小技の利いた技法が魅力の大倉崇裕氏のおすすめの作品8選をご紹介させていただきます。
大学卒業後、洋酒系企業、警察雑誌の編集部勤務をしながらも、小説講座に通い、作家なるために勉強していきます。
いくつかのミステリー系新人賞に応募し、ついに、1998年に「ツール&ストール」という作品で第20回小説推理新人賞を受賞します。
そして、2001年に「三人目の幽霊」という作品で、作家デビューを果たします。
大倉崇裕おすすめ作品8選をご紹介~小技の利いた、技法で魅了~
大倉氏は怪獣や特撮、フィギュアなどにも造詣が深く、これらを題材にした、作品も発表しています。
また、人気の「ウルトラマンマックス」第7話の脚本とか、「刑事コロンボ殺しの序曲」などの翻訳(ノベライズ)なども手掛けています。
そんな大倉崇裕氏のおすすめの作品8選をご紹介いたしますので、どうぞお楽しみください。
1、『三人目の幽霊』
落語シリーズの第一弾であり、落語の世界で起きる、謎を扱った5編からなる短編集です。
落語の専門誌の編集長とそこの女性編集者のコンビが、落語にまつわる小さな謎に挑んでいくのです。
敵対する二つの一門、名跡の跡目争いなどを題材にしていて、高座の場面では、落語の有名どころを知ることもできます。
ここがポイント
事件の種類が豊富なので、飽きることなく楽しめる作品です。
2、『七度狐』
落語シリーズの第二弾であり、大雨で陸の孤島と化した、村で次々に起きる噺家一門の連続見立て殺人の話です。
ここがポイント
明るいはずの落語世界の裏側には、芸に執着した男たちの渦巻く凄まじいまでの陰鬱な念が籠っていたのです。
40年以上も前の失踪事件が、跡継ぎ問題で揺れる一門に大きな影となって、襲いかかっていくのです。
大変よく練られた話であり、ラストも切なく、落語好きには堪らない作品です。
3、『福家警部補の挨拶』
福家警部補シリーズ第一弾であり、捜査一課の女性警部補である、福家を主人公とした倒叙ミステリー形式で4編が、収録されています。
初対面の相手に対しても、堂々と切り込んでいく福家の様は、ドキドキしながらも楽しい感覚を与えてくれます。
犯人が仕掛ける小細工や、犯したミスを、その鋭い感覚と閃きで、追い詰める様は爽快であり、スカットします。
ここがポイント
安心感がクセになりそうな作品です。
4、『聖域』
かつての相棒の滑落の真相を探るため、再び山と向き合うこととなった、男を描いた山岳ミステリーです。
山登りに関しては優れた技能を持つ親友が遭難してしまい、事故なのか、自殺なのか、はたまた殺人なのか。
迫真の文章とリアルな表現、山への熱い思い入れも伝わってきて、グイグイと引き込まれてしまいます。
ここがポイント
真相へと迫っていく過程が、ハラハラドキドキ感満載の作品です。
5、『白虹』
山小屋で働く元警官が、山での事故をきっかけに、いくつもの事件が縺れ合う謎に巻き込まれていく話です。
事件を追うことで、逃げていたものとしっかりと向き合うことになり、再生していく様子が伺えます。
ここがポイント
山の厳しさ、恐ろしさが伝わってくると同時に、山の魅力に憑りつかれてしまう人間の情熱も伝わってきます。
アクション的な描写はあまりありませんが、丁寧に組み立てられた作品です。
6、『樹海警察』
ここがポイント
富士の樹海で、死体処理を専門とする部署の様子が描かれた3編からなる短編集です。
頭の固い上司と、有能であるが自由すぎる部下たちとの面白い掛け合いがとても楽しめます。
ミステリー性も多分にあり、時々ドキッとする場面に遭遇したり、殺された被害者を遺棄する犯人とか、自殺を思わせる手口が臨場感タップリに描かれています。
リアリティ感に、あふれた作品です。
7、『福家警部補の考察』
福家警部補シリーズ第5弾であり、それぞれに趣向を凝らした倒叙ミステリーを集めた4編からなる短編集です。
ここがポイント
小さな疑問を冷静に追求し、最後に真実に行き着くその過程を、今回も十分に満喫できます。
安定しつつ、マンネリ化にならない変化をつける描写は、流石というほかはありません。
犯人との駆け引きが、かなり楽しめる作品です。
8、『死神刑事』
無罪が確定した事件を主人公の刑事(儀藤堅忍)と彼が選んだ相棒(大邊誠)が再調査する話です。
彼に相棒として選ばれたものは、警察の中で居場所を失い、その将来も閉ざされるという、その儀藤こそ「死神」なのです。
ここがポイント
しかし、その死神と呼ばれる刑事こそが、次々と奇妙な疑問を繰り出して、いつの間にか、事件の核心を掴んでいくのです。
逃げ得は断じて許さないという信念に、エールを送りたくなる作品です。
まとめ
大倉崇裕氏の作品のご紹介は、お楽しみいただけましたでしょうか。
まだ読んでいない作品がありましたら、是非、この機会に読んでみてください。
読書の楽しみが広がりますよ。