学2年から中学2年までの隼子を中心とした、その年代特有の異性への関心を描いた話です。

登場人物たちの様々な恋愛視点が、若気の至りで描かれていて、後に反省する者もいれば、あれこそが真実の愛だったと納得する者もいるのです。

また、社会に適合しながらも、自分本位の考えを継続する者、大人になって初めてツイラクする者、人それぞれの反応があるのです。

ここがポイント

思春期のドロドロした群像劇と思いきや、ひたすらに一途に走る恋愛作品なのです。

5、『昭和の犬』

時代の移り変わりが顕著な、昭和に生きる主人公イクの子供時代から大人までを描いた成長記です。

昭和と共に育った女性、イクの半生を私小説風でありながら、どこか突き放した視点で描かれています。

ここがポイント

イクは理不尽な振る舞いを見せる両親や、人生の不条理に淡々と向き合っているのです。

自分自身の捉え方によって、境遇は不幸にも幸福にも見え、普通に考えればイクの辿ってきた人生は、相当にキツイと思いますが、出会った人たちや犬を通して、積み重ねてきた小さな幸せが、それだけで、幸せな人生に思えるのです。

心にじんわりと温かさが染み渡ってくる作品です。

6、『近所の犬』

姫野氏が住まいの近辺で出会った犬(と猫)との交流を描いた話です。

住宅事情から犬を飼えない姫野氏は、近所を散歩している犬に、癒しを貰っているそうです。

近寄りたい時には飼い主の方に、「カワイイですね、触ってもいいですか」と声をかけ、人付き合いが苦手の割には、知らない人に対してそのように話せるのだから、相当な犬好きだと分かります。

また要所に記される昭和的な表現やものを、検索しながら懐かしみながら、読み進んでいくのも楽しめます。

ここがポイント

犬に対する途轍もない愛着が、克明に描かれている作品です。

7、『謎の毒親』

少女の頃から、家庭で受け続けた謎の仕打ちの理由や、驚愕の体験談を人生相談形式で描いた話です。

ヒカルは静かで落ち着いた口調で話しますが、悲しさも、寂しさも超えた、冷めた嘆きのようなものを感じてしまいます。

たった一つだけのエピソードを他人に話したところで、理解されないほどの些細な不思議が日常に繰り返されて、それにいつの間にか洗脳されてしまったのです。

ここがポイント

自分に余裕がない人間、自分のことで手一杯の人間、そんな人間が親になると、毒親になってしまうのかもしれません。

親との関係に悩む方に、おすすめしたい作品です。

8、『彼女は頭が悪いから』

東大生による強制ワイセツ事件(実話)を元にしている話です。

学力の偏差値と、人間力の偏差値が釣り合っていない人間達の起こした悲劇です。

東大ブランドを最強だと勘違いした学生たちの卑劣な行動は、話の前半に語られる彼らの家庭環境や、両親の生い立ちにも由来していることが分かります。

親たちの価値観も、その時代を作る学歴至上主義や、刷り込まれた男女の環境の上に成り立っていることが、不気味に感じてしまいます。

ここがポイント

人を序列化しようとする社会が、学歴と性で、人を見下す価値観を作り上げてしまったのでしょうか。

当たり前のことが、当たり前に分かる作品です。

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まとめ

姫野カオルコ氏の作品のご紹介は、お楽しみいただけましたでしょうか。

常に読者目線で描いている作品は、心の底まで沁み渡ったのではないでしょうか。

まだ読んでいない作品がありまましたら、是非この機会に読んでみてください。

読書の楽しみが広がりますよ。

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