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町田そのこおすすめ作品8選をご紹介~背中を押す作品を描く~

跳ねるクジラ

自分を健やかに保つことをモットーにしている、町田そのこ氏のおすすめの作品8選をご紹介させていただきます。

福岡県出身であり、10歳の時に、母親から薦められた氷室冴子氏の「クララ白書」や「なんて素敵にジャパネスク」という作品に魅了され、絶対に作家になろうと思ったそうです。

高校卒業後、理容師の専門学校に通い、理容師になるも1年で退職し、いくつかの職に就き、20代半ばで結婚します。

専業主婦をしていた28歳の時、子供の頃の夢であった小説家を志して、2016年「カメルーンの青い魚」という作品で、新潮社主催の女による女のためのR-18文学賞の大賞を受賞します。

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町田そのこおすすめ作品8選をご紹介~背中を押す作品を描く~

2017年には「カメルーンの青い魚」を含む短編集「夜空に泳ぐチョコレートグラミー」という作品で、作家デビューを果します。

2021年には「52ヘルツのクジラたち」で本屋大賞を受賞し、作家としての地位を確立していきます。

既婚で、子どもさんは3人いて、家事の合間に地元福岡で、執筆活動を続けているそうです。

そんな町田そのこ氏のおすすめの作品8選をご紹介させていただきますので、お楽しみ下さい。

1、『夜空に泳ぐチョコレートグラミー』

人とのつながりから、誕生そして、終わりまでが濃縮された、正に人生の一端を垣間見ることのできる5編からなる連作短編集です。

各話の語りてが、それぞれ変わりますますが、その世界観は繋がっているのです。

しかし誰かが欠けていたり、自分の何かが欠けていたり、完璧な人などいないという事に、侘しさを感じてしまいます。

陸地でそして狭い世界で、酸素を懸命に吸い込むように不格好に生きる魚たちが、海へと泳ぎつくのはいつになるのでしょうか。

ここがポイント

随所に散りばめられた表現のセンスの良さが素晴らしく、力強さと極限に近いまでの暗さも印象的です。

たった一人でも自分を分ってくれる人が、この世界のどこかにいると思え、希望が湧いてくる作品です。

2、『ぎょらん』

人が死ぬ瞬間に現れる、強い想いのこもった赤い珠(通称ぎょらん)をめぐる6編からなる連作短編集です。

死んでしまった友人のぎょらんを大学一年の時、食べて以来、引きこもりとなっていた三十路のニートである御舟朱鷺が、地方の葬儀社で働き始め、様々な人と関わることによって、少しずつ成長していきます。

ぎょらんに救われる人もいれば、囚われるひともいて、人の数だけ死があり、死との関わり方は人それぞれ違うことが分かります。

ここがポイント

人は必ずいつか死ぬので、後の人に何を残すのか、考えておくことも大切なのです。

じんわり穏やかに感動できる作品です。

3、『うつくしが丘の不幸の家』

築二十五年の三階建ての一軒家を舞台に、現在から過去に遡って五つの家族の出来事を綴った連作短編集です。

夫婦で暮らすために、この家を購入した美容師の美保理は、越してきた早々に「不幸の家」だと聞いて不安になってしまいます。

過去に住んでいた住人の出来事である、義理の両親の裏切り、息子の孕ませ、DV、不妊、夜逃げ等、様々な事情を抱えた家族が描かれています。

段々と過去に遡る形の連作になっていて、各々の繋がりが面白く、最終的には少しずつですが、明るい兆しがみえてくるのです。

戸建てと言えば、幸せの象徴のように思われますが、実際はローンの重圧や空間の広さ故の家族の心の距離の開きなどの現実もあるのです。

ここがポイント

しかし、家はあくまでも、入れものにすぎず、幸せかどうかは、他人が決めることではなく、自分次第という事を教えてくれている作品です。

4、『52ヘルツのクジラたち』

家族や恋人のせいで、一時は心が死んだ状態になっていた貴瑚が、ムシと呼ばれ虐待を受けている少年と出会うことで、生きる力を取り戻す話です。

52ヘルツという高い周波数で哭き、仲間とも交信できずに海中を泳ぐクジラがいたことを知り、届けたい声が、誰にも届かないことをこのクジラと重ね合わせたのが、深く胸に突き刺さってしまいます。

