ファンタジーを主体に描く、松尾由美氏のおすすめ作品10選をご紹介させていただきます。
大学卒業後、7年間のメーカー勤務を経て小説を書き始め、1989年、夫の柾氏との合作「エモーショナル・レスキュー」でSFファンジン大賞の創作部門を受賞します。
同年、「異次元カフェテラス」を刊行して、小説家デビューを果たします。
松尾由美おすすめ10選をご紹介~ファンタジーとサスペンスの融合~
「安楽椅子探偵アーチー」シリーズや、「バルーンタウン」シリーズ等に見られるようなユニークな設定とユーモラスな作風として知られています。
また、作家という肩書のほかに、ルー・リード研究家(自称)、ニューヨーク・ドールズの伝記翻訳家(版元募集中)とも記しています。
そんな松尾由美氏のおすすめの作品を10選ご紹介させていただきますので、お楽しみください。
1、《バルーン・タウンの殺人》
「バルーン・タウン」シリーズの第一弾であり、奇妙な謎に挑む、妊婦探偵が活躍する5編からなる連作短編集です。
ここがポイント
近未来の東京が舞台であり、妊娠・出産には人工子宮を使うことが、一般的な設定になっているのです。
しかし、自らの身体で出産を願う妊婦たちが集う街、バルーン・タウンでおきる様々な事件に潜入捜査をしている刑事と妊婦探偵が挑んでいきます。
本格ミステリーの醍醐味も味わえる作品であり、発想が面白いです。
2、《安楽椅子探偵アーチー》
「安楽椅子探偵アーチー」シリーズの第一弾であり、安楽椅子そのものを探偵に据えてしまった4編からなる連作短編集です。
小学5年生の少年が、アンティークショップで買った一脚の椅子が、なんとそれは、自らの意志を持っている喋ることができる椅子だったのです。
ここがポイント
アーチーと名付けられたその椅子と共に、少年は様々な謎を解決していくのです。
女性作家ならではの柔らかな目線と優しさが感じられる作品です。
3、《ハートブレイク・レストラン》
「ハートブレイク・レストラン」シリーズの第一弾であり、ファミレスを舞台にした6編からなる短編集です。
ここがポイント
駅から遠くて、あまり流行っていないファミレスに現れるお婆さんの幽霊と、そのファミレスを仕事場にしているフリーライターの女性が事件の謎解きをしていくのです。
ほんのりとした恋愛話も絡んでいて、結構楽しめて、最後に謎めいたお婆さんの秘密も明かされます。
どこか温かい雰囲気が漂っている作品です。
4、《オランダ水牛の謎 <安楽椅子探偵アーチー>》
「安楽椅子探偵アーチー」シリーズの第二弾であり、国名を題材とした5編からなる連作短編集です。
日常におこる不思議な事件を、安楽椅子のアーチーが解き明かしていきます。
ここがポイント
おどろおどろしい事件ではなく、柔らかくて優しい語り口調でストーリーは展開していきます。
読後感が爽やかであり、息抜きにはピッタリの作品です。
5、《九月の恋と出会うまで》
なんと、引っ越した部屋のエアコンの穴から、未来を生きているという同じマンションに住む男性が、話かけてくるという奇妙な話です。
ここがポイント
未来の男性からいろいろなことを頼まれるのですが、果たしてその真の目的は何なのでしょうか。
未来からの声に導かれるのは、SF・ラブストーリーであるのですが、きちんとミステリー的な要素も持っています。
最後まで、謎が楽しめる作品です。
6、《フリッツと満月の夜》
夏休みに父と一緒に、港町で暮らすことになった少年の話です。
港町の生活では、金持ちのお婆さんが残した遺産の秘密を探ったり、ピアスをした不思議な猫が現れたりと、ミステリー要素やファンタジー要素もタップリでかなり楽しませてくれます。
ここがポイント
そしてそそれは、満月の夜に起こる、猫と少年の不思議な物語の始まりだったのです。
まさしくティーンズエンターテインメントです。
7、《モーリスのいた夏》
ファンタジーの世界に入り込んだようなミステリーであり、二人の少女にしか見えない、人食い鬼の「モーリス」を通しての話です。
ここがポイント
サスペンスフルなストーリーが展開していく中で、事件に関与しているかもしれない奇妙な生物「モーリス」を軸に物語は進行していきます。
そしてラストに何とも言えない結末が待ち受けていたのです。
まさしく夏に読みたいシュブナイル作品です。
8、《雨の日の君に恋をして》
二匹の猫の世話をする条件で、叔母のマンションに引っ越した僕が、雨の日にしか出現しない幽霊に出会う話です。
その女性の幽霊に自分を殺した人を探してほしいと頼まれて、僕は関係者に話を聞きにいったり、探ったりと奔走します。
ここがポイント
そうしているうちに、僕は次第にその女性幽霊に恋心を抱いてしまうのです。
恋愛要素も盛り込まれた、少し切ない作品です。
9、《ニャン氏の事件簿》
実業家であり、童話作家である猫のニャン氏がニャーニャーと泣いて推理をする6編からなる連作短編集です。
先ず、猫のニャン氏が事件を解決するヒントを話し、そのニャン氏の言葉を通訳する秘書がいて、事件を解決に導くという流れで進んでいきます。
ここがポイント
ニャン氏とは、まさかの安楽椅子探偵なのです。
起きる事件も日常の謎から、密室殺人事件まで幅広く描かれているので、飽きることなく楽しむことができます。
不思議な設定ですが、猫好きの方にはたまらない作品です。
10、《サトミとアオゲラ探偵》
笑って癒されるユーモア本格ミステリーを4編収録した短編集です。
ここがポイント
子供或いは、大人でも子供のような心の持ち主、もしくは友達が少ないか、まったくいない人間にのみ、アオゲラとコゲラの話声が聞こえるのです。
小学5年生の女の子が持ち込む謎、そしてその持ち込まれた謎は、アオゲラとコゲラが解決に導いていくのです。
推理も会話もテンポよく、楽しめる作品です。
まとめ
松尾由美氏の作品のご紹介は、お楽しみ頂けましたでしょうか。
まだ読んでいない作品がありましたら、是非この機会に読んでみてください。
サスペンスなのに、心がほっこりしますよ。