黒い福音
先日、テレビで久しぶりに松本清張氏原作の『黒い福音』というサスペンスドラマを観ました。録画をしてあったので余計なCMなどは観ずにテンポよく観ることができました。やはり、民放での2時間サスペンスは録画に限ります。
配役の素晴らしさ
主役のビートたけし氏扮する捜査一課、藤沢刑事及び瑛太氏扮する所轄署の市村刑事の演技に魅入りました。
簡単なあらすじは終戦直後の日本の教会の外国人神父にからむスチュワーデス(現在はキャビンアテンダント)の殺人事件を藤沢刑事と市村刑事が努力と執念で犯人を追い詰めていくというストーリーです。
まだまだアメリカが幅をきかしていた時代に、藤沢刑事が相方の市村刑事と事件の核心に迫り犯人を追い詰めていく展開は、目が離せなかったです。
映画界においては、世界の北野と呼ばれるだけあり、演技に関しても堂に入っており、流石だと思いました。勿論、その他の出演者の方も、もそうそうたるメンバーで、ドラマ全体が引き締まった内容でした。
久しぶりに本当のサスペンスを観たなと、しばらく感慨にふけってしまいました。
そして意外な結末
ネタばれになりますが、結局犯人は教会の若い宣教師だったのですが、逮捕される直前に母国のアメリカへ逃げるようにして帰ってしまいます。
最近のサスペンスでは最終的に事件が解決して犯人が逮捕されることで完結ですが、松本清張氏の作品独特の非常に興味深い終焉でした。
精悍な素顔
私が学生時代、京都にいた頃、河原町三条の交差点にほど近い六曜社(壁面が一枚10cmほどの正方形の清水焼で埋め尽くされた)という薄暗い喫茶店に週に一度位の割合で通っていました。
あれは確か梅雨時の6月の半ばころでしたが、一番奥の席の二人がけの椅子に入口の方に顔を向け煙草を燻らしながらコーヒーを啜っている松本清張氏を見たことがあります。
眼光鋭く、分厚い唇、ボサボサの髪の毛、写真で拝見するのと同じでした。
思わず、握手を求めましたら気安く応じてくれました。其の後、物思いに耽るかのように15分ほど腕組をしていたのですが、さっと立ち上がるとお店を出て行きました。
多大な影響力
あれは、京都のどこかを舞台にした推理小説を考えていたのかなと思ってしまいました。勿論、トレードマークの着物姿でした。
現在の推理小説の作家の大半の方々も少なからず松本清張氏の影響を受けているのではないでしょうか。