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青山七恵おすすめ作品8選をご紹介~仕込まれた苦々しい毒を描く~

人物を細やかな描写で綴る、青山七恵氏のおすすめの作品8選をご紹介させていただきます。

大学在学中に書いた、「窓の灯」という作品で、第42回文藝賞を受賞して、作家デビューを果します。

青山氏はどちらかと言えば、夜型のようで、執筆時間は特に決まっていないようですが、加齢と共に集中力を保てる時間が、少なくなっているように感じるとのことで、集中できそうと感じた時に、その予兆を取り逃がさないで、すぐに仕事に取り掛かれるような状態にしているとのことです。

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青山七恵おすすめ作品8選をご紹介~仕込まれた苦々しい毒を描く~

2007年、「ひとり日和」で、第136回の芥川賞を受賞し、2009年に短編「かけら」で、第35回川端康成文学賞を史上最年少で、受賞します。

2012年から2018年まで、群像新人文学賞の選考委員を務め、2021年から文學界新人賞の選考委員を務めています。

そんな青山七恵氏のおすすめの作品8選をご紹介させていただきますので、お楽しみ下さい。

1、『窓の灯』

傍観的立場の主人公が、姉さんと慕う女性の生き方を見て、最初は不快に感じるのですが、次第に自分も演者側にまわることができることに気が付き成長していく話です。

場面展開が少しばかり強引ですが、十分物語全体の雰囲気が出ていて、全体的に夜で暗い印象の中、窓の灯だけが、眩しく移る対比が素晴らしく作品を引き締めているように思います。

併録されている短編集も同じような構成で、最後の終わり方といい、表題作との関連が、感じられて楽しめます。

ここがポイント

静かな筆使いに、柔らかい感性を乗せた何かしらの雰囲気を持った作品です。

2、『ひとり日和』

母親の海外赴任に伴い、20歳の三田知寿が、71歳の親戚の荻野吟子さん宅に居候した、春夏秋冬の一年間の同居生活の日常が、丁寧に描かれた話です。

知寿は誰かと一緒にいることがちょっと不器用であり、分からないでもないけど、彼女なりの人との距離感が分かる気がします。

年齢差のある二人の微妙な距離感が絶妙で、一層の面白さを掻き立てます。

ここがポイント

とにかく仲が良いのですが、ある地点からは、互いに踏み込ませない、踏み込まないのです。

知寿の一見さめた性格、持って生まれた空気感が、何となく好感が持てます。

じんわりと心に沁みてくる、素晴らしい作品です。

3、『かけら』

表題作を含む3編からなる、中編集です。

かけら:家族で行くはずだったのに、二人だけでサクランボ狩りツアーに参加することになった、父娘の一日を20歳の娘視点で描いています。

気詰まりな時間に父を観察するうちに、存在感の薄い、物足りなさを漂わせる父の意外な一面を発見してしますのです。

欅の部屋:結婚を控えた僕なのですが、同じマンションの別の部屋に住み続ける、元カノの不思議な魅力が気になり・・・。

山猫:東京で暮らす新婚夫婦の家に西表島から従姉妹がやってくるのですが、無口な彼女に対する妻と夫の接し方の違いが面白い。

ここがポイント

多くの人が経験しているような出来事の中を通して、感情の機微を描いてくれている作品です。

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4、『魔法使いクラブ』

魔女になりたいと、魔女になるための練習をする小学4年生の主人公とお友達2人との話です。

魔法使いクラブと名付け、3人の本当の願いが叶うまで、解散しないことを誓ったのです。

ここがポイント

偶然なのか、魔法なのか、願ったこと(人を不幸にすること)が、何となく叶ってしまい、怖くなってしまいます。

月日が流れ、中学生になった3人の話、高校生になった3人の話、3人の関係も段々と変化していったのです。

最後に衝撃的な魔法の正体が、分かります。

5、『花嫁』

和菓子屋を営む父と母、兄、妹の4人家族で、兄の結婚が決まってから、複雑な思いを抱く妹、結婚を決めた兄、切ない秘密を持つ父、もっと凄い秘密を持つ母のそれぞれを主人公にした、4編からなる短編集です。

妹→兄→父→母と語りてが変わっていく4部構成で、兄の結婚にまつわる家族のドタバタ劇が始まるのです。

最初はコミカルな家族の話かと思っていたのですが、とんでもなかったのです。

ここがポイント

後半になるにつれて、どんどん複雑になっていき、意外な展開が待ち受けているのです。

しかしながら、秘密を抱えながらも、家族という体裁を保っていたことは、天晴としか言いようがないです。

ある意味、非情に怖い作品です。

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6、『すみれ』

15歳の藍子の家に、両親の大学時代の友人で、心を患ったレミちゃん(37歳)が居候した約1年を藍子目線で描いた話です。

レミちゃんの衣食住の面倒をみる両親の姿勢は素晴らしいと思う反面、対応は藍子に依存し過ぎていて、両親は腫れ物にでも障るような扱いだったのです。

挙句の果てに取った態度は、そういう筈ではなくても、それまでの全てを偽善と称するに等しいと感じたのです。

ここがポイント

後半に近ずくにつれ、青山氏自身の体験に基づいた作品だと感じましたが、そうだとすれば、多感な時期に誰かを見捨ててしまった実感は傷であり、糧なのだろうと思います。

不安に感じる15歳の藍子が愛おしく感じる作品です。

7、『風』

4編からなる短編集であり、(本の見返し部分に、青山氏直筆のショートショートのような感じで1編記されています)

後の3編は、「二人の場合」、「風」、「ダンス」。

書かれているのは、変わったこともない普通のことばかりなのに、見たこともないようなところへ連れて行ってくれて、見たこともないような景色を見せてくれるような文体です。

「二人の場合」は、こんなこともあるよね、この先自分にもあるかもしれない、とすごくリアルな話として楽しめます。

「風」はエネルギッシュな勢いに転びそうになりながら、引っ張られていくような感じで堪能できます。

「ダンス」はダンスを踊らない(踊れない)女性の物語です。

ここがポイント

人生の時間、そのものがテーマの作品です。

8、『みがわり』

新人賞を受賞したものの、ほぼ無名の20代の作家、律のもとに、律と瓜二つの亡くなった百合の伝記を書いて欲しいと、妹の依頼が舞いこむ話です。

依頼の経緯は緩やかなのですが、徐々に姉と妹の伝言と真実が違ってくるのです。

そして妹の本性が露わになってくるのですが、その時、律は抵抗できない状態にされていたのです。

ここがポイント

次第に、映画の「ミザリー」のような関係になっていくのですが、そこから最後に、もうひと捻りが待っていたのです。

予測のつかないラストですが、タイトルが意味を持つことが分かる作品です。

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まとめ

青山七恵氏の作品のご紹介は、お楽しみ頂けましたでしょうか。

まだ読んでいない作品がありましたら、是非この機会に読んでみて下さい。

読書の楽しみが広がりますよ。

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