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桜庭一樹おすすめ12選をご紹介~小説の美しさが分かる描写~

若者から絶大な支持を受ける、桜庭一樹氏のおすすめの作品12選をご紹介させていただきます。

大学在学中の1993年にDENiMライター新人賞を獲得した後、山田桜丸名義てゲームのシナリオやノベライズを書くようになり、1999年に「夜空に、満点の星」という作品で、第1回ファミ通エンタテインメント大賞の小説部門で佳作を受賞します。

この作品が桜庭一樹名義の最初の小説となります。

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桜庭一樹おすすめ12選をご紹介~小説の美しさが分かる描写~

その後「GOSICKーゴシック」シリーズでライトノベル読者の人気を得て、一般向けレーベルでも「少女には向かない職業」という作品で、注目を浴び、2007年に発刊された「赤朽葉家の伝説」という作品で、第60回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編部門)を受賞しています。

そして翌2008年には、「私の男」という作品で第138回直木賞を受賞し、作品のジャンルも、SF、ミステリー、青春小説と多彩な作品を世に送りだしています。

そんな桜庭一樹氏のおすすめの作品12選をご紹介いたしますのでお楽しみください。

1、『赤×ピンク』

廃校になった小学校のグラウンドで行われる、少女たちの非合法のガールファイトの話です。

八角形の檻の中でしか生きることができない、不器用な三人の女性。

それぞれが、心に傷を負い、生きにくさを感じながらも、自分らしさや、自分の居場所を手に入れたいと、もがく姿は、痛々しく挑発的でありながらも、とても甘く美しいのです。

ここがポイント

思春期と大人の間の不安定な少女とも女性とも違う時間の中で、光の当たる場に立つことができずに、壊れているのが痛みとして感じられます。

どこかに迷い込んで、自分を喪ってしまいたくなるのは、誰しも持っている、感情なのかもしれません。

サバイバルと成長、ほのかな恋が闇の中にいながら、一筋の光として差し込んでくるような印象を受ける作品です。

KADOKAWA
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2、『GOSICK-ゴシック-』

ソヴェール王国という架空の国が舞台であり、そのソヴェールに留学生としてやって来た、久城一弥が聖マルグリット学園内で出会った不思議な美少女であるヴィクトリカと共に、いろいろな難事件を解決していく話です。

過去に起きた豪華客船遭難事故と、現在の一弥とヴィクトリカが招待された豪華客船で巻き込まれる二つのストーリーが、交互に繰り返される構成になっています。

ここがポイント

過去と現在がリンクして行き来する物語の構造は、徐々にそしてゆっくりと視界が開けていくような感じがして、ドキドキ感が味わえます。

時代設定と舞台設定が何とも言えない雰囲気を醸し出していて、とても素敵なミステリー作品です。

3、『推定少女』

義父を弓矢で負傷させてしまった中学3年の少女カナと、謎の記憶喪失の少女白雪との逃亡劇の話です。

逃げるうちに、潜伏先の秋葉原で出会ったSFマニアの少年、千晴の助けも得て、警察や謎の黒スーツ達から逃れていきます。

ここがポイント

友達や学校、進路や将来に漠然と不安を抱き、早く大人になりたくて、でも絶対になりたくないと思う焦燥感を持て余していたのです。

周りの大人たちは勿論、仲のいい友達にも打ち明けられない心の叫びがあったのです。

作中に張りめぐらされた伏線は、三通りのエンディングが用意されているように、読者が回収すべき作品なのです。

4、『砂糖菓子の弾丸は撃ち抜けない』

戦う術のない、逃げ場のない中学生の少女二人、山田なぎさと海野藻屑が、それでも砂糖菓子で戦おうとする話です。

砂糖菓子の弾丸を撃ちまくる人魚を自称する藻屑と、実弾主義のなぎさが関わり、仲を深めていきます。

藻屑の行動一つひとつが悲痛な人生を物語っていて、後半でそれが明かされていく様が、現代の気付かれない虐待や複雑な家庭事情を彷彿させます。

ここがポイント

ライトノベルだからこそ、無理のある設定や現実的でない展開を気にすることなく、直接テーマに触れることができたと思います。

主人公、なぎさと藻屑、実弾と砂糖菓子の弾丸を対照的に絶妙に描いた作品です。

5、『荒野』

12~15歳の思春期真っ只中の、少女、山野内荒野の多感な時期の瑞々しさを丁寧に描いた話です。

小説家の娘である山野内荒野は恋を知らない12歳であり、彼女は中学の入学式の日に、神無月悠也という少年に出逢います。

しかもその少年こそが、父の再婚相手の連れ子だったのです。

ここがポイント

それ以来、これまで見ないようにしていた父と女たちの関係や荒野と悠也との関係が、緩やかに少女を女に変えていったのです。

成長していく過程では、嫌なことも勿論ありますが、基本的に目線は優しく、少し変わった周囲の人たちがいても、極悪人はいなく、物騒な事件も起きない、ストレートな青春作品です。

