日本は高齢化時代を迎えつつあり、総務省統計局によるとなんと、2021年9月の時点で高齢者が3,640万人で総人口に占める割合が29.1%に達しているとのことです。
何と凡そ3.5人に1人が高齢者となっているのです。
このまま少子化が進むとなんと2935年には3人に1人が高齢者になるとのことです。
病院に行けば高齢者の方ばかりの時があります。
それはそうです、年をとれば身体のあちこちに異常が見つかるのが当たり前ですから。
医療ミステリーがお好きな方に おすすめしたい作品5選
今回ご紹介させていただく作品は医療の現場に直接携わる医師の方々、スタッフの方々など、医療に関連した作品のご紹介です。
難解な手術・病院内部の事・そしてそれに関わる患者・家族など従来のミステリーとは少し違った作品となりますが、いずれの作品も考えさせられる場面が出てきます。
ミステリー好きな人だけでなく一般の読書好きな方にも楽しんでいただけると思います。
おすすめ作品①『臓器農場』帚木 蓬生
「臓器移植」がテーマの現役ドクターによる作品です。
民間の総合病院に勤務している新任看護婦、規子が偶然聞いた「無能症児」という言葉、そしてそれに関わる特別病棟での真相を追う規子の様子が描かれています。
恐ろしい計画をつきとめようとする規子に、危険が迫ってくるのです。
ここがポイント
人間の尊厳が問われる作品であり、現役のドクターならではの医学的見解を加えることにより、現在の医療に警鐘を鳴らしている作品のように思えます。
おすすめ作品②『使命と魂のリミット』東野圭吾
「医療ミス」に関わる話が綴られています。
自分の父親の死因が医療ミスが原因で亡くなったのではないかという疑問を抱きながら、医師となった主人公の夕紀は真相を確かめるべく調査に乗り出していきます。
父親の死後、夕紀の母親と父の執刀医であった医師との関係に、深い疑いを持ちながら事件は展開していきます。
ここがポイント
人間は使命感を持って生まれてきたのだということが、分かる作品になっています。
おすすめ作品③『神の汚れた手』上・下 曽野綾子
子供を堕胎する「中絶」がテーマの話です。
街の小さな産婦人科医院を営む野辺地医師が主人公であり、その医院に訪れる患者の人間模様を描きながら毅然と接していく野辺地医師の姿が描かれています。
ここがポイント
人間の尊厳とはなにか、敬虔なクリスチャンの作者の立場からではなく、ひとりの人間としての視点から捉えているのです。
単なる小説ではなく、人間はこうありたいと思うバイブルのような作品だと思います。
おすすめ作品④『破裂』上・下 久坂部羊
こちらの作品も現役ドクターが「安楽死」という課題に取り組んでおり、作品の舞台は国立大学内の医局の話になります。
画期的な心臓治療を開発した医師と、その治療の副作用を利用した新たなな策略に目を付けた話が展開していきます。
厚生労働省の強大な力の思惑が、人間の尊厳を蔑ろにしているでしょうか。
ここがポイント
明らかに人間の尊厳を訴えているような作品です。
おすすめ作品⑤『イン・ザ・プール』奥田英朗
医療コメディと言ってもいいくらいの作品であり、5編の短編から構成されています。
精神科医師、伊良部に5人の患者がそれぞれ自分が患っている神経症について、病院に相談に訪れます。
子供心を持った医師、伊良部の柔軟な対応、おもしろさが溢れ出す話ばかりです。
ここがポイント
しかし、自分たちも一歩間違えればこんな症状になってしまうかもしれません。
まとめ
医学の進歩とともに従来、不治の病と言われていた病気も治癒が可能となり、長生きができるようになりました。
しかしその影には高齢化問題、保険問題等様々な課題が押し寄せてきています。
医療の現場においても見逃すことはできません。
人間の尊厳とはなにか、それを取り巻く人間に視点をあてて上記5作品を紹介させていただきました。
是非一度、読んでみてください。