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深沢潮おすすめ作品8選をご紹介~ひとつひとつを丁寧な形にする~

人間の業を描いた、深沢潮氏のおすすめの作品8選をご紹介させていただきます。

大学卒業後、会社勤務や日本語教師等を経験し、2012年に「金江のおばさん」という作品で第11回「女による女のためのRー18文学賞」の大賞を受賞し、作家デビューを果します。

東京生まれであり、両親は共に在日韓国人で、自身は結婚・妊娠を機に日本国籍を取得しています。

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深沢潮おすすめ作品8選をご紹介~ひとつひとつを丁寧な形にする~

離婚して、40代になってから小説を書き始めたそうで、昔から物語を考えることが好きだったそうです。

また、子育てや働いたりした経験などで、デビューするのが遅かったのですが、その分、幅広くいろんな人を見ることができ、自分にとってはメリットだと思っているそうです。

セクシャルマイノリティの方から「救われました」と連絡を貰ったことがあるらしく、そうした読者の反応が深沢氏にとっては一番うれしいとのことです。

そんな深沢潮氏のおすすめの作品8選をご紹介させていただきますので、お楽しみください。

1、『縁を結うひと』

お見合いおばさんに纏わる6編からなる連作短編集です。

在日韓国人同士の縁結びをする、お見合いおばさんこと、金江福さんの話であり、在日の人たちの現実が、いろいろな日常から描かれています。

ここがポイント

在日の人たちの生き辛さや葛藤が、縁を結うことによって、つまびらかにされていきます。

ひとり一人の家族を想う気持ちとか、自分以外の人を想う気持ちが丁寧に描かれていて、自分にはどうしようもない現実や、しがらみや、時間や歴史がそこにあるのです。

在日の人たちの暮らしや、抱えている問題が淡々としているようで、深く重く描かれている作品です。

2、『伴侶の偏差値』

35歳で独身、実家暮らしで、結婚したいと願いながらも、不実な男と付き合いを続ける女性の話です。

よく知っているつもりの友人たちも、環境が変われば、付き合い方も変わっていくのは、当たり前なのです。

当初は主人公の真紀に感情移入してしまいますが、実は主人公の真紀が一番自分に素直に生きられなかったのです。

ここがポイント

他人を羨んだり、卑屈になったり、人間なら誰でもが持つ感情だと思いますが、自分の幸せな点に目を向けると、人生はもっと豊かになるのではないかと、純粋に思ってしまいます。

自分で自分を認めることが、一番大切なことだと分かる作品です。

3、『ランチに行きましょう』

ママ友である、5人の悩みや困りごとを、章ごとに書き分けてある連作短編集です。

それぞれに悩みや問題を抱えていて、愛され願望、シングルマザーの再婚話、スピリチュアル、そして不倫等。

ここがポイント

何かを望むということは、何かを犠牲にしなくてはいけないと、いうことではないのに、時にそうなってしまう切なさが描かれています。

5人それぞれに個性が溢れていて、抱えている問題がどうでもいいことから、深刻なことまで様々であり、人の家庭を覗き見しているようで、楽しめる作品です。

4、『ひとかどの父へ』

在日韓国人の父を持つ女性、そしてその母の半生を描いた話です。

幼い頃に父と離れ離れになり、母とは気持ちがすれ違ったまま、育った朋美だったのです。

父が在日韓国人だったことを知った朋美の差別感や、孤独感が痛いほど伝わってきます。

自分のルーツを受け入れられない若い葛藤が丁寧に描かれていて、父との再会により、自分が父にいっぱい愛されていることに気付けたし、父もまた、娘であることを名乗ってはいない自分だけれど、娘であることを確信していたのです。

ここがポイント

切なくも温かい、静かに心が揺さぶられる作品です。

5、『緑と赤』

自分自身が在日韓国人と知らずに育った二十歳の知英が、緑のパスポートを手にするところから話は始まります。

日本にいれば、在日と言われて、帰化したら、裏切り者と言われ、どっちにしても背を向けられてしまうのです。

国籍、肌の色、目の色、性別に関わらず、いろいろな人が世界中にいて、それぞれの考えを持っていて、同じように生きているのだから、お互い尊重していかなくてはいけないのです。

ここがポイント

相手の立場だったらどうするかを考えることが、人を理解する初めの一歩なのです。

当たり前に、忘れがちなことを思い出させてくれる作品です。

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6、『海を抱いて月に眠る』

戦後間もない韓国から、日本へ密入国した、男性の話です。

深沢氏の父親がモチーフになっていて、若くして密航で日本に来て、いつかは韓国へ帰ることを願いながら、歴史の流れに翻弄されていきます。

自分の想いを人に伝えることが不得手であり、妻でさえ理解できぬまま淋しく死んでいったのです。

ここがポイント

遺品にあったノートに綴られていたのは、家族さえ知らなかった父の驚きの半生だったのです。

偽名で暮らさなければならなかった理由や差別等、切なくなる事柄が淡々と書き記されていたのです。

父から子への深くて切ない愛情に、涙が溢れてくる作品です。

7、『かけらのかたち』

恋人、夫婦、家族、母娘などの関係を描いた6編からなる連作短編集です。

大学のテニスサークルで一緒だったグループのそれぞれの、その後が描かれていて、付き合う人、就職、そして結婚と競い合っていきます。

子どもを持つ、持たない、はたまた子供は優秀かなど、果てしのない比較が続いていくのです。

もうすぐ五十代にさしかかる人たちの、嫉妬や妬みの羅列は、見るに堪えられないものがあります。

ここがポイント

人間の業を見せつけられるような、身につまされる作品です。

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8、『翡翠色の海へうたう』

朝鮮から連れてこられた慰安婦と、「朝鮮人慰安婦」をテーマに小説を書こうとする小説家志望の女性の話です。

派遣労働者として、不安定な日々の生活に憔悴しながらも、小説家を目指す主人公が、応募作品の題材に選んだのが、沖縄戦に従軍した朝鮮人慰安婦の歴史だったのです。

並行するように朝鮮半島から従軍慰安婦として沖縄に連れて来られた女性の半生が描かれ、次第に現代を生きる主人公の取材と絡んでくるのです。

ここがポイント

人間の弱さ、愚かさ、残虐性が描かれると同時に、その反面である強さ、優しさを持っている人々が印象的であり、人間という生き物の複雑さが、如実に表れるのが戦争なんだと考えさせられます。

戦争を語るうえで、誰もが正面から向き合いづらい性的な問題に、深沢氏が真正面から向き合った作品です。

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まとめ

深沢潮氏の作品のご紹介は、楽しんでいただけましたでしょうか。

まだ、読んでいない作品がありましたら、是非この機会に読んでみてください。

そして、もっと読書を楽しんでください。

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