趣向を凝らした作風の山口雅也氏のおすすめの作品8選をご紹介させていただきます。
1989年に東京創元社の「鮎川哲也と十三の謎」にて『生ける屍の死』という作品で作家デビューを果たします。
その作風は謎解きを軸とした本格ミステリーであり、他方面に渡る博識を生かした特殊な状況設定等が得意分野です。
この記事の目次
山口雅也おすすめ作品8選をご紹介~意識的に逸脱した舞台設定~
また、本格ミステリーのみならずジャンルは幅広く、安楽椅子もの、社会派ミステリー、サスペンス・ホラー等を手掛けています。
趣味も幅広く、ミステリーに関連する古書、映画、テレビドラマなどの関連グッズも集めているそうです。
そんな山口雅也氏のおすすめ作品を刊行順に8選ご紹介させていただきますので、お楽しみください。
《生ける屍の死》上・下
死者が次々に蘇る世界で謎の死を遂げた主人公が自ら犯人を捜す話。
死者が蘇るというとんでもない設定があるにも関わらず、ミステリーとしての秩序が保たれています。
斬新な世界観が味わえて、見事なまでの論理的帰結とその世界の終りを予見させるラストに驚愕します。
間違いなく強烈なインパクトのある作品です。
《キッド・ピストルズの冒瀆 パンク=マザーグースの事件簿》
パラレルワールドの英国を舞台にした4編からなる短編集。
キッド・ピストルズシリーズの第一弾であり、警察以上の捜査権を与えられたパンク刑事がマザーグース絡みの事件の謎を解いていきます。
登場人物や事件が奇抜ですが、中身はしっかりとした本格ミステリーなので楽しめます。
それぞれに趣向が凝らされている作品です。
《13人目の探偵士》
キッド・ピストルズシリーズ第二弾で、もとはゲームブックとして書かれたものであり、小説形式に加筆修正された作品なのです。
主人公は記憶喪失の状態であり、3人の探偵の誰に仕事を依頼するかで、ストーリーが変わっていきます。
連続殺人犯の猫とは誰、記憶を失った私は何者なのか、謎とトリックが面白い位に纏まっています。
本格推理の世界を楽しめる作品です。
《日本殺人事件》
アメリカ人の推理作家が書いた日本が舞台の小説を著者が、和訳したスタイルの一風変わった3編からなるミステリー。
「切腹」「茶道」「郭」それぞれに視点をあてた短編ミステリーがこの独特の事件の解決を見せるのが面白く描かれています。
一見、パロディのような背景ながらもミステリーは正統派できっちりとしています。
新鮮な感覚で読むことができる作品です。
《ミステリーズ》
音楽CDを模したようなDISC-1とDISC-2に分かれ、それぞれに5編が収録されている短編集。
密室殺人やブラックな話、叙述トリックやホラーのような作品まで幅広く入っていてかなり楽しめます。
しばらくしたら、また読み返したくなる作品です。
《ミステリー倶楽部へ行こう》
山口氏のミステリー関連のエッセイや書評を集めた珠玉の一冊です。
1970年代末から90年代までのかなり長い期間のものが収められています。
ミステリー初心者のガイドブックとしても最適であり、究極の作品です。
《マニアックス》
センスの良さを十分に味わえる7編からなる短編集。
ミステリーベースを基調として、ウイットに富んだブラックユーモア&ホラーが愉しめます。
現実と虚構が入り混じり、何とも言えぬ不思議な余韻が残ります。
スキマ時間に読むには最適の作品です。
《奇偶》上・下
とんでもなく偶然が重なった連続怪死事件が起きて、偶然や必然の定義について、問われる話。
量子力学、確率論、宇宙理論、易学など様々なアプローチで描写されています。
全ての事件に偶然居合わせる主人公の意味するものは何なのか、とてつもない偶然なのか。
偶然の迷宮が楽しめる作品です。
まとめ
意識的に逸脱した山口雅也氏の作品はいかがでしたでしょうか。
かなり読み手を選ぶ作品が多いかもしれませんが、一度足を踏み入れましたら抜け出れなくなってしまいそうです。
この機会に是非読んでみてください。