読者を飽きさせない魅力の持ち主、芦沢央氏のおすすめの9作品をご紹介させていただきます。
巧妙な仕掛けと人間の感情を巧みに描いている作品が多く、大変人気があります。
一つの作品が仕上がるまで、全力投球で集中することが芦沢氏の信条とのことです。
そしてラストの切り札で、読者を驚愕の渦に巻き込んでいきます。
この記事の目次
芦沢央のおすすめ9作品をご紹介~切り札はいつも最後に~
出版社勤務を続けながら、各文学賞への応募を続けて、ついに2012年「罪の余白」で第3回野生時代フロンティア文学賞を受賞し、小説家デビューを果たします。
「罪の余白」は映画化もされ、その後の執筆作品も若者を中心に人気が高いものがたくさんあります。
また、人気テレビ番組の「王様のブランチ」にも2度出演して生の声を披露しています。
そんな芦沢央氏のおすすめしたい作品を9選ご紹介させていただきます。
1、『罪の余白』
高校のベランダから転落死した、自分の娘の死の謎を追う父親の話です。
死の原因はいじめだったのか、被害者側と加害者側のそれぞれの視点からストーリーは展開していきます。
中盤から終盤にかけての息もつけないほどの、ドキドキ感を失速させることのないテクニックは流石です。
芦沢氏のデビュー作にしてこの衝撃はヤバイです。
2、『悪いものが、来ませんように』
子供に恵まれない女性と子育てに追われる母親を襲った事件の話です。
登場人物の心理描写が巧みで、滅入る気分になりながらも最後まで目が離せません。
悔しい位に騙されて、まるで狐につままれているような感覚に陥ります。
親が小さな子供に言い聞かせるようなタイトルが印象的です。
3、『今だけあの子』
人間の心理が絶妙に綴られている5編からなる連作短編集です。
いつものちょっとまずい話かと思っていたのですが、切なくも温かくて感動する話の連続でした。
女同士の表面だけでは知ることができない、微妙なおもむきや事情がうまく表現されていて、興味深く読むことができます。
稀にみる良質な短編集に没頭してしまいます。
4、『いつかの人質』
12年前に誘拐された少女は、何故また今になって再び誘拐されたのか、過去と現在をつなぐ驚愕の話です。
事件の動機があまりにも身勝手すぎて、被害者以外の登場人物に全く共感できなくなってしまいます。
誘拐された人間が一番の被害者なのに、その健気な強さに見習うべきものがたくさんあります。
タイトルに込められた意味が、ラストで後を引くような感覚になってしまいます。
5、『許されようとは思いません』
してやられた感がタップリ詰まった5編が収録された短編集です。
どの作品も完成度がすこぶる高く、臨場感に溢れていて申し分のない展開です。
微妙に語り口調を変えているのも、筆者の狙いなのかと思ってしまいます。
妙に開き直ったタイトルが何故か興味を惹きます。
6、『雨利終活写真館』
遺影専門写真館を舞台に4編を収録した心温まる珠玉のミステリーです。
登場人物のキャラクター設定が面白く、飽きることなく読み進んでいけます。
大変読みやすくて、ミステリー要素もあり、最終的にはほっこり暖かい気持ちになれます。
相手を思いやる気持ちの大切さが分かる作品です。
7、『貘の耳たぶ』
出産直後に自分の赤ちゃんと他人の赤ちゃんを取り替え、4年が過ぎたころ事実が発覚する話です。
誰も救われない、子供たちが一番の被害者なのですが、助けられる人がいればと思ってしまいます。
ざらついた余韻が心の底に残ってしまいそうで、哀しくなってしまいます。
堪りませんの一言につきる作品です。
8、『バック・ステージ』
とても軽い文体でさらりと読める4編からなる連作短編集です。
筆者には珍しくライトタッチで、少しコメディっぽい味わいのする作品です。
人間は誰かに影響を受けて、少なからず誰かに影響を与えて生きていることが分かります。
気楽に読める作品ですが、人間模様が垣間見えます。
9、『火のないところに煙は』
主人公の作家に「神楽坂を舞台に階段を書きませんか」という、突然の奇妙な執筆依頼が舞いこむ話であり、6編からなる短編集です。
怖さの中にも何か考えさせられる作品ですが、恐怖の方が圧倒的に強く感じてしまいます。
フィクションかノンフィクションか分からないくらい、臨場感タップリに描かれていて、ゾクゾクしてしまいます。
夜に読まないほうがいいと思う作品です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
芦沢央氏の作品は人間の感情をうまく描いていて、臨場感がタップリと味わえます。
読んでいない作品がありましたら是非、この機会に手に取ってみませんか。
きっと夢中になれると思います。