爽快さを追求する、真山仁氏のおすすめの作品8選をご紹介させていただきます。
大学卒業後、新聞社に勤めますが、3年位で退職して、フリーライターの道を歩みます。
2003年に生命保険会社の破綻機器を描いた「連鎖破綻ダブルギアリング」という作品で作家デビューを果します。
そして、翌年ファンド会社を扱った小説「ハゲタカ」を出版して、経済小説の新鋭として活躍し続けています。
真山仁おすすめ作品8選をご紹介~現代社会の光と闇に切り込む~
日本経済の問題点に目を付けて、大ヒットとなった「ハゲタカ」シリーズ然り、原発事故を題材とした、「ベイジン」、関東大震災のその後を描いた「そして、星の輝く夜がくる」など、常に国内の問題に目を向けた、執筆活動を続けています。
一つの問題に対して、一番怖い最大の敵は“無関心″とのことで、賛否両論は大歓迎で万々歳なのだそうです。
関心を持ってくれることが、何よりも重要であり、その問題に対して、これからも挑む続けていくとのことです。
そんな真山仁氏のおすすめの作品8選をご紹介いたしますので、お楽しみください。
『ハゲタカ 上・下』
不良債権を抱え、瀕死状態にある企業の株や債券を買いたたき、手中に収めた企業を再生し膨大な利益をあげる話です。
バブル崩壊後の日本で暗躍するハゲタカファンドを描いていて、主人公の鷲津政彦に魅了されてしまいます。
日本の古い体質を原因とする会社経営の腐敗と崩壊の有様、それに抗して企業再生を目指して、戦いに挑む人々の姿がリアリティ感タップリに描かれています。
ここがポイント
また、実際の出来事も取り込んだストーリー展開は、臨場感が溢れていて、息を飲まれるほどの緊迫感があります。
立場の異なる、登場人物の駆け引きによる感情の変化が楽しめる作品です。
『虚像の砦』
物事の本質を捉えることなく、視聴者ウケする映像ばかりを流すテレビに対する、提言的且つ忠告的な話です。
メディア側の人間が立ち向かっていっても、上層部の人間や政府側の圧力が壁となって、立ち塞がれてしまいます。
架空と現実の境がわからなくなり、一つ間違えると、とんでもない勘違いを起こしてしまいそうなほどの既視感があります。
また、明らかにモデルとか分かる人物や企業も登場していて、リアリティ感がタップリに描かれています。
ここがポイント
葛藤する主人公たちの生き様に拍手を送りたくなるような作品です。
『ハゲタカ2 上・下』
1年間の海外放浪の後、新たな買収劇に手をつける鷲津の話です。
信頼して、後を託していたアラン・ウォードの死の原因も分からぬままに、鷲津は繊維業界の老舗である鈴紡の買収に乗り出します。
しかし、天才的な買収者である鷲津の切れ味鋭い一挙手一投足も裏をかかれてしまい、負けてしまいます。
そして後半は鈴紡のディールに負けてしまった鷲津が曙電機とシャインの合併に関与していきます。
ここがポイント
追い詰め、追い詰められる緊迫感がある展開が続く中、鷲津の人間らしい部分も見えて、楽しめます。
前作を上回る作品だと思います。
『マグマ』
外資系投資ファンド会社勤務の女性が地熱発電会社を再生する話です。
エネルギー問題とか核問題を背景に、原発撤廃の政府の動きを察知した外資系ファンド会社が、経営破綻した地熱ビジネス会社を買い取り、再建を目指していきます。
中盤の発電を進める展開もしっかりとした取材をもとに描かれているので、リアル感タップリに堪能できます。
ここがポイント
話の展開を拡げながらも、きちんと伏線は回収されていて、登場人物一人ひとりの立場や心情も丁寧に描かれています。
エネルギー問題を切実に考えてしまう作品です。
『ベイジン 上・下』
中国に原発を造る日本人技術者と、不正を暴く密命を帯びて着任した中国人官僚が主人公の話です。
ここがポイント
日本人と中国人とが仕事を共にする上での摩擦、中国における権力闘争の過酷さの3つの軸が交錯しながら進んでいきます。
また中国人独特の人間関係も分かりやすく描かれていて、スリルやサスペンス感たっぷりのエンターテインメントが満喫できます。
わざと最後をスキッとさせない終わり方にしているのは、続編への伏線なのでしょうか。
『レッドゾーン 上・下』
莫大な外貨準備高を元手に中国が国家ファンドを立ち上げた話です。
ハゲタカシリーズの3作目であり、日本最大の自動車メーカーのアカマ自動車が標的になります。
アカマ自動車買収は米国最大のレバレッジ・ファンドをも巻き込んで、日米中に及ぶ買収劇に発展していきます。
鷲津はあらゆる情報を整理して、ルールを無視するレッドゾーンの人間たちを世論を煽って炙り出し、対話のテーブルにつかせようとします。
ここがポイント
中国やアメリカの巨大な力に立ち向かい、最後に自社の利益に結び付ける様は爽快です。
『コラプティオ』
原発輸出やウラン鉱山開発を巡る、官邸と新聞記者たちの話です。
政治の理想と闇、そして現実など、国民が知りえない部分が分かりやすく、綴られています。
ここがポイント
権力の誘惑に負けた為政者が、独裁者となり墜ちていく様を、新聞記者と大臣秘書の視点から描いています。
日本の政治に対する批判、そして原発の安全性も確認せずに、輸出しようとする無謀さを追求しています。
政治とは何か、政治家のモラルはどこにあるのかを問われている作品です。
『グリード 上・下』
ハゲタカシリーズの4作目であり、いよいよリーマンショックが舞台の話です。
場面は全世界を襲ったサブプライムローン恐慌であり、サムライキャピタル鷲津が、アメリカ相手に攻めの戦略で戦っていきます。
ここがポイント
大物投資家や政治家が相手でも、一歩も引かない鷲津の立ち回りには感服してしまいます。
リーマンショックの現場で何が起こったのか、ワシントンやウォール街の緊張感の様子が臨場感タップリに描かれています。
爽快でドキドキ感が半端ない作品です。
まとめ
真山仁氏の作品は楽しんでいただけましたでしょうか。
大人気のハゲタカシリーズは手に汗握る展開で、かなり楽しめると思います。
まだ読んでいない作品がありましたら、是非この機会に読んでみてください。