恐怖を突き詰めた、小野不由美氏のおすすめ作品9選をご紹介させていただきます。
大谷大学在学中に、京都大学推理小説研究会に所属し、同時期の部員には、後に小説家となる、綾辻行人氏、法月綸太郎氏、我孫子武丸氏がいました。
卒業後、大学時代に書いた小説を読んだ編集者から、小説を書くことを勧められ、1988年に「バースデイ・イブは眠れない」という作品で、講談社X文庫ティーンズハートから、作家デビューを果します。
小野不由美おすすめ作品9選をご紹介~居心地の悪い怖さを描写~
作風としましては、ホラー的な要素を強めた本格ミステリーが主流ですが、ドキュメンタリー・ホラーにも踏み込み、その片鱗をみせています。
デビュー以来、基本的には人前には出ず、顔写真も公開していなく、山本周五郎賞を受賞した際も会見は行わず、電話インタビューのみで済ましています。
そんな小野不由美氏のおすすめ作品9選をご紹介いたしますので、どうぞお楽しみください。
1、『月の影 影の海 十二国記1』上・下
十二国という異世界に迷い込んだ、女子高生の陽子の過酷な旅を描いた話です。
陽子という平凡な女子高生が、周りから助けられながら、国を守るために戦っていくのです。
あんなに気弱だった陽子が、少しずつ逞しく強くなっていく姿に感動してしまいます。
苦しかった序盤を乗り越え、中盤から終盤にかけては一気に世界が開けていくようで、高揚感で満たされます。
ここがポイント
その世界観にワクワクしてしまう作品です。
2、『東亰異聞』
江戸の情緒の残り香と、文明開化の風が入り混じる東亰を舞台に、魑魅魍魎の仕業と思われる事件が起こる話です。
新聞記者の平河は、それらの奇怪な事件を追ううちに、公爵家のお家騒動に行き当たってしまうのです。
ここがポイント
構成は本格ミステリーなのですが、ミステリーのロジックに幻想怪奇が絡まったり、事件の様相が反転したりして、幻想とミステリーの両方の醍醐味が味わえます。
どこか江戸川乱歩氏の世界を感じてしまう作品です。
3、『屍鬼(一)』
三方を尾根に囲まれた、独特な因習が残る外場村で、不審死や異変が続く話です。
一人二人と村人が次々と不審な死を遂げ、じわりじわりと何かが村を蝕んでいくのです。
多角的な人物描写と、田舎の小さなコミュニティでの村人の立ち居振る舞いが、とても丁寧に描かれています。
ここがポイント
真綿で首を絞められるような恐怖が、徐々に始まり、落ち着かない感じで、全5巻まで恐ろしい話は続いていくのです。
4、『黒祠の島』
邪教が根付く閉鎖された島が、舞台の民俗的な話が絡んだ物語です。
消えたライターの女性を捜すために、島に渡った探偵が彼女の行方を巡って、島の秘密を探っていきます。
閉鎖された島の雰囲気や、不穏な気配、陰陽五行を用いた謎解きや惨殺された女の亡骸などは、十二分に恐ろしく、謎が謎を呼ぶ展開になっています。
ここがポイント
ミステリー的な要所も随所にあって、かなり楽しめる作品です。
5、『くらのかみ』
遺産に関する話し合いで親族が集められた中、その子供たちが「四人ゲーム」で遊んでいるうちに、いないはずの一人が加わって五人の子供たちになってしまった話です。
そして遺産相続に纏わる殺人事件が発生し、一人増えた五人の子供たちが、事件解決に挑んでいくのです。
たたり、座敷童、沼、井戸とそれなりに怖い要素がたくさん詰まっていて、それなりの雰囲気を醸し出しています。
ここがポイント
ドキドキ、ハラハラ感もしっかりとあり、適度に怖く夏の夜にピッタリな作品です。
6、『ゴーストハント1』
高校の旧校舎を取り壊そうとすると事故が起き、その原因を突き止めるために、集められた霊能者たちが謎に挑む話です。
旧校舎で生じる現象は霊の仕業なのか、それとも科学的に証明できる事柄なのか。
ひょんなことから、その見極めの手伝いをすることになった主人公の麻衣なのですが、幽霊がいる派といない派に分かれ、一体どっちなのだろうかと、ハラハラドキドキした展開でストーリーは進んでいきます。
ここがポイント
ホラーミステリーの要素がしっかりと詰まっているので、本当に怖い作品です。
7、『鬼談百景』
身近に起きた怪奇現象や、不思議な出来事が詰まった99の話です。
どの話も1~4Pくらいで終わるものばかりですが、確実に怖がらせてくれます。
スプラッタホラーのようなグロテスクさは一切ありませんが、学校とか家庭内が題材の話が結構多く、身近な事柄だけに余計に怖くなってしまいます。
ここがポイント
夜一人で読んでいると、背後や扉の向こうが気になってしまいますよ。
8、『残穢』
新しく入居したマンションで、奇怪な現象に悩まされる女性の手紙から、物語ははじまります。
穢れの発端を探していくうちに、周りで起こる怪異や身体の異変、そして原因を突き止めるために現代から明治大正期まで遡っていきます。
怪談話がルポルタージュ風に話が進んでいく様は、リアリティ感がたっぷりで、背筋が凍りそうになってしまいます。
ここがポイント
事実も多分に含まれているので、かなりの真実味をも感じてしまいます。
怪異も派手すぎず、現実味がある作品です。
9、『営繕かるかや怪異譚』
住居に纏わる怪異を営繕屋である尾端が修繕する、6編からなるホラー連作短編集です。
家屋には、そこに暮らしていた人々の記憶とか、歴史が堆積されているのです。
ここがポイント
絶叫する怖さではなく、背中がゾクゾクするような感覚で静かな恐怖が味わうことができます。
心がふるえる恐怖と同時に、感動が味わえる作品でもあります。
まとめ
小野不由美氏の作品のご紹介はお楽しみ頂けましたでしょうか。
まだ読んでいない作品がありましたら、是非この機会に読んでみてください。
そしてもっと怖がってください。