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朝倉かすみおすすめ10選をご紹介~繊細な観察眼で魅了する~

じわじわと刺激のある文章を描く、朝倉かすみ氏のおすすめの作品10選をご紹介させていただきます。

北海道武蔵女子短期大学教養学科を卒業後、様々な職を経験し、30歳から小説を書き始め、31歳から創作教室に通っています。

2003年に「コマドリさんのこと」という作品が、第37回北海道新聞文学賞を受賞し、これがデビュー作となります。

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朝倉かすみおすすめ10選をご紹介~繊細な観察眼で魅了する~

2004年、「肝、焼ける」で、第72回小説現代新人賞を受賞し、2009念には「田村はまだか」で、第30回吉川英治文学新人賞を受賞します。

2017年には、「満潮」という作品が山本周五郎賞候補となり、2019年、「平場の月」で第32回山本周五郎賞を受賞します。

その後も各文学賞の候補になったり、受賞をしていて、活躍されています。

そんな朝倉かすみ氏のおすすめの作品10選をご紹介させていただきますので、お楽しみください。

1、『ほかに誰がいる』

16歳の女子高生の本城えりが、同学年の賀集玲子に恋をし、一方的な気持ちを抑えることが出来ずに、どんどん行動がエスカレートしていく話です。

女子高生の本城えりは、通学途中の電車の窓越しに、賀集玲子を見初め、憧れ、友人として傍らにいるだけでは満足できず、ひとつになりたいと願うようになっていくのです。

親友となった玲子はやがて恋人を作り、留学することを決めるのですが、、、。

えりの玲子に対する強すぎる想いは、心の中だけに留まらず、やがて彼女の人生を破滅へと導く行動を起こさせてしまうことになってしまうのです。

ここがポイント

盲目で狂信的なまでの一途な想いが、主人公を破滅へと導いていく様が、ホラー小説よりも恐ろしく感じてしまう作品です。

2、『夫婦一年生』

三十代前半で結婚した夫婦の新婚生活の一年間を出会いのシーンも含めて、丁寧に描いた話です。

結婚と同時に地元を離れ、新婚生活を送る青葉と朔郎は、慣れない二人暮らしにストレスを感じることもあるけれど、少しずつ夫婦の生活を作り上げていくのです。

料理を頑張ったり、新しいものを発見したことを朔郎に報告したがる青葉がとても愛おしく思います。

ここがポイント

お互いの生活感や価値観をすり合わせ、妥協点を模索する様も、メッセージ性があり、楽しめ、素敵過ぎない二人の関係が何とも言えずいいのです。

最終章のみ、夫、朔郎の視点で描かれている構成に唸ってしまい、ホッコリしてしまう作品です。

3、『田村はまだか』

小学時代のクラス会で、40歳となった同級生5人は、三次会で、到着が遅れている田村を待ちながら、それぞれの人生模様が語られる6編からなる連作短編集です。

札幌はススキノの片隅にあるスナック「チャオ!」で、同級生で、小学生当時の5人に強烈な印象を植え付けた田村を待っているのです。

その待ち時間に、5人とマスターを交えて、それぞれの過去と現在置かれている状況が語られつつ、「田村はまだか」と夜は更けていき、5人の過去が語られる度に、田村とはどんな男なのかと、期待を膨らませるマスターは、作中では、読者と同じ立ち位置にいるのです。

ここがポイント

最後に一波乱が準備されている作品です。

4、『とうへんぼくで、ばかったれ』

冴えない独身40代の中年男の榎又さんに一目惚れし、一心に愛し続ける吉田は、愛に全てを捧げ、職場も辞めて、友や家族とも別れ、東京に行った榎又さんの後を追う話です。

東京では、榎又さんの職場近くの喫茶店で働きながらストーキングし、ある切っ掛けで付き合い始める展開になっていくのです。

20代女子とは思えない、同級生前田とのじじむささも、とぼけた会話や、自分を俯瞰しながら、榎又さんにだけ静かに情熱を燃やす吉田は愛すべき変人なのです。

ここがポイント

恋に恋してとは、まさに、このことだという内容の物語です。

誰にでもあった初めての恋人との出来事をじんわりと思い出させてくれるような作品です。

5、『てらさふ』

北海道の田舎町にて、自分はみんなと違うと感じている自意識過剰な女の子2人が、大きなスケールで、世間を手玉に取る話です。

頭が良く何者かになりたいと思う弥子と、美人でどこかに連れていってほしいニコ、二人の中学生は、卵の黄身と白身のような関係であり、有名になる方法を考えるのです。

読書感想文で章を取り、未発表原稿を使って応募した、最年少の芥川賞受賞は、果たして叶うのだろうか?

