技が冴えわたる描写の法月綸太郎氏のおすすめ作品を10選ご紹介させていただきます。
大学在学中は推理小説研究会に所属し、卒業後は一旦、銀行に勤めるのですが、1988年に執筆した「密閉教室」で江戸川乱歩賞の二次選考を通過したのを機に、島田荘司氏の推薦で作家デビューを果たします。
エラリー・クイーンの心酔者としても知られていて、「雪密室」という作品では、クイーンの作品と同じ設定が使われています。
法月綸太郎おすすめ10選をご紹介~論理的に構築された描写~
法月氏は学者肌の悩める作家としても知られていて、構築性を重んじる作風から、かなりの遅筆であることを自身でも認めています。
作風としましては、新本格ミステリの流れを汲んでいて、内面的な苦悩をそのまま反映させている作品が多くあります。
そんな法月綸太郎氏のおすすめの作品を刊行順に、10選ご紹介いたしますので楽しんでください。
『密閉教室』
とある高校の密室化された教室で見つかった、男子生徒の死体の謎に挑んでいく級友の話。
教室は密室状態で、机と椅子が全て消えていて、探偵役の級友も戸惑ってしまう。
何度推理しても絶妙に散りばめられた謎に、行く手を阻まれてしまいます。
ここがポイント
しかし、終盤にかけての伏線や緻密なトリックの展開は、読み応えが十分あります。
法月氏、渾身のデビュー作品です。
『雪密室』
密室化された雪の山荘で殺された、美女の謎に挑んでいく名探偵、法月綸太郎の話。
名探偵、法月綸太郎が初めて登場する作品であり、鍵と雪の二重密室の謎を解き明かしていきます。
新本格ミステリーの王道を行くような流れで、分かりやすくとても楽しめます。
ここがポイント
ミステリー初心者にお手本のような作品です。
『誰彼』
地上80mの密室から消えた新興宗教の教祖は、マンションで見つかった首無し死体なのかという話。
法月綸太郎の迷推理に振り回されながらも、かなり面白いトリックを堪能できます。
ここがポイント
段々と複雑さが増していきながらも、飽きることなく読み進んでいけます。
迷路を進んでいるような作品です。
『頼子のために』
十七歳の愛娘を殺された、父親が復讐を企てる話。
通り魔事件で片付けようとする警察に対し、疑念を抱き、自分で決着をつけようとする父親。
ここがポイント
そして、法月綸太郎が乗り出し事の真相を探っていくと、驚愕の展開が待ち構えていることになります。
イヤミスっぽさが残る作品です。
『一の悲劇』
自分の子供の友達が誤認誘拐されてしまい、事件に巻き込まれていく話。
序盤から事件そのものよりも、人間関係の複雑さが問題になっているように思えてきます。
ここがポイント
終盤にはいくつかの解決案によって明かされる、意外な犯人と、全く違った事件の真相が描かれていて、驚きを隠せません。
名探偵、法月綸太郎の技が冴えわたる作品です。
『法月綸太郎の冒険』
名探偵、法月綸太郎に挑戦する数々の難事件を綴った6編からなる短編集。
トリックを重視した本格ミステリーであり、二転三転する展開と推理がしっかりできる技が駆使されています。
ここがポイント
さらに心理的な余韻まで残す、隙のない構成に恐れ入ります。
綸太郎の迷走ぶりが楽しめる作品です。
『二の悲劇』
二人の女性が同居するマンションの部屋で、一人の女性が殺され、もう一人の女性が行方不明になる話。
怨恨からの殺人と思いきや、何と被害者が殺される寸前に飲み込んだ鍵が探偵、法月綸太郎を事件へと導いていきます。
ボタンの掛け違いのように起きてしまった悲劇であり、二人称と三人称の視点が交互に現れます。
ここがポイント
今までに類を見ない切ない作品です。
『法月綸太郎の功績』
シチュエーションの独創性に魅力を感じる、5編からなる短編集。
ここがポイント
名作をモチーフにした作品があったり、都市伝説をモチーフにした作品などもあり、かなり楽しめます。
そして、どの作品もトリックの渦に巻き込まれてしまいそうになるほど堪能できます。
趣向が凝らされていて短編ですが読み応えのある作品です。
『怪盗グリフィン絶体絶命』
ニューヨークを拠点とする怪盗、グリフィンが活躍する話。
どんでん返しにつぐどんでん返しで、目まぐるしく展開する冒険活劇のようでもある、ジュブナイル・ミステリーです。
登場人物の名前もユニークで子供の頃に読んでいたなら、もっとワクワク、ドキドキしていたと思います。
ここがポイント
意外と読み応えがあり、大人でも十分に満足できる作品です。
『キングを探せ』
四重交換殺人を企む4人の犯人たちと、対決する法月親子の話。
トランプを引いて、対象を決めるところから四重交換殺人はスタートします。
本格的な倒叙ものであり、果たして法月親子はそのからくりを打破できるのかが、見どころです。
ここがポイント
ロジカルな要素がふんだんに詰め込まれた作品です。
まとめ
法月綸太郎氏の作品はいかがでしたでしょうか。
かなり前の作品もありますが、ミステリーの王道を貫いた作品ばかりです。
まだ読んでいない作品がありましたら、是非この機会に読んでみてください。