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6、『少女には向かない職業』

下関近くの小さな島に住む女子中学生の大西葵が、島の閉塞感や家庭の事情により、殺人に手を染めてしまう話です。

葵は学校ではひょうきん者で、人気もあり、みんなから慕われていて、とても犯罪を犯すようには思えませんでした。

しかし、その葵が同じく家庭に複雑な事情を持つ、同級生の宮乃下静香と親しくなったことから、運命が大きく変わってしまうのです。

結局、少女を苦しめ脅えさせる家庭環境に打ち勝ち、逃れるために犯した殺人には、少女の魂は耐えられなかったのです。

ここがポイント

耐えても地獄、行動しても地獄であり、幼い少女にはそもそも自分で人生を切り開くような圧倒的な力はなかったのです。

奇抜なタイトルと独創的な世界観に包まれた作品です。

7、『赤朽葉家の伝説』

赤朽葉家3代にわたる女性の人生を、末代の瞳子が祖母、万葉と母、毛鞠から見聞きしたことを語っていく物語です。

山の民の血を引き継ぐ千里眼を持つ不思議な祖母、暴走族の頭となって中国地方を仕切った母、そして人生に未だに目的を見出せない現代っ子の瞳子。

ストーリー展開も面白いのですが、それ以上に戦後や高度経済成長期、バブル、低迷期といった時代の中で、それぞれの世代の生き方や、価値観が形成されていく様が楽しめます。

ここがポイント

時代の空気によって、これほどまでに生き様が変わるのかと思わされてしまいます。

それぞれに趣向の違う三つのパートが互いに共鳴し、豊かで濃密な物語世界が紡がれる作品です。

8、『私の男』

娘の結婚式から、娘を養女として引き取った日まで、時を逆行しながら描く父と娘の話です。

主人公の娘、花と16歳年上の養父の淳悟が、互いを与え尽くし、奪い合う関係を選び取り、惑溺し墜ちていった15年間を遡っていく中、2件の殺人事件の真相が明らかになっていきます。

しかし、本当の戦慄すべき謎は殺人事件ではなかったのです。

そして、淳悟が花を抱きながら、洩らす言葉が分かった時に、胸の奥底からせりあがってくる深い悲しみに打ちのめされてしまうのです。

ここがポイント

花と淳悟の関係はとてつもなく淫靡であり、反社会的で、忌まわしいものなのです。

完成された世界観があり、章を追うごとに過去へ遡る構成と花の心の描写が秀逸な作品です。

9、『少女七竈と七人の可愛そうな大人』

いんらんな母親から生まれた女性、七竈は美貌ゆえ、様々なしがらみを抱えて生きていかなくてはならない話です。

美しいことを除けば、七竈はいたって普通の女子高生であり、エキセントリックさもバイオレンスもないのです。

それ故、周囲の注目を集めずにいられないがゆえの孤独を癒すのは、幼馴染の美少年である雪風と鉄道模型だったのです。

そして可愛そうな大人たちは、その美しいかんばせを利用せんとして、七竈の美貌に心をかき乱されてしまうのです。

ここがポイント

美の持つ残酷で哀しい引力は、それほどに本能に深く刻み込まれているのだろうかと思ってしまいます。

儚い劇を観ているかのような作品です。

10、『ほんとうの花を見せにきた』

竹から生まれた吸血鬼バンブーと、人間との悲しくて惨い話が3編綴られた連作短編集です。

死の淵にあった少年を助け、この上ない愛情を注ぎ、育てる心優しき竹のお化けのバンブー。

ここがポイント

厳格な掟を破ってまでも、少年を守り育てたのは、体温を持たず、悠久の時を生きるバンブーにとって、熱を持つ人間の命は彼らが見ることのできない光そのものであり、憧れであったのです。

たとえ破局を迎えようとも愛して止まない希望の光だったのです。

悲しき優しいバンブーとの幼い少年の心の交流が、涙を誘います。

悲しくても、温かい気持ちにさせてくれる作品です。

11、『じごくゆきっ』

逃避をテーマにした、怖くて不思議な7編からなる短編集です。

大人と子供の境界が怪しくなり、現実と夢想の境界も怪しくなり、そして幸せと苦しみの境界も怪しくなってしまいます。

読んでいるうちに自分の立ち位置や、大人としての自覚や自負が、曖昧にぼやけていって、迷子になってしまったような心細さを覚えてしまいます。

それでもなんだか、懐かしくも胸が締め付けられる気配を感じてしまうのです。

ここがポイント

心もとないけど、心地よい、そんな不思議な感覚に陥ってしまう作品です。

集英社
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12、『GOSICK RED』

第二次世界大戦後に、ニューヨークで暮らし始めた久城一弥とヴィクトリカの二人が、イタリアンマフィアの殺人事件の解明を依頼される話です。

ニューヨークに渡った久城とヴィクトリカは、それぞれデイリーロード社の見習い記者、グレイウルフ探偵社の私立探偵として新生活を始めます。

マフィアの連続殺人事件から大統領候補暗殺未遂に繋がる、スケールの大きな話に、まだ発足間もないFBIのフーヴァー長官が事件の背後にいたりと、これからの活躍に俄然、期待が高まる内容になっています。

ここがポイント

新キャラたちも加わって、これから二人がどんな事件に立ち向かっていくのか楽しみになります。

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まとめ

桜庭一樹氏の作品のご紹介はお楽しみ頂けましたでしょうか。

まだ、読んでいない作品がありましたら是非、この機会に読んでみて下さい。

読書の楽しみが広がりますよ。

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