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坂東眞砂子おすすめ作品8選をご紹介~様々な示唆に富んだ描写~

「死」と「性」を主題とした作品が特徴の坂東眞砂子氏のおすすめ作品8選を、ご紹介させていただきます。

大学卒業後、イタリアに留学して、インテリアデザインを学び、帰国後、フリーライターの傍らに童話を書いて、寺村輝夫氏の主催する童話作家育成雑誌の「のん」で認められて、児童向けファンタジー小説で作家としてデビューをします。

後に一般小説に転向し、1993年にホラー小説ブームの先駆けとなった、「死国」がヒットします。

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坂東眞砂子おすすめ作品8選をご紹介~様々な示唆に富んだ描写~

1997年には、人間の性と業を描いた「山妣」という作品で第116回の直木賞を受賞します。

まだ2002年には「曼荼羅道」という作品で第15回柴田錬三郎章を受賞し、作家としての地位をゆるぎないものにします。

まだまだ活躍が期待されていた2013年に舌癌が見つかり、治療の甲斐もなく、翌2014年に高知県の病院で55年の生涯に幕を閉じています。

そんな坂東眞砂子氏のおすすめの作品8選をご紹介いたしますので、どうぞお楽しみください。

1、「死国」

四国八十八か所の霊場を死者の歳の数だけ逆打ちすると、死者が蘇るという言い伝えに纏わる話です。

東京でイラストレーターとして働く比奈子が、幼い頃を過ごした高知の矢狗村を訪れ、幼馴染であった莎代里がとうの昔に亡くなっていたことを知るのです。

そして母の照子が莎代里の霊をこの世に呼び戻そうと、禁断の逆打ちを行っていたことを知り愕然としてしまいます。

四国は死国であり、頑なに信じる土着の思想がねっとりと絡みつき、仄かに芽生えたもう一人の幼馴染との恋も死の膨大な力に押し流されてしまうのです。

ここがポイント

四国を舞台に、土着信仰や伝承を絡め、山間の村の閉塞的な雰囲気も加味されて、絡みつく不穏な空気を感じてしまう作品です。

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2、『狗神』

高知の山里で狗神筋である女性が、村を訪れた青年と結ばれたことから悲劇が起こる話です。

実際に四国にある狗神筋(憑き)を下地にして、描かれていて、部落内での差別や近親相姦など禁忌に触れる話になっています。

被差別の家に生まれただけで、その土地が好きでも受け入れられることはないのだろうか、そして、そこの人々は個人ではなく、血筋で恐れているのだろうか。

いくら神仏に従順に服しても、極楽にすらいくことができず、菩薩からも見放されているというのは、あまりにも残酷な話です。

ここがポイント

本当に恐ろしいのは物の怪ではなく、人間なのです。

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3、『蛇鏡』

姉の七回忌の法要のため、婚約者の広樹を連れて奈良の実家に帰省した主人公の玲が実家の蔵で、蛇の浮彫のある鏡を見つけたことで、自分の中の何かが少しずつ変わっていく話です。

鏡は姉の綾のものであり、綾は鏡が見つかったその蔵で首を吊って自殺していたのです。

また玲は考古学調査に来ていたかっての知人である田辺一成と出会い、鏡を手にして以来、玲の心が奇妙に歪み始めるのです。

ここがポイント

蛇をまつる古代信仰が、不気味な影を落とし、現代の人々が鏡に操られるかのように、事件が起きてしまうのです。

土着信仰の得体の知れないゾワゾワ感が味わえる作品です。

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4、『葛橋』

覗かれているようなゾワゾワする不気味さがある3編からなる中編集です。

果実酒を作る生真面目な主婦、漂流物を拾った漁師の妻、妻に先立たれた夫の話が綴られています。

それぞれの立場は違えども、ひたすら鬱々とした心理描写が続き、その湿気の中で何かを切っ掛けに全てが崩れていくのです。

ここがポイント

怖いというよりも、その濃密な心理描写に当てられて、こちらまで息苦しくなってきます。

流石の湿度のある不穏な空気の秀逸な描写には恐れ入ってしまいます。

まさに坂東氏独特の世界観を持った日本のホラー作品です。

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5、『桜雨』

一人の画家をめぐる、二人の女の三角関係と情念の話です。

幸せになりたいと思って生きて来たはずなのに、苦しみの泥沼に足を取られて、もがいている女たちの姿がそこにあるのです。

ここがポイント

見て来たかのように描かれる昭和初期の池袋の空気と戦争に壊されていく生活が臨場感タップリに描かれています。

そして戦争よりも濃密になる二人の女の嫉妬と、更には現在、一緒に過ごしている老婆になった二人の友人とも、何ともつかない関係性に隠された秘密があったのです。

最後に判明する事実が劇的です。

6、『山妣』上・下

明治末期、越後の奥深い山里を舞台に、長年にわたる因業の結果、生じた悲劇を濃密に描いた話です。

山神への奉納芝居の稽古に、役者二人が地主に招かれ東京からやってくるのですが、若い方の役者の涼之助は女と見間違うばかりの美貌だったのです。

そして地主の息子鍵蔵の嫁で妖しげな雰囲気を漂わせる、てると出会い、その二人が密通に至った時、それまで維持されていた均衡は崩れ、隠されていた愛憎の念が暴け出されたのです。

ここがポイント

山を巡り、男女の深い想いが交錯し、擦れ違う思いがけない相関図が明らかになるに従い、狂気の波も広がっていったのです。

山深い土地の因習に纏わる人の心の奥底を描いた素晴らしい作品です。

7、『傀儡』

何の繋がりもなかった人々が、何かに導かれるように出会い、運命を交錯させる話です。

生まれ育った村を武者に襲われ、家族を失った女と、風のように自由に生きる傀儡女と渡来人の僧が迷いの中で消えない光を捜していくのです。

鎌倉時代というかなり前の想像もつかない時代は、こんなにも人々が苦しい生活をしていたのかと感慨深くなります。

仏教という一括りの中の様々な宗派の少しづつ異なる趣旨に触れていて、禅宗の上層部への浸透ぶりや道隆の教義なども描かれています。

ここがポイント

宗教というよりも、哲学・思想としての仏教の立ち位置を考えさせられる作品です。

8、『朱鳥の陵』

女帝、持統天皇の恐るべき実像を、夢解き女、白妙の目を通して描いている話です。

持統天皇が即位した理由が明らかになる、恐るべき真実とは何だったのでしょうか。

この国が亡びるという強い危機感とそれを回避しようとする責任感、そのためには何を、誰を犠牲にしてもという哀しみと非情さの両方を背負う女帝の深い孤独感も感じさせられます。

対照的に哀れなのは語り部の白妙の運命であり、血塗られた惨劇が垣間見れ、気持ち悪さや怖さを感じてしまいます。

ここがポイント

女帝持統の恐ろしい女の情念がリアルに描かれている作品です。

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まとめ

坂東眞砂子氏の作品はお楽しみいただけましたでしょうか。

まだ読んでいない作品がありましたら、是非この機会に読んでみて下さい。

坂東氏ならではの鋭い感性を味わっていただけると思います。

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