読書の楽しみを伝えてくれる、恩田陸氏のおすすめの10作品をご紹介させていただきます。
恩田氏はジャンルの枠にとらわれることなく、ミステリー、冒険小説、ホラー等幅広く執筆しています。
また読書量も年間、凡そ300冊(ほぼ毎日1冊ペース)を読破されていて、それを基盤に執筆活動をしているとのことです。
また、いい本を書くことは作家として当たり前で、量を伴ってこその作家という意識があるようです。
恩田陸のおすすめ10作品をご紹介~ノスタルジアの魔術師~
大学を卒業してからは一時期、生命保険会社のOLをしていましたが、作家になる夢を実現したく、1992年に「六番目の小夜子」という作品で、作家デビューを果たします。
また2000年代に入ってからの恩田氏の活躍はまざましく、各文学賞の候補の常連となり、ついに2017年に「蜜蜂と遠雷」で直木賞と本屋大賞をダブル受賞します。
なお、本屋大賞の2度目の受賞は史上初とのことです。
そんな人気の恩田陸氏のおすすめ10作品を、厳選してご紹介させていただきますのでお楽しみ下さい。
1、『六番目の小夜子』
ある地方の進学高校に受け継がれてきた、3年に一度行われる奇妙なゲームである「サヨコ」伝説の話です。
そして今年、六番目のサヨコに当たる年に転校してきた、津村沙世子、彼女とゲームとの間に因果関係はあるのでしょうか。
ここがポイント
ホラーとミステリーをミックスしたような内容であり、青春模様も描かれています。
様々な要素が絶妙なバランスで組み立てられていて、かなり楽しめます。
恩田氏のデビュー作であり、独特の世界観を実感できる作品です。
2、『光の帝国ー常野物語』
特殊な能力を持った、常野一族の人々を主役とした、SFチックな連作短編集です。
ごく平凡な一日の話が、登場人物のキャラクターや不思議な能力で大変興味深く展開していきます。
ここがポイント
人間の細やかな心理描写が描かれていて、穏やかな表現なのに、心に響いてきます。
大変優しい気持ちにしてくれる作品です。
3、『麦の海に沈む果実』
訳アリの少年、少女が集う学園での、ファンタジーとミステリーが融合したかのような話です。
序盤は見えない何かに、中盤は周りで起きる異変に、終盤に至っては明らかになる事実に驚愕してしまいます。
巧みに張り巡らされた伏線の鮮やかな回収は、爽快な気分にしてくれます。
ここがポイント
不思議な世界観に浸れる一冊です。
4、『ドミノ』
沢山の登場人物が東京駅を舞台に目まぐるしく動き回り、やがてそれぞれの人物がラストに向かっていく群像劇です。
ここがポイント
些細なことがきっかけで、一見関係なさそうな人たちが事件に巻き込まれていくさまは、まるでドミノ倒しそのものです。
笑いながら楽しめる、エンターテインメントに間違いありません。
疲れることなく読めるので、気分転換には最高の作品です。
5、『夜のピクニック』
高校生活最後の行事、昼から翌日の朝まで歩き続けるという、歩行祭に参加する高校生たちの話です。
ここがポイント
歩いていく長い道のりの中で、主人公たちの抱える問題を周りの友人とともに、解決していくといった展開になっています。
青春真っ只中で信頼し、尊敬しあえる友達を作ることの大切さが、身に沁みて分かります。
何か怖いようなタイトルとは裏腹に、何度も読み返したくなる心に沁みる作品です。
6、『図書室の海』
10編からなる短編集で、「六番目の小夜子」の番外編や「夜のピクニック」の前日譚等が綴られています。
ここがポイント
どの作品にも不思議な懐かしさのようなものが漂っていて、青春時代の危うさを感じることができます。
ダークな部分が存分に堪能出来て、満足した気分に浸れます。
短編集ですが、長編を読み終えたような気分にしてくれる作品です。
7、『ユージニア』
未解決となった大量毒殺事件の真相を、突き詰めて話です。
序盤は話の展開が手探り状態で、全く前が見えませんが、中盤からは内容もよく理解できる展開に変わっていきます。
ここがポイント
淡々とした文章ですが、却ってそれが不安な気持ちを後押しするように思えてきます。
作品の中へ引き込まれていくような感覚は、クセになってしまいそうです。
8、『ネクロポリス』上・下
死者に出会えることができるという場所の話です。
登場人物は怪しい人間ばかりなのですが、もしかしたら、こういう世界が実際にあるのかと、思えてくるくらいのリアリティ感があります。
ここがポイント
異国の地の物語なのに、妙に日本的思想が感じられて、何故だか懐かしい気持ちにしてくれます。
読み返すたびに、違う発見がある作品です。
9、『チョコレートコスモス』
伝説の映画プロデューサーが開催する、奇妙なオーディションで競い合う二人の女子大生の話です。
才能ある者同士がぶつかり合うオーディションの場面は、圧巻であり、臨場感がタップリと味わえます。
ここがポイント
舞台演劇を観たい気分にさせてくれて、役者としての熱意がとても伝わってきます。
続編を待ち望む読者が多いのも分かります。
10、『蜜蜂と遠雷』上・下
音楽コンクールを舞台にした、天才ピアニストたちの熱い闘いを描いた話です。
文章で音楽を表現することの難しさを、スラスラとやってのける恩田氏には感服してしまいます。
ライバル同士のドロドロした心理戦など全くなく、才能をお互いに認め合う爽快さに、胸が熱くなります。
ここがポイント
新しいスタートが切れる、新鮮な気持ちにしてくれます。
第156回、直木賞受賞作品です。
まとめ
ジャンルの枠にとらわれない、恩田陸氏の作品のご紹介はお楽しみ頂けましたでしょうか。
数ある作品の中でも、人気のある、おすすめのものをご紹介させていただきました。
まだ読んでいない作品がありましたら、是非この機会に読んでみてください。
あなたの読書の世界が広がりますよ。