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山本兼一おすすめ8選をご紹介~職人の生き方の充足感を描く~

骨太な歴史小説や時代小説を描く、山本兼一氏のおすすめの作品8選をご紹介させていただきます。

大学卒業後、出版社、編集プロダクションに勤務後、フリーランスのライターになります。

1999年に「弾正の鷹」という作品で、小説NON創刊150号記念短編時代小説賞の佳作を受賞します。

そして2002年に「戦国秘録 白鷹伝」という作品で、作家デビューを果します。

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山本兼一おすすめ8選をご紹介~職人の生き方の充足感を描く~

山本氏は個人の生き方を問うような小説、「あなたは自分の人生を、どうやって満足して生きるか」という事に視点をあてて執筆していきたいとの事だったようです。

2004年に「火天の城」という作品で、第11回松本清張賞を受賞、そして2009年、「利休にたずねよ」という作品で第140回の直木賞を受賞しています。

肺癌が発覚し病床で執筆を続けていた山本氏ですが、2013年2月に京都市の病院で57歳の生涯に幕を閉じています。

山本氏のモノに対する眼力の確かさと、愛着の深さを持ったおすすめ作品8選をお楽しみください。

1、『火天の城』

織田信長の壮大な城を造るという「夢」を現実にした、大工の岡部又右衛門親子の話です。

信長の天下布武を具現化するような、南蛮様式を取り入れて、今までにない圧倒的な城を立てること、その他にも信長からの無理難題に大工としての意地・情熱・・創意工夫で立ち向かっていく姿には感動してしまいます。

ここがポイント

登場する職人たちが、皆それぞれに気骨のある人物として描かれ、その力が結集されて、前代未聞の安土城が築かれていく様はまさしく圧巻です。

まさしく歴史小説の醍醐味を堪能させてくれる作品です。

2、『雷神の筒』

若き日の織田信長に鉄砲を指南し、その鉄砲隊の礎を築いたとされる橋本一巴の話です。

戦国の世が鉄砲によって変わり、戦うのは無益な戦いを終わらせるためだと信じていた橋本であったが、信長の起こす大きな歴史の渦に呑み込まれてしまい、大儀を見失ってしまうのです。

そして何度も死地に向かわされ、命を賭けて救っても足蹴にされ、面構えが気にくわないと罵られてしまうのです。

いち早く鉄砲の有用性に気付き、信長に進言するなど超有能であったはずなのに、何故、報われなかったのか。

敵を殺し続ける事への葛藤と、慈悲なく覇道を進んでいく信長への不信など、あらゆる負の疑念を抑えて鉄砲を撃ち続ける男の生涯だったのです。

ここがポイント

理想を行動原理にする者は淘汰されてしまうのかと思ってしまう作品です。

3、『いっしん虎徹』

甲冑鍛冶であった長曽祢興里(虎徹)が、刀鍛冶に転向し、その生涯を閉じるまでの話です。

山の蹉跌から鋼を取り出す手順から、丁寧に描かれていて、鍛冶が刀を打つ様子など、その真剣な熱気が感じられます。

自らが納得する刀を求めることと、病がちな妻、ゆきの為にお金が必要なことによる板挟みに、辛くなってしまいます。

ここがポイント

職人が道を模索し、その技を極めていく過程は、本当に感動にも似た味わいがあり、人間としての成長を見ることができます。

冷静さの中にも、熱くたぎる情熱が感じられる作品です。

4、『千両花嫁 とびきり屋見立て帖』

京都三条通りの道具屋を舞台に繰り広げられる様子を描いた7編からなる連作短編集です。

駆け落ちをして、とびきり屋(道具屋)を開いた真之介とゆずが、お店に持ち込まれる事件の数々に、気転と度胸と見立ての力で立ち向かっていきます。

新撰組や坂本竜馬、高杉晋作など、歴史上の幕末の有名人も絡んできて、バラエティーに富んだ展開になります。

ここがポイント

真之介の男っぷりもさることながら、ゆずの方も持ち前の気転や芯の強さがあり、惚れ惚れしてしまいます。

今後の二人の展開が楽しみな作品です。

5、『利休にたずねよ』

利休切腹の日から徐々に時を遡り、利休本人だけでなく、秀吉や妻そして、弟子など様々な人々の視点から、利休という人物が露わになっていく話です。

利休は茶人であるとともに、時の権力者と結びつき、権力の中枢まで上り詰めていくのです。

豪華な茶の湯ではなく、削ぎ落された美の境地「侘び茶」を完成させて、そののちに、秀吉と美意識を巡る対立に発展していくのです。

そして心のうちに秘めた想いは、誰にも打ち明けることなく、ただ溢れ出るばかりで語らずとも伝わってしまうものなのです。

茶の湯を極めた男の真実が、一人の女を想う気持ちだとすれば、そんな歴史もアリかなと思ってしまいます。

ここがポイント

利休の美への執着と彼独特の世界が見事に表現されている作品です。

6、『命もいらず 名もいらず』上・下

山岡鉄舟の若かりし頃の鉄太郎時代を描く幕末篇と壮年期から晩年期までの、生を全うした最後の侍の姿を描いた明治篇で綴られています。

江戸から明治へと変わる時代のうねりの中、ただ「よく生きる」ことにひたすら、真摯に向き合った人物、それが山岡鉄舟だったのです。

激動の時代に、才気ある男たちは立身出世を追い求めたり、一旗揚げようと奮迅するのは当然だと思いますが、鉄舟は物欲もなく、名声も求めることなく、ただ剣と書と禅に身を投じていたのです。

ここがポイント

江戸無血開城の陰の立役者であり、侍の世が終わった維新後も侍として死を覚悟し、生を全うした最後の侍だったのです。

胸が熱くなって、感動極まりない作品です。

7、『信長死すべし』

ここがポイント

明智光秀の謀反であった本能寺の変が、時の正親町帝(黒幕)の勅命によってなし得たとの説を、それに関わった人々の視点で描いている話です。

関わった人物の本能寺の変までの思惑が、理路整然と描かれていて、光秀の謀反の過程が今の歴史に証明されているように思えます。

信長対光秀ではなく、信長対朝廷のせめぎ合いの中で、光秀が利用されたという説は複雑ですが、説得力があります。

いつの世も自分の手を汚さずに、手柄を横取りする悪い奴がいるものだと、つくづく感じてしまいます。

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8、『花鳥の夢』

希代の絵師である、狩野永徳の生涯を描いた話です。

絵師の家に生まれ、溢れんばかりの才能で世間を唸らせてきた狩野永徳、然し後に、長谷川等伯という絵師の描く絵に嫉妬してしまうのです。

常に高みを目指す気迫と、ライバルである等伯への焦燥から、鬼気迫る作品を生み出していきます。

ここがポイント

生まれながら、狩野派を背負っているのであるから、天下一の絵師であらんとする気概や自負があり、頂点を走り続けなくてはいけない使命があったのです。

凄い迫力があり、圧倒される作品です。

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まとめ

山本兼一氏の作品はお楽しみいただけましたでしょうか。

山本氏独特の視点で描かれた作品は、今まで感じたことのない出会いができたと思います。

まだ読んでいない作品がありましたら、是非この機会に読んでみて下さい。

そして歴史上の人物の心意気を感じ取って下さい。

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