安定した面白さのある、坂木司氏のおすすめ作品10選をご紹介させていただきます。
大学卒業後、就職し、通勤電車の中で、気晴らしに時代物小説である、池波正太郎氏の「剣客商売」を読んで現実逃避をしていたとのことです。
そしてその後、沢木耕太郎氏の「深夜特急」を読んで、さらに現実逃避をして、<旅立て!>と言われた気分になり、会社を辞めたそうです。
坂木司おすすめ作品10選をご紹介~そこにある日常の謎を描く~
2002年「青空の卵」という作品で覆面作家としてデビューを果たします。
ペンネームは何も思いつかなかったので、デビュー作の登場人物の名前からとったそうです。
作風としては、自身の引き出しの事情から他人と被らないことを心掛けているそうです。
そんな坂木司氏のおすすめ作品を10選ご紹介いたしますので、お楽しみ下さい。
1、《青空の卵》
引きこもり探偵シリーズの第一弾であり、主人公の坂木と友人の鳥井が日常の謎を解いていく5編からなる短編集です。
鳥井は対人関係に対して少し苦手意識がありますが、洞察力に優れた一面を持っています。
逆に坂木は対人関係を得意としていて、二人はまさに、ホームズとワトソンのような掛け合いで謎を解いていきます。
ここがポイント
一つの話の登場人物が、次の話にも引き継がれていく展開が面白く目が離せません。
さりげなくミステリーの要素が入っている作品です。
2、《仔羊の巣》
引きこもり探偵シリーズの第二弾であり、今回も坂木が遭遇した謎を引きこもりの鳥井に持ち込んで、解決していく3編からなる短編集です。
同僚の謎めいた行動の意味、親子のすれ違いの話、他人を邪険に扱う者等、日常の中に存在する事が描かれています。
ここがポイント
適度に笑えて、適度に泣けてしまう展開ですが、読んだ後、何故か幸せな気分になれます。
笑いと涙の要素をうまい具合に兼ね備えている作品です。
3、《切れない糸》
下町にある、実家のクリーニング店を継ぐことになった、和也が遭遇する、日常の謎を描いた4編からなる短編集です。
昔から様々な問題に遭遇してしまう和也は、客から預かる衣類に秘められた、謎を友人と共に解き明かしていきます。
商店街での人との関わり、同級生との友情、そして働いて成長していく姿が丁寧に描かれています。
ここがポイント
元気をもらいたい時に読むと、活力が湧いてくる作品です。
4、《夜の光》
高校の天文部に所属する男女4人の日常を描いた、5編からなる連作短編集です。
高校や家庭を戦場に例えて、スパイのように、日常と戦っていく様が描かれています。
ここがポイント
日常ミステリーの謎解きをしながら、絆を深め合って成長していく4人の姿に、清々しさを感じてしまいます。
安定した面白さが味わえる作品です。
5、《和菓子のアン》
和菓子の奥深い魅力に目覚めていく、ちょっぴり太めの18歳のアンちゃんの話です。
アンちゃんがアルバイトをするデパ地下の和菓子店で、お客様との間のいろいろな和菓子の話が綴られています。
ここがポイント
凄惨な事件は出てこなくて、いわゆる「日常の謎」が描かれています。
無性に和菓子がどうしても食べたくなってしまう作品です。
6、《ウィンター・ホリデー》
元ヤンで元ホスト、そして現在は宅急便屋の父親の沖田大和と、突然現れた10歳の息子、進の日常を描いた6編からなる連作短編集です。
ここがポイント
笑ったり、泣いたり、ほっこりしたりと温かいホームドラマを見ている気分に浸れます。
登場人物の誰もが魅力的で好感がもてて、楽しんでほのぼのとした気分に浸れます。
気持ちが温かくなる作品です。
7、《大きな音が聞こえるか》
サーフィン好きな高校生の泳が、平凡な日常を変えるために、アマゾンでサーフィンに挑戦する話です。
ブラジルへの一人旅、現地の人との交流、そして、ひと時の恋などが描かれています。
現地で挑むサーフィン、それらの経験は泳の価値観を一変させて、真に大切なものを掴んでいくのです。
ここがポイント
決断力と、勇気がもらえる作品です。
8、《アンと青春》
「和菓子のアン」の続編であり、今回はほっこりに加え、ホロリとするところもあり、和菓子ミステリーも健在です。
ここがポイント
仕事への意欲が高まってくると同時に、自分の立ち位置に疑問を持ち始める、アンちゃんの様子が描かれています。
それでも、おっかなびっくり踏み出していく、アンちゃんの行動に共感してしまいます。
いろんな楽しさに溢れた、気軽に楽しめる作品です。
9、《女子的生活》
女子的生活を楽しむために、東京に出てきた、トランスジェンダーのみきの話です。
ここがポイント
自分について、周りとの関係について、悩みながらも自分らしく生きようとする姿に好感を抱いてしまいます。
人の性格など、それぞれが違うのが当たり前であるのだから、勿論、性の認識も違ってきて、当然なのです。
明るく、ポジティブになれる作品です。
10、《おやつが好き》
ここがポイント
坂木司氏、初のエッセイ集であり、2編の短編も収録されていて、美味しさがてんこ盛りの話です。
美味しいものが潜んでいる、銀座の名店の紹介から、量販店のスナック菓子までを語り尽くしています。
甘いもの、苦いもの、しょっぱいものなど、あらゆるおやつの世界が描かれています。
紹介しているおやつ、全部食べたくなる作品です。
まとめ
坂木司氏の作品のご紹介は、お楽しみ頂けましたでしょうか。
誰もが感じる日常の謎を感じていただけたかと思います。
まだ、読んでいない作品がありましたら、是非この機会に読んでみてください。