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江戸川乱歩おすすめ作品12選をご紹介~日本探偵小説の父~

日本の推理小説の礎を築いた、江戸川乱歩氏のおすすめの作品12選をご紹介させていただきます。

1894年、三重県に生まれ、父親の転勤に伴い名古屋市に移り、愛知県立瑞陵高校卒業後、早稲田大学に入学します。

大学卒業後は、貿易会社の社員や古本屋、志那ソバ屋等、多くの仕事についています。

その後、鳥羽造船所に就職し、社内誌の編集や地域交流の仕事に従事しています。

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江戸川乱歩おすすめ作品12選をご紹介~日本探偵小説の父~

1923年に雑誌「新青年」に掲載された『二銭銅貨』という作品で作家デビューを果たします。

創作活動の初期は『D坂の殺人事件』や『心理試験』など本格化と呼ばれる短編を執筆し、日本人の創作による探偵小説の基礎を築いています。

江戸川氏の通俗長編が大衆受けした理由は、作品自体が面白いことは言うまでもなく、その時の時代背景が影響していたのです。

また、少年探偵団シリーズは、子供たちから絶大なる支持を受け、昭和30年代頃から、映像化されています。

そんな江戸川乱歩氏のおすすめの作品12選をご紹介させていただきますので、お楽しみください。

1、『二銭銅貨』

江戸川乱歩氏の記念すべきデビュー作であり、新聞紙上を賑わせている紳士盗賊と呼ばれる泥棒がお金を盗む話です。

すぐに逮捕されるのですが、盗んだお金の在処は黙秘してしまうのです。

そして、この記事に興味を持った場末の下宿に暮らす、貧乏青年の私と松村が、この事件に関わるところから物語は展開していきます。

ここがポイント

変装、暗号、トリック、ミスリード等あらゆるミステリーの要素が凝縮されている、読み応えのある記念すべきデビュー作品です。

2、『屋根裏の散歩者』

表題作の「屋根裏の散歩者」他「鏡地獄」、「押絵と旅する男」、「火星の運河」、「目羅博士の不思議な犯罪」、「虫」、「疑惑」の乱歩氏の秀作が7編集められている短編集です。

作品全体に漂う妖しげな雰囲気は独特であり、異常者や変質者の描写が現在読んでも、リアル感が満載で恐ろしく感じてしまいます。

ここがポイント

まして、大正、昭和の雰囲気をグロテスクな描写と合わせて語られていく様は、異常な世界へグイグイと引き込まれてしまいそうになります。

中でも「虫」のおぞましさは、ぞっとするほどで、群を抜いて引き込まれてしまいます。

読み終えるのが、惜しいとさえ思わせるその才能に脱帽してしまう作品集です。

3、『白昼夢』

炎天下の白昼に、薬屋の主人が人を集めて妻殺しの顛末を語りはじめる話です。

妻を殺したあとに、意外な方法でその死体を隠しているのですが、これがまた、興味深い。

ここがポイント

犯罪志向、猟奇趣味、人間愛に通じる死体愛好と乱歩氏独特の作品のエッセンスが濃縮して詰まっているのです。

夢と現実の区別がつかない作品の創作に優れていて、モダンホラー的で、不思議な感覚に陥ってしまう作品です。

4、『赤い部屋』

秘密の集会で告白されるおぞましい犯罪行為の話です。

みかけは善意的な言動ですが、殺人につながる複数エピソードの奇異さに思わず前のめりになってしまいます。

有閑貴族たちの秘密の会合に、退屈しのぎに、決して法的に裁かれない方法で、殺人を行っているという男がやってくるのです。

彼の多種多様な殺し方があまりにも具体的でかつ、お見事なのです。

敢えて藪医者を教えることで、救える命を見捨てさせたりなどして、実現できてしまいそうで怖くなってしまいます。

ここがポイント

ゾッとするような展開と、膨らみきった風船が割れるように、いきなり現実に戻されるようなエンディングの作品です。

5、『人間椅子』

不気味でエロティックな話で綴られた10編からなる短編集です。

表題作の「人間椅子」は何度読んでも、傑作としか言いようがありません。

猟奇的で偏執的なもの、どこか悲しげであったり、幻想的であったりするものに引き込まれてしまいます。

話自体も、あの品のいい言葉で語られると、不気味な話も何故だか、それほど気持ち悪く感じないのです。

ここがポイント

追い詰められた人間の心理、謎解き、冷酷な殺人、異常趣味など、どれをとってもゾクッとする魅力的な作品です。

6、『明智小五郎事件簿2「一寸法師」「何者」』

上海から帰国した、探偵、明智小五郎が挑む2つの怪事件の話です。

1つ目の「一寸法師」は、いかにも乱歩氏的なエログロ混じりの趣向に溢れた話しであり、結末も含めて悪趣味すぎるきらいはありますが、グイグイと読ませる魅力は十分あります。

