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奥田英朗おすすめ作品14選をご紹介~圧倒的な筆力で描写する~

オリンピック競技

心に沁みる描写で魅了する、奥田英朗氏のおすすめ作品14選をご紹介いたします。

高校卒業後、プランナー、コピーライター、構成作家などを経験した後に、1997年に「ウランバーナの森」という作品で作家デビューを果します。

文学賞への応募での受賞デビューではなく、自らが出版社へ作品を持ち込んでのデビューだったようです。

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奥田英朗おすすめ作品14選をご紹介~圧倒的な筆力で描写する~

小説を書く上で心掛けていることは、人の気持ちを書くことによって、どうしたら読者を楽しませることができるのか、ということをいつも念頭に置いて執筆しているそうです。

そして、日常会話やエピソードを積み重ねていくことによって、ディテールを書くことができれば、テーマは自然と浮き彫りになるので、それに従って作品を仕上げているそうです。

また、地元から近いこともあり、大の中日ドラゴンズファンであるとのことです。

そんな奥田英朗氏のおすすめの作品14選をご紹介いたしますので、お楽しみ下さい。

1、《最悪》

主人公、三人(鉄工所社長の川谷、銀行員のみどり、ヤクザに追われる和也)がそれぞれ問題を抱えていて、最悪の状態に陥った時に、事件が起き、交差する話です。

どの話もその辺に転がっていそうなことが、きっかけなのに、全て悪い方向に進んでいってしまうのです。

気弱で或いは無気力で、流されっぱなしの人達が、理不尽な要求を断ることもできずに、次第に追い詰められていくのです。

そして、最悪になり、全く接点のなかった三人の人生が交差した時、それぞれの運命には加速度がついて、悪い方向へと転がりはじめるのです。

ここがポイント

「他人の不幸は蜜の味がする」という言葉を思い出してしまうような作品です。

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2、《邪魔》

横領の事実を隠すために、狂言放火を犯した夫の為に、平凡な毎日から転落していく妻の話です。

小さな綻びがどんどん広がっていくように、取り返しのつかない崩壊が描かれていて、段々と追い詰められていき、前に進むしかない夫婦にとっては、道を遮るものは全て、邪魔な存在になってしまうのです。

ここがポイント

何かを邪魔だと思う自分自身や他を邪魔だと思い、ぞんざいに扱ってしまう自分自身がきっと一番邪魔な存在なのかもしれません。

平凡な日常の有難みが、改めて分かる作品です。

講談社
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3、《イン・ザ・プール》

精神科医・伊良部シリーズの第一弾であり、一風変わった精神科医の伊良部と、少し変わった心の病に悩む患者たちを描いた5編からなる連作短編集です。

携帯依存症、自意識過剰、強迫神経症など、様々な病状を抱える患者たちが、変人の伊良部医師に振り回されているうちに何とか治癒していくのです。

本当は患者の悩みや訴えを真摯に受け止めていて、その問題を患者自身で解決できるように導いていくことが、伊良部医師の本当の姿ではないかと思ってしまいます。

ここがポイント

本当は凄い名医であるのに、わざと仮面を被って振舞っているだけの、はにかみ屋の先生かもしれません。

心が微妙に、癒される作品です。

文藝春秋
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4、《マドンナ》

サラリーマンの喜怒哀楽、悲哀をユーモアたっぷりに描いている5編からなる短編集です。

自分の部下に恋したり、女性の上司の下で陰で文句を言いながら働いたり、移動させられて、会社の方針に戸惑ったりといろいろな問題で、サラリーマンは苦労が絶えないのです。

そしてそんな気持ちも周囲には悟られないようにして、おろおろしながら、毎日を過ごしているのです、

ここがポイント

日常の中にリアルにありそうな事柄に、ほんの少しのフィクションが加えられた、楽しめる作品です。

5、《空中ブランコ》

精神科医・伊良部シリーズの第二弾であり、今作も期待を裏切らない、ますます快調で文句なしに楽しめる5編からなる連作短編集です。

まるで漫才を見ているような、ボケとツッコミの掛け合いのような診察に、笑いのツボを刺激されてしまいます。

さて、今回の患者たちは、空中ブランコ乗り、ヤクザ、エリート医師、プロ野球選手、小説家という専門職の面々です。

ここがポイント

周りからは順風満帆に見えていても、その職業ならではの悩みやプレッシャーがあるのです。

それらを解決していくのが、泣く子も黙るトンデモ精神科医の伊良部先生なのです。

このシリーズを読むと明日への活力が、漲るように感じてしまい、まるで元気ハツラツ薬を処方されているような気分になれる作品です。

6、《家日和》

いろんな夫婦の機微を軽妙に描いた、6編からなる短編集です。

家族の持ち物をネットオークションに出したり、専業主夫になってしまったり、妻と別居をいいことに自分だけの世界を築いてしまったりと、いろいろな人間風景が伺えます。

どの話にしても日々の生活の中で、少しの変化がもたらされ、穏やかな日常の流れがユーモアたっぷりに描かれているので、楽しめます。

ここがポイント

気軽に読めるのに、夢中になれて、じんわりと温かい気持ちにしてくれる作品です。

集英社
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7、《オリンピックの身代金》

東京オリンピックの開催前に秘密裏に行われた、テロリストである主人公の学生と警察組織の対決を描いた話です。

オリンピック開催を前に、お祭り騒ぎで勢いづく人間とは別に、その裏で働く工事に使い捨てられていく、出稼ぎ労働者や三河島の在日韓国人には、全く違った時間が流れていたのです。