声にならない声を叫び続け、必死になって叫び続ける、それでも届かない。

手を差し伸べることもできず、そうやって皆、加害者にも被害者にもなっていくのだろうか。

声にならなくても、言葉にならなくても、想いよ届けと願う。

それでもどこにも届かない想いは、どこに向かいどんな形に変わっていってしまうのか。

ここがポイント

その先を示そうとしている作品だと思います。

5、『コンビニ兄弟―テンダネス門司港こがね村店―

九州だけに展開しているコンビニチェーンの「テンダネス門司港こがね村店」で働く人たちと、利用客たちが織りなす希望に溢れる6話からなる連作短編集です。

今の仕事とか叶えたい夢の狭間で、悩む若者、老夫婦にふりかかる問題、人間関係が拗れた中学生、たまたま利用した客や従業員が織りなすちょっと悩める日常が描かれています。

フェロモン店長という、あり得ない設定ですが、個性的な人物に囲まれ、互いに助け合っていき、コロナ禍で使えないイートインは憩いの場として有効に活用されているのです。

ここがポイント

いろんな人が日々の暮らしの中で、拠り所とするコンビニ、ほのぼの感が伝わってくる作品です。

6、『星を掬う』

小学校1年の時に母に捨てられた過去を持つ、主人公の千鶴は、大人になっても夫のDVに悩まされるなど、酷い生活を送っている中、過去の母との出来事を賞金欲しさから、ラジオに投稿し、母と再会してしまう話です。

再会した母は若年性アルツハイマー病を患っていて、しかも母の聖子をママと慕う恵真と、家事を任されている彩子と一緒に住んでいたのです。

彼女達も同じように家族に恵まれず、傷ついていたのです。

ここがポイント

そしてアルツハイマーになっていた母、聖子を千鶴はどう受け止めるのか、聖子は千鶴をどう愛するのかが、この物語の根幹になります。

自分の痛みにばかり声高で、周りの痛みを気にしない弱者の暴力、誰かのせいにして思考停止されてきた甘えが分かる作品です。

7、『宙ごはん』

育ててくれた「ママ」風海と、生んでくれた「お母さん」花野の二人の母がいる宙の成長物語です。

宙が小学校に上がる時、風海家族の海外赴任を切っ掛けに、宙は花野と暮らすことになります。

最初は、ごはんも作らない、授業参観にも来ない、宙の面倒もみないで、恋人とデートに行く、花野でした。

花野の代わりに手を差し伸べてくれたのは、花野の中学時代の後輩で、商店街のビストロで働く佐伯だったのです。

佐伯は毎日のご飯も用意してくれて、宙の話相手にもなってくれたのです。

辛いことや悲しい出来事があっても、温かくて美味しい料理で、心がほぐれるのです。

ここがポイント

優しくてとてもいい娘に育った宙と花野の母子関係が、時を経ることによって、とてもいい関係に変わっていく過程に感動してしまいます。

とても優しい気持ちになれる作品です。

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8、『あなたはここにいなくとも』

家族や恋人による人間関係に疲れた女性たちが、おばあちゃんの言葉や行動で、癒される5編からなる短編集です。

たとえ別れて、そこにはもういなくても、心の奥に深く残る人たちの気配が満ちていて、人と出会い生きることが愛おしく感じることができます。

悩んだり、迷ったり、躓いたりと気持ちが少し後ろ向きになってしまった時に、もつれた心を解きほぐす温かな言葉が綴られています。

ここがポイント

多くの経験を重ねてきた人生の先輩たちの言葉は、さりげないけれど、理にかなっていて、それ故、心に沁みてくるのです。

切ない中にも、前向きのメッセージが読み取れる作品です。

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まとめ

町田そのこ氏のおすすめの作品のご紹介は、お楽しみ頂けましたでしょうか。

あなたの背中を押してくれる作品に、きっと出会えると思います。

まだ読んでいない作品がありましたら、是非ともこの機会に読んでみて下さい。

素晴らしい出会いがありますよ。

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