人間の巧みな心理を描く、小池真理子氏のおすすめの作品12選をご紹介させていただきます。
小池氏は人間の内面にある感情や日常に潜んでいる恐怖を描き出す、心理サスペンス、ミステリー及び恋愛小説で、大変人気があります。
10年ほど前に湊かなえ氏が描いた小説が「イヤミス」として流行りましたが、元祖、イヤミスの女王は小池真理子氏ではないかと思います。
小池真理子おすすめ小説12選をご紹介~人間模様を鋭く描く~
読者の心に突き刺さるような重厚で濃密な恋愛小説や、人間模様を鋭く描いたサスペンスやミステリーなど、デビュー以来たくさんの作品を発表し続けていて、数々の賞も受賞しています。
そんな小池氏の選りすぐった作品を12選ご紹介させていただきますので、どうぞお楽しみください。
1、《墓地を見おろす家》
広大な墓地に囲まれた新築の格安マンションに、越してきた一家を襲う恐怖の話です。
エレベーターでしか行けない地下の倉庫があったり、何故かマンションの住民が急に引っ越していったりとか、得体の知れない恐怖を感じてしまいます。
ここがオススメ
かなり後味が悪いラストで、読んだ後も尾を引くような感覚が残ってしまいます。
いくら安いからといっても、こんなマンションに住みたくないですね。
2、《妻の女友達》
表題作の他、5編が収録された小池氏の初期短編集となります。
どの作品も独特な雰囲気のあるミステリーになっていて、結末もイヤミスっぽさを残しています。
ここがオススメ
どこにでも転がっていそうな話に、意外性を持たせるテクニックに恐れ入ってしまいます。
こういう軽く楽しめる短編集が、案外クセになってしまうものなのです。
3、《無伴奏》
学生運動が盛んだった時代を背景に、繰り広げられる恋愛の話です。
20年前の恋愛を回想する形で物語は進んでいき、青春を謳歌した時代が、懐かしくも悲しく描かれています。
青春時代の恋の思い出としては、重く辛いものを感じてしまいますが、それなりに共感できる部分も多くあります。
ここがオススメ
本当の恋の苦悩と、葛藤を描いた作品として、共感してしまいます。
4、《柩の中の猫》
年老いた画家の主人公が、30年前を振り返る形で語られる話です。
裕福な父子家庭で起こる心理サスペンスであり、猫にしか心を開かない小学生の娘と父、そして主人公の私の静かな生活に入り込んでくる一人の女性によって、心理的バランスが崩れていってしまうのです。
後半のドキドキした展開に怖さが増していき、人間の隠された黒い部分に迫っていきます。
ここがオススメ
ドキドキする心理描写に、クギ付けになってしまい逃れることが、出来なくなってしまいます。
5、《会いたかった人》
タイトルの「会いたかった人」を含む、6編からなる短編集です。
ここがオススメ
幸せに包まれた状態から、徐々にあるいは一気に、奈落の底に突き落とされる、話ばかりが綴られています。
日常に潜む恐怖を浮き彫りにしたサイコサスペンスであり、どこかで遭遇したような記憶として、呼び起こされてしまいます。
巧みな心理描写に、引き込まれてしまう作品です。
6、《危険な食卓》
この作品もタイトルの「危険な食卓」を含む、8編からなる短編集です。
どの話も大変うすら怖くて、最初の一行で、文中に引き込まれてしまいます。
少ないページの中に、人の心の裏側にある悪意が凝縮されていて、慄いてしまいます。
ここがオススメ
ありふれた日常の中に潜む恐怖が、そこにあるのです。
7、《記憶の隠れ家》
「家」にまつわる、6編からなる短編集です。
ここがオススメ
昔の記憶は、いつしか自分の都合のいい形に変わっていたり、心の奥底にしまい込んだりしてしまうものです。
そんな記憶がふとしたきっかけで、蘇ってしまうことになってしまう事ってありますよね。
家に隠された過去の思い出が、恐ろしさに変わっていったらどうしますか。
どの作品も、背筋がゾクッとする内面の怖さがあります。
8、《恋》
あの浅間山荘事件の陰に、かくれるように発生した殺人事件の話です。
死期を悟った女が、その誓いを破ってまで語った恋とは、いったい何だったのでしょうか。
倒錯した人間関係を描くことで、純粋な恋心が炙り出されてきます。
ここがオススメ
学生運動が盛んだった時代に流れる虚無感と、響きあいながら展開していく、耽美で官能的な作品です。
9、《欲望》
自分が愛する男が性的不能者であるという、とても切なくて凄絶な恋愛小説です。
露骨な描写はあまりありませんが、雰囲気が官能的なのです。
妻子ある男と肉体関係を持ちながらも、その女が惹かれているのは、別の男というわがままな欲望なのです。
ここがオススメ
究極の恋愛が、描かれている作品です。
10、《ノスタルジア》
不倫相手の男が亡くなり、15年後に訪ねてきたその男の息子と、またしても恋に落ちる話です。
不倫相手の男と瓜二つの息子と、逢引きを重ねていくのですが、何かがおかしいのです。
男性作家では描けない繊細さと巧みさが、にじみ出ている筆致に圧倒されてしまいます。
ここがオススメ
静がで怖ろしい、サスペンス作品です。
11、《狂王の庭》
戦後間もない頃、東京の旧華族に嫁いだ主人公の女性と、義従弟との恋を回想で綴った話です。
小池氏の筆致の真骨頂が如何なく発揮されていて、バロックロマン風なタッチを楽しむことができます。
ここがオススメ
美しいものに引きずり込まれて堕落していく人妻の有様が、とても耽美に描かれています。
三島由紀夫氏の「春の雪」を彷彿してしまう作品です。
12、《夜の寝覚め》
6編からなる、恋というものを綴った短編集です。
不倫を軸とした恋愛小説集でありながらも、ただの不倫話に終わらせないところが、小池氏の技量が伺えます。
ここがオススメ
小池氏ならではの感情を抑えた抒情的な文章は、まさに芸術作品のようでもあり、美しさに浸ることができます。
底知れぬ余韻に浸ってしまう、短編集です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。小池氏の人間心理をついた作品は、堪能していただけたでしょうか。
たくさんの作品を世に送り出している小池氏。
まだ読んでいない作品がありましたら、是非読んでみてください。
あなたの明日からの生き方に、変化があるかもしれません。