格差社会に抗議するために、主人公はオリンピックを人質にして、国から身代金を奪う計画を立て、爆弾魔と化していくのです。

ここがポイント

光と影の対極に、揺れ動いてしまう作品です。

8、《噂の女》

美人とは言い難い容貌なれど、男好きのする「噂の女」こと、糸井美幸をまわりの男性目線で描いている9編からなる連作短編集です。

魔性の女、糸井美幸と出逢った男性は次々と彼女の虜になっていき、奈落の底に突き落とされてしまうのです。

ここがポイント

彼女は上昇できると思うチャンスは必ずものにして、利用できるものは、利用しつくすという貪欲さを持ち合わせていたのです。

こんな女に出逢ってしまったら、関わりを持つことを避けた方が無難に決まっています。

しかし、男はそれができなくて、見栄を張ったり、身分以上のことをしてしまうものなのですね。

あなたの街にも、糸井美幸のような「噂の女」がすぐそばにいるかもしれません。

気を付けてください。

9、《沈黙の町で》

校内で起きた男子中学生の転落死を巡り、事故なのか、自殺なのか、事件なのか、真相を解明する話です。

大人でもなく、さりとて、子供でもない年齢の中学生の危うさと、残酷さが見事に描かれています。

集団心理や仲間意識で誰かを庇ったり、それでいて、ずる賢かったりと、自分の気持ちを上手く表現できない中学生たちなのです。

ここがポイント

重いテーマでであり、大人とは異なった価値観で生きている中学生の気持ちが垣間見える作品です。

10、《ナオミとカナコ》

夫から酷いDVを受けているカナコが親友のナオミと共に、その夫を殺す計画を立てる話です。

二人が立てた殺害計画はかなり甘く、それが読者の気を揉ませて、彼女たちを応援する気分にさせられてしまいます。

それが発展して、読者を共犯の気分に陥らせてしまっているのです。

そして、殺人の事実が判明して、彼女たちはじりじりと追い詰められていくのです。

ここがポイント

犯罪者なのに、彼女たちが何とかして逃げ通せることを願ってしまいたくなる作品です。

11、《向田理髪店》

北海道の過疎化した街の理髪店の親父を中心とした、様々な出来事が起きる6編からなる短編集です。

若者がいない、財政が厳しいなどと言いながらも、一生懸命に生きている人たちの楽しそうな様子が伺えます。

実際に自分の日常生活にも起こりそうなことばかりで、登場人物たちの会話にも人柄が溢れていて、ほのぼのしてしまいます。

ここがポイント

周りとの関係の中に人情や温かさが見えて、ほっとしてしまう作品です。

12、《罪の轍》

東京オリンピックの前年に実際に起きた事件をモチーフにした、男児誘拐事件の話です。

現代では考えつかない、当時の警察の捜査の苦労や、犯人を追い詰めることが出来ないもどかしさが、ひしひしと伝わってきます。

また、幼い頃に継父から虐待を受け、脳機能に障害を持った犯人の何ともやりきれない境遇に、心が痛んでしまいます。

ここがポイント

当時の世相が盛り込まれ、独特な背景を絡めた事件は、最後まで緊張の連続であり、目が離せません。

まさしく事件の重厚さに、圧倒される作品です。

新潮社
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13、《コロナと潜水服》

主人公の周りで起きる、超自然的な現象を織り込んだ5編からなる短編集です。

普通の日常を過ごしている登場人物たちに起きる事象は、特別な事ではなく、誰にでも起きる可能性のあることなのです。

ここがポイント

そこに、ほんの少しの善意ある不思議が紛れ込むことにより、登場人物たちは、前向きに一歩を踏み出すことができるのです。

踏み出す一歩は、特にか輝かしい一歩でもなんでもなく、ほんの少しだけ、不思議を信じてみる、自分の未来を信じてみる、その人なりの一歩なのです。

誰かに生きてもらう人生ではなく、自分が生きていく人生だから、どう生きたっていいのです。

日常と非現実を行き来する、人間の細かい心の動きが描かれた作品です。

14、《リバー》

群馬県の桐生市と栃木県の足利市を流れる渡良瀬川の河川敷で、女性の遺体が発見され、その手口から10年前に起きた渡良瀬川連続殺人事件と酷似していたため、両県警は、10年前の未解決事件と関係づけて捜査していく話です。

捜査する側の人物と対立する容疑者のやり取りに引き込まれてしまい、目が離せません。

早々に容疑者が絞り込まれ、怪しいと睨むも、されに次なる展開が待ち受けていて、振り出しに戻ってしまうのです。

ここがポイント

総じて、トリックや犯罪の動機といったものよりも、壮大な人間ドラマを観たような気持ちになってしまいます。

単なる推理小説とは一線を画した、互いの執念のぶつかり合いに焦点をあてた、読み応えのある作品です。

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まとめ

奥田英朗氏の作品のご紹介は、お楽しみ頂けましたでしょうか。

心に沁みる作品を堪能していただけたと思います。

まだ読んでいない作品がありましたら、是非この機会に読んでみてください。

かなり、ハマってしまうと思います。

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