ここがポイント

同じ夢を見ていた頃、物事が思い通りに進み、ニコだけにスポットライトが当たるようになってからの二人の関係の変化と、弥子のずる賢さが痛々しく思います。

ある意味、敏腕プロデューサーとしての才能を持つ弥子が、ウソの成功は脆いという事実を知り、どんな大人に成長していくか興味を抱かざるを得ない作品です。

6、『幸福な日々があります』

結婚10年目と、新婚時代の森子の心情が、交互に描かれる5編になります。

自分から夫、祐一との結婚を望んだのに、「夫として好きでなくなったから」と別れを切り出し、別居を始めた、森子の心が丁寧に描かれています。

喧嘩もしない穏やかな夫婦関係において、10年間一貫して祐一のペースに合わせ、ボケ役を演じた森子は、疲れてしまったのかもしれません。

祐一との安定した暮らしではなく、自分で清掃の仕事を見つけて得た収入で、アパートでのささやかな生活が森子の素直な気持ちであり、表題とされているのです。

ここがポイント

結婚における価値観は人其々であり、森子の気持がよく分かるだけに、前途を応援したくなってしまう作品です。

7、『たそがれどきに見つけたもの』

人生を四季に例えると、実りの秋の真ん中という年代の男女が主人公の6編からなる短編集です。

人生も五十代を迎えるころともなれば、男女を問わず、来し方行く末に思いを馳せ、ある種の感慨を描いて、不思議はないのですが、本作は、五十代の女性の微妙な心理、心象風景を切り取っています。

女性は男性以上に若さがもてはやされている上に、生理学的に更年期に入って、ホルモンバランスによる心身の変調も生じがちなので、男以上に大変であろうと想像してしまいます。

ここがポイント

しかし、人間、歳をとってみて、初めて見えてくる事もあるのです。

黄昏気分で老け込んでしまうには、まだ早いと思うユニークさ溢れる作品です。

8、『満潮』

人に迎合し、喜ばせることが生きがいの眉子に、自意識過剰な大学生の茶谷は、眉子に一目惚れをしてしまい、バイト先の社長である眉子の夫に取り入り、彼女に近づいていく話です。

自分が無くて、人に求められることをしてしまう眉子と、彼女に運命を感じて、妄想を膨らませながら近づくストーカー茶谷の現実との剥離っぷりが、気持ち悪く感じてしまいます。

ここがポイント

誰にも感情移入できないし、何かが起こる前の嫌な緊張感の描写が絶妙で、実際の事件のルポにも思える迫真さがあります。

傍目から見れば、健気に夫に尽くす妻ですが、女の心の真相を明かされると、いろいろと突き抜けすぎていて、相当に危く感じてしまい、潮が満ちたその後、本当の狂気が始まるかもしれないと思える作品です。

光文社
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9、『平場の月』

中学時代、同級生だった青砥と須藤が、50代を迎えた晩年に初めて、それぞれの事情を抱えながら、深く深く関わっていく話です。

人生の喜怒哀楽を経験し、50歳で中学時代の初恋の女性と再会し、これから彼女と幸せな人生を再出発しようとした青砥。

須藤は、DV癖のある男性と結婚、離婚し、若いツバメとの生活で、全ての資産を失うという人生を送ってきたのです。

ここがポイント

また、軽蔑しかできない形で、離婚をした両親を見て、一人で強く生きようと考えるのですが、それは自分自身の弱さの裏返しでしかなく、辛い人生を送る結果となってしまったのです。

受け身の人生を送ってきた青砥の優しさに、癌に侵され、余命少ない中で触れ、最後はできる限り一人で強く生き抜こうとするのです。

約束通り、一年間待つ、青砥の生き様にやるせなさを感じてしまう作品です。

10、『にぎやかな落日』

北海道でひとり暮らしをするもち子(おもちさん)の82歳から84歳までの様子をモノローグで描いた話です。

夫は脳梗塞で3年前に特養に入り、今は一人暮らしなのですが、娘は東京にいて、毎日電話をくれ、嫁は近くに住んでいて、何かと手を貸してくれるのです。

それでも自分の健康管理ができず、入退院を繰り返し、有料老人ホームで暮らすようになったのです。

自分に残された時間を思うことは、歳をとるにつれ、益々増えることに間違いないのです。

だが、おもちさんの人柄だろう、そこに悲壮感や重苦しさはなく、ことあるごとに飲み込む悲痛でやるせない思いが、たちまち記憶の靄の向こうに、落ちていき、そのもどかしさを飄々と受け止め、それもまた忘れていくのです。

ここがポイント

切なくも温かく、明るくも寂しい落日の日々を描いた作品です。

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まとめ

朝倉かすみ氏の作品のご紹介は、お楽しみいただけましたでしょうか。

まだ読んでいない作品がありましたら、この機会に是非読んでみてください。

読書の楽しみが広がりますよ。

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