優しい感性で描く、小路幸也氏のおすすめの作品を10選ご紹介させていただきます。
高専を中退したあと、札幌の広告会社へ就職し、ライター、エディター、プランナーとして働く傍ら、30歳の誕生日に職業としての作家を志します。
そしてついに、2002年に「空を見上げる古い歌を口ずさむPulp-town fiction」で第29回メフィスト賞を受賞し、作家デビューを果します。
小路幸也おすすめ作品10選をご紹介~包み込むような優しい感性~
小路氏特有の包み込むような優しい感性で、青春もの、家族ものからミステリー、SFまで多彩なエンターテインメント作品を発表しています。
私生活では本、映画、音楽、スポーツをこよなく愛していて、特にサッカー好きであり、地元のコンサドーレ札幌を応援しています。
そんな小路幸也氏のおすすめの作品を10選ご紹介させていただきますので、どうぞお楽しみください。
『ホームタウン』
妹、木実から結婚の知らせが届いた直後に、妹とその婚約者が失踪してしまう話です。
そのことを調べるために、兄の柾人は決して戻ることのなかった故郷の北海道、旭川へ向かいます。
そしてそこで、人間の持つ様々な闇の部分と温かさを垣間見ることにより、自分の過去とも向き合うことになります。
ここがポイント
人生、そうも簡単に捨てたもんじゃないよな、と思わせてくれる作品です。
『東京バンドワゴン』
東京バンドワゴンシリーズの第一弾であり、東京、下町の古本屋である「東京バンドワゴン」の周りで日々起きる事件の話です。
古本屋兼カフェを舞台にしたような家で親子4代が暮しています。
ここがポイント
語り手はまさかの幽霊であり、殺人が起きない日常ミステリーが、おもしろ可笑しく展開していきます。
古き良き日本の家族という言葉がしっくりくる作品です。
『キサトア』
色の判別できないアーチ少年と、朝と夜それぞれ真逆の時間に眠る双子の姉妹のキサとトア、そして、風のエキスパートである父が暮らす海辺の小さな町が舞台の話です。
ジブリの世界観のような雰囲気が漂っていて、自然との共存、人との絆が大切に描かれています。
ここがポイント
子供のうちにやっておくべき事、大人が持つべき資質が話の中で丁寧に伝えられています。
自然と共存して生きることの大切さを教えてくれる作品です。
『東京公園』
写真家を目指す大学生の圭司が偶然公園で出会った男性から、奇妙な依頼を受ける話です。
その依頼というのが、「妻の百合香を尾行して、写真を撮ってほしい」というものだったのです。
そして8つの公園を巡りながら、カメラ越しに百合香を見つめる圭司はいつしか彼女に惹かれていってしまうのです。
ここがポイント
憧れが、恋へと成長する直前の切なくも、もどかしい気持ちを描いた作品です。
『ダウンタウン』
狭くて小さな喫茶店「ぶろっく」で成長していく、高校生の僕の話です。
一人の男子高校生と喫茶店「ぶろっく」に集う常連客の女性たちが織りなす話であり、それぞれにいろいろな事情をかかえていることが分かります。
この年代に流行ったの音楽や漫画、車の車種などがとても懐かしく描かれていて、その当時を思い出してしまいます。
ここがポイント
どこにでもいるような仲間たちの、どこにでもあるような優しさに、乾杯したくなる作品です。
『モーニング』
ダイ・シリーズの第一弾であり、福岡での仲間の葬儀に出席した20数年ぶりに遭った、大学時代の親友の四人のうちの一人が自殺すると言い出した為、急遽、その理由を探るために4人が東京まで一緒にドライブする話です。
何故、急に自殺すると言い出したのか、根本的な謎を大学時代の思い出を振り返りながら探っていきます。
少しのほろ苦さもあり、人生で一番楽しかった時代を思い出す時間は本当に、なくなってしまったんじゃないかと思ってしまいます。
ここがポイント
切なくもあるのですが、温もりのある作品です。
『ピースメーカー』
1970年代の私立中学で対立する文科部と運動部の部活動の中立的な立場である、放送部を舞台に部員が問題を解決する話です。
そんな放送部の良平とケンちゃんは、それぞれに持っているとっておきの武器と秘密兵器を生かして、皆がハッピーになるために日々、奔走していきます。
ここがポイント
お昼の校内放送、濃くて密なる青春のひと時が走馬灯のように蘇り、タイムスリップしたかのような気分にしてくれます。
懐かしさと共にほろ苦さも感じる青春物語です。
『キシャツー』
北海道の海に面した、とある田舎街を舞台にした、爽やかな青春物語です。
女子高生3人が、ある夏出会った東京の男子高校生とのふれあいの中、彼の旅の目的に協力していきます。
それぞれの登場人物が抱える家族や将来の悩みを、キシャツー(汽車通学)の仲間たちと分かち合う様子が丁寧に描かれています。
ここがポイント
心地良い風に吹かれたような、清涼感が溢れる作品です
『娘の結婚』
早くに妻を亡くし、男手一つで育てた娘が、結婚相手を連れてくるという話です。
相手は幼馴染の青年だったのですが、実はその母親が亡き妻との間に確執があったのです。
娘を嫁に出す父親の心境の変化が、過不足なく、簡潔に表現されていて、しみじみさせられます。
ここがポイント
優しさや温かさがたくさん込められている作品です。
『すべての神様の十月』
死神、貧乏神、福の神とかの神様がいっぱいでてくる6編からなる連作短編集です。
疫病神とか貧乏神のようなネガティブなイメージがある神様でも、その存在の解釈がとてもポジティブに優しく描かれています。
ここがポイント
人は神様から様々な恩恵を受けていると同時に、神様たちも人々の信仰によって、存在できていると思えてきます。
読後感はとても良く、仕事で疲れた時などに読むと、癒される作品です。
まとめ
小路幸也氏の作品はいかがでしたでしょうか
まだ、読んでいない作品がありましたら、是非この機会に読んでみてください。
楽しみが広がりますよ。