元気を与えてくれる、重松清氏のおすすめの作品を10選ご紹介させていただきます。
大学卒業後、出版社に勤務した後、フリーライターとして独立して、ドラマや映画のノベライズ、雑誌記者、ゴーストライターなどを手掛けます。
20以上のペンネームを持ち、その中には女性名や外国人名も含まれています。
重松清おすすめ作品10選をご紹介~自分のフィールドで勝負する~
小説で取り上げられることのなかった、子供のいじめ問題をルポルタージュばりの鋭い切り口で取り上げてから、一躍注目を浴びるようになります。
1991年「ビフォア・ラン」という作品で作家デビューを果し、2000年に「ビタミンF」で第124回直木賞を受賞します。
現代の家族を大きなテーマとした話題の作品を次々に発表していて、ルポルタージュ、時評、評論などの小説以外のジャンルでの執筆活動も多く手掛けています。
そんな重松清氏のおすすめの作品10選をご紹介いたしますので、お楽しみください。
『ナイフ』
小中学生のいじめをテーマに描いた、5編からなる短編集です。
思春期にある、子供のいじめが、いじめられる側、いじめられる子の父親、いじめる側等、様々な視点から描かれていて、いじめという問題に正面から向き合っています。
読むのが辛くなるほど、いじめの酷さが描かれていて、いじめを受けている人物の心理描写が絶妙で、思わず絶句してしまいます。
ここがポイント
生きて行くということは、戦うことでもあり、同時に戦わず、逃げることでもあるのです。
いじめについて、改めて考えさせられる作品です。
『定年ゴジラ』
定年を迎えて引退した、初老の男たち4人の話です。
ニュータウンで戸建てを買い、家族のために必死で働いて、定年を迎えたお父さんたちが、突然訪れた、空白の日々を持て余しつつも、同じ境遇の先輩、後輩たちと交流していく様子が描かれています。
様々なトラブルに出合いながらも、夫婦や仲間たちと協力して、問題を乗り越えていきます。
ここがポイント
現役時代よりも、人間味溢れる、定年ゴジラたちにエールを送りたくなる作品です。
『エイジ』
中二の主人公エイジのクラスメイトが、通り魔事件で逮捕される話です。
子供と大人の狭間で揺れ動く感情や、心身の変化に敏感になっている気持ちがうまく描かれています。
危うい感性などが研ぎ澄まされる中で、怖いほど冷静だったりする、中学二年生の心の葛藤が伺えます。
ここがポイント
思春期という微妙な時代の心情が伝わってくる作品です。
『日曜日の夕刊』
甘いお伽話的な香りが若干漂う、暑苦しさを感じさせない12編からなる短編集です。
ここがポイント
家族やカップルのちょっとしたすれ違いや違和感、身近に起きそうな不安な状況が、リアリティ感たっぷりに描かれています。
ほんのりとしていますが、どうしようもない、自分でも把握できない感情の揺らぎや渦が散りばめられています。
安心感を覚え、元気が出てくる作品です。
『ビタミンF』
優しい気持ちになれますが、切なさも感じてしまう7編からなる短編集です。
40歳前後のお父さんが主人公で、妻から見た自分、子供から見た自分等、自分を異方向から見た時の、思いや感情が鮮明に感じとれます。
自分や家族の生活や心に、どんなビタミンが必要で、どうやって摂ればいいのかを示唆してくれているようです。
ここがポイント
当たり前の日常に感謝したくなる作品です。
『流星ワゴン』
家族との関係や人生に絶望した主人公が時間を遡って、関係の破綻した父や妻、息子と向き合う話です。
人生に失望した主人公の前に現れた、不思議なワゴンに乗って始まる、今までの人生への旅。
過去への向き合い方が変わると、現在も未来も変わっていくものであり、大切なことに気付くのは、いつもそれを失ったあとかもしれません。
ここがポイント
しかし、人生何度でもやり直すことはできるのです。
『きよしこ』
言葉がうまく喋れない、独りぼっちの少年、きよしの7編からなる話です。
伝えたいことを上手く伝えられないときの、孤独感や悔しい気持ちが、痛いほど伝わってきます。
しかし、もどかしさを抱えながらも、それでも自分の意志を貫いて、生きて行く姿が潔くて、感動を覚えます。
ここがポイント
しんどくて、じんとくる読んで良かったと思う作品です。
『その日のまえに』
人の死と別れをテーマにした、7編からなる連作短編集です。
死にゆくものと、残されていくものとの葛藤が描かれていて、胸が締め付けられるような気持ちになってしまいます。
その日は突然やってくることもあるのですから、きちんと受け止められるように準備したいものです。
身近な人が亡くなるということは、突然、心に大きな穴が開いたようになることで、いろいろな想いが心の中で、行き来しているのです。
ここがポイント
健康で生きていけることが、どんなに素晴らしいことかが分かる作品です。
『きみの友だち』
足の不自由な恵美と身体の弱い由香を中心にした、それぞれの友だちについての10編からなる連作短編集です。
彼女たち、そして周りの人間(どこか懐かしくて、もどかしい中学生の日常)にスポットをあてて、ストーリーは展開していきます。
ここがポイント
友だちって何だろう、単なる話相手や、一緒にいる頻度とかいった定量的なものではなく、同じ出来事や思いを共有するお互いであるということが分かります。
幸せな気持ちを思い起こさせてくれる作品です。
『くちぶえ番長』
小学4年生のツヨシのクラスに、一輪車とくちぶえの上手な女の子のマコトが転校してきた話です。
ほっこり感もあり、少し悲しくて、それでもやっぱり温かい、小学生の友情の物語が綴られています。
ここがポイント
穢れのない、子供の純粋な気持ちが伝わってきて、心が洗われたような感じになります。
小学生向けですが、大人が読んでも十分にたのしめる作品です。
泣きたくなったら、くちぶえを吹こう。
まとめ
重松清氏の作品は楽しんでいただけましたでしょうか。
短編を多く執筆していますが、短いながらも感動的な作品は、きっと気に入っていただけたと思います。
まだ読んでいない作品がありましたら、是非この機会に読んでみてください。