安定した面白さの川瀬七緒氏のおすすめ作品8選をご紹介させていただきます。
文化服装学院卒業後、服飾デザイン会社に就職し、子供服のデザイナーとして 勤めていきます。
その後、フリーのデザイナーとなり、やはり、子供服のデザインを手がけ、結婚を機に東京から横浜に移ります。
2007年から小説の執筆に取り組んでいて、2010年には「静寂のモラトリアム」という作品が鮎川哲也賞の最終候補になります。
川瀬七緒おすすめ作品8選をご紹介~無から有を創り上げる~
2011年二度目の応募で「よろずのことに気をつけよ」という作品が第57回江戸川乱歩賞を受賞し、合わせて作家デビューを果たします。
原稿を書いているときは、必ず、クラシックを聞いているというか、必ず流しているそうです。
また、肩こりがひどいので、気分転換にマッサージに通っているそうで、マッサージ師の方とはとても信頼できる友達だそうです。
そんな川瀬七緒氏のおすすめの作品8選をご紹介いたしますので、お楽しみください。
『よろずのことに気をつけよ』
呪い研究に没頭する文化人類学者の中澤のもとに、祖父を惨殺されたという17歳の少女、真由が呪術札を持って訪れる話です。
殺された老人の家の縁の下に、呪いの札が埋まっていたのですが、真っ当に生きてきたはずの祖父が、何故殺されて、呪術札まで見つかるのかが謎なのです。
調べていくうちに、祖父の謎の行動や徹底した生き様が明らかになっていき、呪われた理由も徐々に明かされていきます。
ここがポイント
呪術という現代にそぐわないものと、ミステリーがうまく融合して更なる興味を抱いてしまう作品です。
『桃ノ木坂互助会』
桃ノ木坂町を愛する老人会の選りすぐりのメンバーが、町の治安やマナーを守らない住人を排除していく話です。
今までにも謎の活動は功を奏し、次のターゲットへの戦闘を開始しようとした矢先に、時を同じくして、謎の姉妹が幽霊コンサルタントとして、同一人物をターゲットにしていたのです。
ここがポイント
正義とは何か、美しい道徳観を高らかに掲げても、どうにもならないこともあるのです。
物語自体は一応の解決をみせますが、何とも、スッキリしないような、ほろ苦い後味が残ってしまうのです。
最後は以外な展開になる作品です。
『女學生奇譚』
「この本を読んではいけない・・・」という警告文がつけられた古書にまつわる話です。
フリーライターの八坂は編集長の依頼で、相棒のカメラマン、篠宮と共に、調査を始めていきます。
そして、現れた、あやめと名乗る女が自らの兄も本に関わり失踪したという。
曰く付きの本について調べを進めるうちに、次々に本に関する事実が明らかになっていくのです。
ここがポイント
全体がオカルト的雰囲気に包まれたミステリーであり、作中作の「女學生奇譚」が昭和初期の時代感を絶妙に醸し出しています。
懐かしいレトロ感にあるれる作品です。
『シンクロニシテイ』
法医昆虫学捜査官シリーズの第二弾であり、トランクルームから女性の腐乱死体が発見される話です。
遠い昔に福島の田舎で、雨乞いのために生き埋めにされた少女の祟りが、現代の東京で発見された腐乱死体の事件にシンクロしていくのです。
赤堀教授と上層部の不信感から、彼女を守る岩楯警部の全幅の信頼に、法医昆虫学に興味を示す月縞巡査を加えて実にナイスなトリオができあがったのです。
ここがポイント
いろんな面から楽しめる作品です。
『潮騒のアニマ』
法医昆虫学捜査官シリーズの第五弾であり、伊豆諸島の神の出島でミイラ化した女性の遺体が発見される話です。
解剖医は自殺と断定し、死亡推定月日は、三か月以上前とされた。
そして遅れて島に到着した法医昆虫学者の赤堀涼子がその検死に疑問を持ち、真実に挑んでいくのです。
ここがポイント
一つの死体から従来の方法で、証拠を固めていく岩楯刑事、そして昆虫の生態から現場を特定する赤堀教授のコンビが活躍します。
最後には二人の結論は同じところに行く流れなのですが、犯人がなかなか特定できなかったのですが、岩楯刑事の活躍が光るのです。
安定した面白さが味わえる作品です。
『テーラー伊三郎』
保守的な田舎町の老舗紳士服店に飾られた、美しいコルセット「コール・バレネ」、それは、高校生の海色の人生を変える色鮮やかな革命の始まりだった。
仕立て屋の爺さんの作り出す、コルセットに多くの人が惹きつけられ、輪が広がり、町の雰囲気と共に高校生の海色の成長が描かれています。
そしてやがて、たくさんの人たちを巻き込んで、大きなうねりとなっていくのです。
海色、伊三郎だけでなく、テーラー伊三郎に集まってくる人たちが、生き生きとしていて、とても魅力的なのです。
ここがポイント
何かに夢中になるのに年齢なんか関係ない、そんなことを感じさせてくれる作品です。
『紅のアンデッド』
法医昆虫学捜査官シリーズの第六弾であり、古民家で凄まじい量の血痕と切断された左手の小指3本が発見された話です。
今回の主役は「やけど虫」で、名前から想像できるように相当ヤバイ虫です。
ここがポイント
虫の声を元にした捜査部分は相変わらず鋭く、さらに新しいプロファイラーも加わり、ますます頼もしいチームになっていきます。
座敷に残された切断された3人分の小指、その事件を解明するのに、絡んで明かされた赤堀教授の過去、そして捜査分析支援センターの立場と悩みなどが明らかになっていきます。
ますます楽しみになる作品です。
『スワロウテイルの消失点』
法医昆虫学捜査官シリーズの第七弾であり、東京、杉並区で男性の腐乱死体が見つかる話です。
今回のメインゲストは殺人現場に現れた、小黒蚊とクチグロです。
小黒蚊は日本に生息していないはずの、吸血虫であり、これにたくさん刺された岩楯刑事たちは、猛烈な痒さに見舞われてしまったのです。
ここがポイント
そしてクチグロも殺人現場にいないはずのクモであり、この2匹の虫が事件の鍵を握っているのです。
昆虫から捜査を進める赤堀教授と、地道な足を使った操作の岩楯刑事の二人で、真相に近づく様は本当に読み応えがあって、楽しい作品です。
まとめ
川瀬七緒氏の作品は楽しんでいただけましたでしょうか。
まだ、読んでいない作品がありましたら、是非この機会に読んでみてください。
読書の楽しみが広がりますよ。