2つ目の「何者」は、本格的なトリックと推理のみならず、どんでん返しを幾重にも散りばめて、これぞ、推理小説という逸品です。

ここがポイント

いずれの作品も二転三転するストーリー展開が巧みであり、作風は正反対であるにも関わらず、ミステリーの醍醐味を楽しめる作品です。

7、『陰獣』

初期の名作「陰獣」、「盗難」、「踊る一寸法師」、「覆面の舞踏者」の4編を収録した中編集です。

乱歩氏らしい怪奇趣味と妖艶な雰囲気もさることながら、二転三転する展開はまさに本格ミステリーそのものが味わえます。

ここがポイント

また乱歩氏の他の名作をパロディ的に多用し、そうしたメタ構造から真相を隠そうとする手腕は本当に見事そのものです。

乱歩氏は人間の下卑た欲望を抉るのがうまく、それでありながら、あくまでも大衆娯楽作家然りとした、佇まいを崩さないのがまた味わいがあっていいのです。

かなり前の作品ですが、色褪せることなく、打ちのめされてしまいます。

8、『蜘蛛男』

新聞の事務員募集の広告を見て、応募した美女が、殺人鬼の毒牙にかかる話です。

その女性たちはバラバラに解体され、石膏像に隠され学校に配られたり、更には水族館の水槽に浮かべたりと、今日的な猟奇事件にも繋がりそうな内容で戦慄を覚えてしまいます。

蜘蛛男と呼ばれるその犯人の正体を突き止めるため、探偵志望の野崎と探偵、畔柳が犯人を追いかけていきます。

ここがポイント

純粋な本格推理ものではありませんが、凄惨な劇場型犯罪を扱った本書は乱歩氏の正気を疑うほどの狂気に満ちていると思います。

抜け道のない、狂ったまどろみの中へ連れこまれてしまいそうな作品です。

9、『孤島の鬼』

密室殺人と集団監視の中での殺人に始まり、財宝探しの冒険譚へと展開していく話です。

事件の真相を追って孤島へ行くことで、繰り広げられる地獄絵図の世界に圧倒されてしまいます。

同性愛や奇形の人間など、現在では発売禁止になりそうなスキャンダラスさを感じてしまいます。

乱歩氏は同性愛に親和性が高いのかと想像していましたが、ここに描かれた関係性はBL的な耽美よりも、気持ち悪い場面の印象の方がかなり強烈で意外でした。

ここがポイント

まとわりつくような、非日常的な感覚が味わえる乱歩氏の最高傑作作品です。

10、『白髪鬼』

誰も疑うことを知らず、穏やかな性格であった主人公が、一変して、復讐の鬼へと変貌を遂げていく話です。

子爵である主人公の大牟田敏清は18歳の美女、瑠璃子を嫁に貰うのですが、端から瑠璃子は敏清の資産目当てであり、結婚後には浮気相手の川村との策略で、敏清は崖から突き落とされ、生き埋めにされてしまうのです。

奇しくも息を吹き返した、敏清が二人へ復讐を始めていきます。

敏清の風貌は以前とは全く違い、ストレスの為か髪の毛が全て白髪になり、見た目が老人のように老け込んでいたのです。

ここがポイント

壮絶な復讐によって得られた、一瞬のカルタシスと一抹の後悔の後味が何とも言えません。

復讐を終えた男の最後の独白が秀逸な作品です。

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11、『黒蜥蜴』

高価な宝石を狙う女怪盗の「黒蜥蜴」と、そうさせまいする名探偵、明智小五郎との知恵比べの話です。

黒蜥蜴(緑川夫人)の魅力はその美貌と、悪巧みが働く明晰な頭脳と男勝りな度胸なのです。

美しいものは宝石でも、たとえ人であろうとも、手に入れたいという貪欲さの持ち主だったのです。

飴とムチを巧妙に使い分ける、まさに女賊の鑑なのです。

ここがポイント

明智小五郎の探偵ぶりと黒蜥蜴の悪役ぶりというか、グロテスクな趣味を楽しめる作品です。

12、『幽霊塔』

元々がイギリスの作品であり、それを黒岩涙香氏が翻訳し、さらに江戸川乱歩氏がリライトした作品なのです。

幽霊が出るという謎めいた洋館、主人公が恋する謎の美女に怪しげな人物たち、次々に起きる怪事件と飽きさせない展開でレトロな雰囲気も楽しめます。

また、宮崎駿氏のカラー口絵がより雰囲気を盛り上げてくれています。

ここがポイント

ミステリーと冒険活劇を併せ持ったような独特の世界観が楽しめる作品です。

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まとめ

江戸川乱歩氏の作品はお楽しみいただけましたでしょうか。

子どもの頃を懐かしく思い出された作品もあったと思います。

まだ読んでいない作品がありましたら、是非この機会に読んでみて下さい。

懐かしい時代が蘇るかもしれません。

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