国内で発表されている小説は膨大な数にのぼります。
その中でも新聞やニュース等で話題になる賞といえば、「直木賞」と「芥川賞」があります。
これからご紹介させて頂く作品は大衆文芸作品を対象とした、「直木賞」を推理小説で受賞した作家の作品となります。
・どの作家のどの作品が、受賞作品なのか。
・タイトルは聞いたことがあるが、読んでない。
・直木賞受賞の推理小説が、読みたい。
このように思っている方もいらっしゃると思います。
直木賞は大衆文学の中の最高峰と言われている賞です。
【特選】推理小説で直木賞を獲得した歴代作品10選をご紹介
ご紹介させて頂く作品は最近のものから、30年ほど前までの推理小説の受賞作に限定させていただきました。
ご紹介する作家の中には現在、絶大な人気を誇る方もみえます。
是非、「直木賞」の審査員になったつもりで、読んでみてください。
1、「流」 東山彰良
70年代の台湾を舞台にした、青春ミステリーのような作品です。
主人公が17歳の時、愛すべき祖父が何者かに殺害されたのに、何故そうなったのかさえ解らなかった。
戦争は人間の性格までも、変えてしまうのでしょうか。
選考委員が満場一致で納得した、第153回直木賞受賞作品です。
ここがポイント
選考委員で作家の北方謙三氏曰く「20年に一度の傑作」と賞賛しています。
台湾の歴史背景が良く分かり、激動の時代を生き抜く主人公に感激する作品です。
2、「破門」 黒川博行
裏社会を舞台にした犯罪に、視点をあてた作品です。
ここがポイント
二宮と桑原という大阪弁コンビが繰り広げるユーモラスな内容でありながらも、ミステリー色が強い作品です。
人気の疫病神シリーズであり、テレビドラマ化や映画化もされています。
第151回直木賞受賞作品です。
予想を裏切る展開の連続なので、寝ることも忘れて読んでしまうかもしれません。
3、「鍵のない夢を見る」 辻村深月
短編5篇からなる軽めのミステリー作品です。
女性の視点からの日常に潜んでいる、闇とか恐怖を見事に描写しています。
ここがポイント
人間は追い詰められると、平静、思いもつかない行動に走ってしまうことが分かります。
第147回直木賞受賞作品です。
短編集なのでテンポよく読めて、女性ならではの複雑な感情が見事に表現されています。
4、「廃墟に乞う」 佐々木譲
休職中の刑事が事件に関わっていく6編からなる短編集です。
ここがポイント
北海道が舞台になっていて、それぞれの作品には作者独自の思いが込められているように感じます。
作家生活30年目にして掴んだ、第142回直木賞受賞作品です。
余韻のある終わり方が、印象に残ります。
5、「容疑者Xの献身」 東野圭吾
犯人が最初から分かっている倒叙ミステリー作品です。
ガリレオシリーズ3作目にして、初の長編になります。
ここがポイント
数学教師VS物理学者の攻防が、最終的に思わぬ展開を迎えます。
二度読み、三度読みは当たり前の様です。
第134回直木賞受賞作品であり、トリックの秀逸さもさることながら、罪に対しての罰が感じられる作品です。
6、「柔らかな頬」上・下 桐野夏生
母親の過ちにより娘がいなくなってしまい、その娘を探していくミステリー作品です。
ここがポイント
意表を突く展開の連続で、母親の心理描写に重点をおいて描かれています。
第121回直木賞受賞作品です。
最後はスッキリはしなかったのですが、かえってそれが余韻を残すようで、妙に納得できる作品に仕上がっています。
7、「理由」 宮部みゆき
高層マンションで発生した、一家四人殺害事件に端を発する話です。
警察の捜査が進むにつれ、様々な意外な事実が浮かび上がってくるのです。
ここがポイント
家族という問題が浮き彫りにされ、改めて家族とは何かという事を、考えさせられてしまいます。
テレビドラマでも数度放送されるほど人気があり、第120回直木賞受賞作品です。
じっくり、奥深いサスペンスを読みたい方には、読み応えタップリの作品です。
8、「テロリストのパラソル」 藤原伊織
中年のバーテンダーが主人公のハードボイルド作品です。
主人公のバーテンダーが爆弾テロ事件に巻き込まれながらも、自分の身を省みることなく犯人探しに突き進んでいくのです。
ここがポイント
何回読み返してもその都度、充実感に浸れるというレビューが多いのも分かります。
第114回直木賞受賞、第41回江戸川乱歩賞受賞と、史上唯一のダブル受賞作品です。
古き良き時代のハードボイルドを満喫できる作品です。
9、「新宿鮫 無間人形」 大沢在昌
新宿鮫シリーズ4作目であり、覚醒剤に絡む犯罪を題材にして展開していく作品になります。
覚醒剤の恐ろしさが嫌というほど痛感でき、麻薬取締官と警察との関係も知ることができます。
息もつかせぬ緊迫感の展開に手に汗を握ってしまいます。
第110回直木賞受賞作品です。
人物の特徴が丁寧に描かれているので、飽きることなく楽しめます。
ここがポイント
あたかも登場人物と対面しているかのように思える程、臨場感が味わえます。
10、「私が殺した少女」 原尞
身代金事件に巻き込まれた私立探偵が、事件の真相を探っていく話です。
誘拐事件からのストーリー展開は、目を見張る程テンポよく進んでいきます。
ここがポイント
どんでん返しの展開も、ハードボイルドの作品らしさを遺憾無く発揮しています。
第102回直木賞受賞作品であり、同時にファルコン賞受賞作品でもあります。
意外な真相が、最後の最後に待ちかまえています。
まとめ
1935年の第1回から始まった直木賞は2018年で159回・160回を迎えます。
ご紹介させていただきました直木賞受賞の推理小説は、どれも厳しい審査を勝ち抜いた一流のものです。
是非この機会に読んでみてはいかがでしょうか。