浅見光彦が登場する『浅見光彦シリーズ』作品はすでに100作品を超え、次の作品の事件展開たるや、ファンの皆様にとっては待ち遠しくてたまらないと思います。
管理人も皆様と同じく今度はどんな事件展開になるのか本当に楽しみで、次の作品に早くたどり着きたい思いでいっぱいです。
さて、今まで読んできたシリーズの中で「読書の秋」にちなみ、私なりに印象に残った三作をご紹介させていただきたいと思います。
是非この過ごしやすい季節にコーヒーでも飲みながら読書に耽ってみるのもよろしいのではないでしょうか。
秋の夜長に!内田康夫『浅見光彦シリーズ』厳選おすすめの3作品をご紹介!
ご紹介する作品は浅見光彦がデビューして丁度、油に乗ってきた頃の作品ですが、彼の魅力、手腕を知るにはとてもいい作品だと思っております。
事件の舞台が歴史的異国風情漂う街であったり、ノーベル賞作家の有名な作品の舞台であったり、また江戸時代の罪人の流罪の地であったりと様々な場所の背景に起こる事件であります。
浅見光彦シリーズの醍醐味を味わういい作品だと思います。
おすすめ作品その①『長崎殺人事件』
長崎といえば東海地方の多くの高等学校の修学旅行で訪れる街です。
そしてお土産の中でもダントツなのが「カステラ」です。
信長・秀吉の安土桃山時代にポルトガル人により、南蛮菓子として伝来して以来、現在に至っています。
『長崎殺人事件』はそんなカステラ屋が舞台の作品です。
有名な歴史的建造物、グラバー園、蝶々夫人の像、眼鏡橋、歌にもなった長崎の鐘、北村西望作、長崎平和記念像等数え切れない程、有名なものがあります。
訪れたことのある人は、「あっ、あの場所」と懐かしく思われることでしょう。
この作品は型にはまった、伏線が使われていて成る程と納得でき、読み進むことができます。
また飛行機嫌いの浅見光彦が初めて飛行機を使った作品でもあります。
読者の期待を裏切らない、質の高い内田氏の代表作のひとつであると思います。
おすすめ作品その②『佐渡伝説殺人事件』
今では観光地として名高い佐渡ヶ島ではありますが、その昔は罪人の流罪の島でした。
日蓮上人や世阿弥も島送りされています。また日本で一番、金の採れる場所であったようで江戸幕府の直轄の支配地でした。
その佐渡ヶ島の「願」という地名が書かれたはがきが事件の鍵になります。
数十年前の悲しい出来事を調べていくうちに事件の手がかりをつかみ、核心に迫っていきます。
蛇足ですが、佐渡ヶ島には面白い交通標語看板があり、「スピード違反はスルメー(イカの絵付き)」とか「スピード違反10,000円、佐渡わかめ800円」と書かれた看板もありユニークこの上ないです。
また、島内の海岸を一周する日本一長い都道府県道(167.2Km)もあります。
ここ佐渡を舞台にした作品ですが『浅見シリーズ』の中でも最も上質な要素がバランスよく配されていて、地味でありながらお勧めしたい作品です。
おすすめ作品その③『天城峠殺人事件』
温泉がたくさんある街、静岡県伊豆、数多くの名所、修善寺、小京都を堪能できる竹林の小道、日本の道百選にもなった天城隧道、浄蓮の滝等があり一年を通じて観光客が絶えない地です。
この作品のタイトル「天城峠殺人事件」は伊豆を中心に展開していきます。
神社に貼られた「下司」という千社札を手がかりに事件に挑んでいく浅見光彦。
そして意外な幕切れ、『浅見光彦シリーズ』を初めて読む読者にも入りやすい作品ではないでしょうか。
温泉に浸り、美味しいものを食べ、名所・旧跡を周り明日への活力を養う。
そんな伊豆の魅力がいっぱい詰まった作品です。
まとめ
何か観光案内のようなお勧め三作品になってしまいましたが、旅行好きなかたが誰しも訪れる地を舞台にしたサスペンスなので、楽しみながら秋の夜長に読めるのではないでしょうか。
ご自身の視点で場面を想像しながら読み耽っていくことで、『浅見光彦ミステリー』の楽しさが2倍にもなり、いつもとはまた違った読み方ができるのではと思います。