1920年代のアメリカで一躍人気の出たハードボイルド小説、日本国内でも第二次世界大戦後に外国のものが翻訳紹介されて人気が沸騰します。
そんな人気のハードボイルド小説、国内で人気の12選をご紹介させていただきます。
【特撰】国内作家が描くハードボイルド小説人気の12選をご紹介
ハードボイルドってよく聞くけど、どういう意味なのか。
「カッコイイ男のこと?」「シブイ男のこと?」間違いではないと思います。
人それぞれ色々と捉え方は有ります。
色々と調査した結果、
・困難にあっても決して諦めない。
・ひとのことを思いやる気持ちを忘れない。
・やることはキッチリやる男の中の男。
管理人の独自の調査の結果、以上のような結論に達しました。
前置きが長くなりましたが、そんな男たちが活躍するハードボイルド小説、人気の12選をご紹介させていただきます。
①『狐狼の血』柚月 裕子
ここがポイント
破天荒な刑事が、ヤクザ絡みの事件を追っていく話です。
広島の所轄署の捜査二課に配属された新人刑事の日岡は、飢えた狼の如く強引に違法行為を繰り返す大上のやり方に戸惑いながらも、仁義なき極道の男たちに挑んでいくのです。
女性作家とは思えないほどの筆致で、迫力満点との呼び声が高く、読み始めると途中で抜け出せない読者が続出です。
深作欣二監督の映画「仁義なき戦い」を彷彿するような描写に浸れます。
②『ジョーカー・ゲーム』柳 広司
ここがポイント
秘密裏に設立されたスパイ養成学校の精鋭達が、諜報戦を繰り広げる話です。
アニメ化もされている短編集であり、大日本帝国陸軍の思想とか内情もよく分かります。
第30回吉川英治文学新人賞、第62回日本推理作家協会賞を受賞しています。
続編を読みたくなるような作品であることは間違いないです。
③『連鎖』真保 裕一
ここがポイント
食品Gメンの主人公が、汚染食品の横流しの真相究明をしていく話です。
単なる社会問題の提起のみで終わることなく、ミステリーとしての落としどころも周到に用意されています。
第37回江戸川乱歩賞、受賞作品であり、二転三転する展開には驚くこと間違いありません。
④『そして夜は甦る』原 尞
私立探偵、沢崎シリーズ第1作目の作品で、デビュー作となります。
行方不明になったルポライターの調査が、かっての都知事狙撃事件へと繋がっていくにつれ、様々な試練が待ち受けているのです。
巨匠、レイモンド・チャンドラー氏の影響をかなり受けていて、テンポの良いスピーディな展開に引き込まれます。
ここがポイント
読み終えた後の達成感は半端ないです。
⑤『マイク・ハマーへ伝言』矢作 俊彦
ここがポイント
死んだ友人の無念を晴らすために警察組織へ挑戦する、元不良少年達が活躍する話です。
文体にスピード感があり、古き良きヨコハマを彷彿させてくれます。
終盤でのカーチェイス・シーンの迫力は、あたかも現場で見ているかのごとく圧巻です。
⑥『疫病神』黒川 博行
舞台は関西、二人の主人公が、欲望と暴力が渦巻く世界に立ち向かっていく話です。
小気味よいスピード感のある関西弁に圧倒されるのは勿論のこと、最高のコンビネーションに感服してしまいます。
ここがポイント
休むことなく一気読みしてしまうくらい面白い作品です。
⑦『消し屋A』ヒキタ クニオ
ここがポイント
プロの殺し屋(消し屋)が、殺しではない難しい依頼を引き受ける話です。
殺し屋の凶気な面とすこぶる冷静な面との対比がすごいと評判であり、読み始めたら、途中で止めることができなくなるくらい面白さが増していきます。
シビレるという言葉が、主人公にピッタリ当てはまります。
⑧『砂のクロニクル』上・下 船戸 与一
イラン・イラク戦争後のクルド人が、自らの国家を作るために武装蜂起を計画する話です。
民族対立という難しい問題に取り組みながらも、決して主題からは外れることなく、男たちのカッコ良さを描いています。
ここがポイント
著者の最高傑作と言われている作品であり、第5回山本周五郎賞を受賞しています。
⑨『雪蛍』大沢 在昌
失踪した娘を探して欲しいという依頼を受けた探偵、佐久間公が活躍するシリーズです。
決して交わらないふたつの話が同時進行していきますが、どちらも飽きることなく楽しめます。
ここがポイント
大沢氏曰く「探偵とは生き様である」ということが分かる、人間の心を丁寧に描いた作品です。
⑩『半端者(はんぱもん)』東 直己
ここがポイント
飲み友達を殺された探偵が、犯人を捜し、追い詰めていく話です。
よくある警察組織の腐敗、暴力団の横暴に立ち向かう話なのですが、話の流れ、会話の面白さに思わず引き込まれてしまいます。
シリーズの中では一番との呼び声も高く、本当にスカットします。
⑪『テロリストのパラソル』藤原 伊織
アル中のバーテンダーである主人公が、爆弾テロ事件に遭遇し、その事件に巻き込まれていく話です。
今では殆どなくなった、熱い時代の大学紛争の話もストーリーに彩を添えています。
ここがポイント
小説史上に類を見ない直木賞と江戸川乱歩賞を、ダブル受賞しています。
今は無き、河島英五氏の「酒と涙と男と女」という歌を思い出してしまいました。
⑫『野獣死すべし』大藪 春彦
敗戦で戦地から引き上げてきた少年が、父親を陥れた相手に復讐する話です。
鋼のようなタフな肉体と強靭な精神を武器にして、宿敵に立ち向かっていく姿が印象的です。
今から60年くらい前の作品ですが、色褪せることなく人気があります。
ここがポイント
日本のハードボイルドの礎を作った作品といっても過言はないです。
まとめ
ハードボイルド小説の印象は男くさい、野蛮である、暴力的だ等と捉えがちになりますが、
決してそれだけではなく、人間的な生き方を示唆してくれるものも沢山あります。
是非この機会にハードボイルド作品に触れていただき、その良さを味わってください。