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笠井潔おすすめ作品8選をご紹介~哲学的主題で読者を魅了する~

丁寧な描写の笠井潔氏のおすすめの作品8選をご紹介させていただきます。

大学を除籍された後、1974年から2年間のパリ滞在中に草稿を書いた「バイバイ、エンジェル」という作品で1979年に第6回角川小説賞を受賞して、作家デビューを果たします。

また小説執筆と並行して、SF・ミステリー小説への評論活動も行い、ユリイカ(芸術総合誌)などへの寄稿も行っています。

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笠井潔おすすめ作品8選をご紹介~哲学的主題で読者を魅了する~

小説家としての仕事と並行して、思想家・哲学者としての仕事も旺盛にこなしています。

また、美少女ゲームにも関心があり、シナリオライターである、奈須きのこの小説「空の境界」の解説も手掛けています。

かっては、日本SF作家クラブの会員であり、笠井氏の提案により、SF評論の新人章「日本SF評論章」が創設されました。

そんな笠井潔氏のおすすめの作品8選をご紹介いたしますので、お楽しみください。

1、『バイバイ・エンジェル』

矢吹駆シリーズの第一弾であり、フランスのパリのアパートの一室で、発見された首無し死体の謎が、メインの話です。

首を切られた理由について、哲学的な視点から、謎解きする展開もユニークであり、ミステリー的な部分よりも、その背景にある狂信的な危険思想に、重きを置いているような気がします。

笠井氏が哲学にも明るいので、ふんだんにその要素が使われていて、矢吹駆の手法である現象学をはじめとして、事件の背景にも他では見ることのできない思想的なものが隠されているのです。

ここがポイント

哲学分野である現象学がまるでミステリーの中に溶け込んでいて、自然な形を帯びている作品です。

2、『サマー・アポカリプス』

矢吹駆シリーズの第二弾であり、南フランスの富豪一家に起こるカタリ派のモチーフが、散りばめられた連続殺人事件を傍観者的な立場の名探偵、矢吹駆が挑んでいく話です。

歴史的背景や宗教的な話が、かなり語られますので、少々難解に思いますが、前作同様、大変読み応えはあります。

ここがポイント

特にナチスや暗殺者集団や秘密結社、隠された秘宝など、単なる殺人事件ミステリーだけに止まらない内容で、贅沢極まりなく描かれています。

これでもかと詰め込まれた本格ミステリーの醍醐味に、圧倒されてしまう作品です。

3、『バラの女 ベランジュ家殺人事件』

矢吹駆シリーズの第三弾であり、パリを恐怖に陥れる、連続バラバラ殺人事件に矢吹駆が挑んでいく話です。

被害者は若い女性ばかりで、毎回、死体の一部が切り取られるいう猟奇的な要素を含んでいます。

ここがポイント

前2作に比べると、哲学に関する蘊蓄が少ないので、哲学好きな読者には物足りなさがあると思いますが、事件の構成から謎解きに至る過程は流石の展開を見せています。

アリバイトリック好きな笠井氏ですが、トリックだけではなく、いくつもの細かな仕組みが、丁寧に組み合わされている作品に間違いありません。

4、『哲学者の密室』

矢吹駆シリーズの第四弾であり、パリ郊外の邸宅と、時空を超えた第二次世界大戦中のナチスの収容所で起こった三重密室殺人に名探偵、矢吹駆が挑む話です。

現在の密室殺人事件と、30年前の密室殺人事件が、ハイデガーの死の哲学、ナチスの問題と絡んでいて、謎解きと共に、哲学論議が物凄いボリュームと共に展開されます。

ここがポイント

二つの三重密室に与えられた物語的で、尚且つ思想的な探偵小説論的意味は、重厚でかなりの満足感をもたらしてくれます。

作品はトリックよりも、戦時中の人間的背景が、重要視されていて、中々ハードな心理状態になってしまう作品です。

5、『熾天使の夏 』

矢吹駆シリーズゼロ作目という位置づけであり、革命によるリンチ事件の後、刑期を終えた主人公、矢吹駆のその後の話です。

主人公の良く分からない行動原理を追っていく内容であり、謎や推理は出てきません。

矢吹がナディアと出合い、事件の謎を説くようになる以前の「革命」が高みであると信じて、罪を犯した彼の再生物語なのです。

しかし、そこには、「バイバイ・エンジェル」以降に登場する推理法の本質直観について示唆するような内容が含まれているのです。

ここがポイント

「哲学の密室」とは違った、死の哲学作品です。

6、『オイディプス症候群 上・下』

矢吹駆シリーズの第五弾であり、エーゲ海に浮かぶミノタウロス島の不思議な建造物ダイダロス館に集まった男女が次々に殺されていく話です。

クローズドサークル物であり、ギリシャ神話をなぞった装飾を施されながらの殺人事件、加えて哲学的な問答の数々が描かれています。

AIDS、同性愛と社会、オイディプス等のギリシャ神話の複合的解釈などと合わせて、哲学者の密室のテーマも盛りだくさんになっています。

中盤以降、舞台設定に伴う緊迫感が強く出てきて、娯楽性も高く、提示されている主題にも興味がそそられます。

ここがポイント

現代に通じる問題提起はシリーズ随一ではないかと思われます。

事件の推移や人物の言動が観念によって、支配されているように見える部分も読み手を引きこんでしまう、大変奥行きを感じてしまう作品です。

7、『三匹の猿』

私立探偵、飛鳥井の事件簿シリーズの第一弾であり、連続少女殺人事件を追う話です。

退屈な日々をやり過ごしていた探偵、飛鳥井史郎の元に17歳の可憐な少女、田之倉有美が父親探しの依頼に訪れます。

しかし、その依頼に訪れた女子高生、田之倉有美が突然失踪してしまい、期を同じくして清里で猟奇的な連続少女殺人事件が発生してしまいます。

しかも殺された少女たちの両親には共通した過去があり、因縁と確執が隠されていたのです。

ここがポイント

強固に練り上げられた論理性と二転三転するストーリー展開、そして見事に回収される伏線が楽しめる作品です。

8、『転生の魔』

私立探偵、飛鳥井の事件簿シリーズの第五弾であり、謎の女「ジン」の捜索依頼を受け、飛鳥井が43年前の事件を探る話です。

43年前に密室から消えた女、ジンが当時と全く同じ容姿のまま、国会前でデモをする群衆の中に居たのです。

2015年の安保法反対のデモからはじまる話が、引きこもりやリストラ、果ては新興宗教といった現代的なエピソードを盛り込みながら、思想闘争の歴史を広い視野で教えてくれています。

ここがポイント

本格ミステリとハードボイルド、そして社会問題がクロスする本格私立探偵作品です。

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まとめ

笠井潔氏の作品のご紹介は、お楽しみいただけましたでしょうか。

哲学的要素があり、少し戸惑ってしまいそうになりますが、一旦引き込まれてしまうとドップリとその世界に浸ってしまいます。

まだ読んでいない作品がありましたら、是非この機会に読んでみてください。

読書の楽しみが広がりますよ。

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