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上田岳弘おすすめ作品6選をご紹介~哀しみと郷愁を融合させる~

独特な感性で表現する、上田岳弘氏のおすすめの作品6選をご紹介させていただきます。

大学卒業後は法人向けソリューションメーカーの立ち上げに参加をして、その後、役員となります。

2013年に「太陽」という作品で、第45回新潮新人賞を受賞して、小説家デビューを果します。

また、第28回の三島由紀夫賞の選考においては、又吉直樹氏の「火花」との決戦投票の末に「私の恋人」という作品で受賞をしています。

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上田岳弘おすすめ作品6選をご紹介~哀しみと郷愁を融合させる~

その後の活躍は目覚ましく、ついに、2019年に「ニムロッド」という作品で第160回芥川賞を受賞します。

上田氏はどの作品を創作する時でも、プロットはほとんど立てないらしく、つまり、作品全体の設計図も描かずに書き進めて行くのだそうです。

書く時はいつも、ぼんやりとしたイメージが頭の中にあって、それをまるで彫刻を仕上げていくかの如く、文章に置き換えていくことで創作しているのだそうです。

要するにイメージを明確にするために、文章を書いていくという感覚のようです。

そんな上田岳弘氏のおすすめの作品を6選ご紹介させていただきますので、お楽しみください。

1、『太陽・惑星』

人類の終着点は凡そ、どのあたりなのか、というようなことをテーマにした、太陽と惑星の2編からなる作品です。

インターネットの発達によって、人類の思惑が一元化した世界が描かれていて、金という絶対的なものを追い求める「太陽」と人との相対的な関係を描く「惑星」の事が綴られています。

世界観は共通していますが、文章表現としてはかなり違うスタイルであって、太陽の方は冒頭から、完全に持っていかれて、上空からズームで、下界を撮影しているかのような視点です。

ここがポイント

目まぐるしく場面が変わるのに、何故か受け入れやすくて、段々と話が途轍もない方向に行くのに気持ち良く感じてしまいます。

惑星の方は、公平で健康な世界であり、この人類補完計画にもハーモニーにも重なる未来観と人類は個であることの意味を問われていますが、終盤には話が交錯しすぎて、消化不良の感がありますが、太陽と比べなければ十分に楽しめます。

SF的であり哲学的な作品です。

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2、『私の恋人』

10万年前にクロマニヨン人として生きていた頃の記憶と、ナチス政権下のドイツにおいて絶滅対象として収容所で殺害されたユダヤ人の記憶を持つ、日本人の会社員である井上由祐の話です。

一人目は類まれな知性を持ったクロマニヨン人であり、二人目は悲惨な暴力や虐殺も身をもって経験したユダヤ人であり、そして三人目は現代の日本で、あなた方人類の中で埋もれる普通の人物である井上由祐なのです。

何度も生まれ変わり、理想の恋人を追い求め、10万年越しで思い続けた私の恋人は、確かに私の恋人であるのですが、墜ちたくて墜ちたわけではなかったのです。

そのことを10万年前に夢見ていながら、助けてくれたのは全く別の人だったのです。

ここがポイント

壮大な歴史の中で、行き止まりにぶつかりながらも、旅を続ける人類の歴史を凝縮したような重厚感のある作品です。

3、『異郷の友人』

生まれ変わりの記憶を持ち、且つ、今現在、生きている別の人間の記憶も共有できる主人公の話です。

主人公は何度も生まれ変わり、しかも他人の体験をあたかも自分の体験のように感じることができる、神の如き能力を持つ人物なのです。

過去の生まれ変わりの記憶を保持しながら、現代を生きる「吾輩」と、「吾輩」の意識に同時間軸で入り込んでくる淡路島の新興宗教の教祖の「S」、そしてオーストラリア人ハッカーの「J」の意識を持っているのです。

ここがポイント

SF要素と創生神話が絡み合って、この先の展開がどうなっていくのかが興味深々となります。

メタ人間的な人物たちが、その出来うる能力を持ってしても、たどり着けない境地を描いている作品です。

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4、『ニムロッド』

人類の行き着く先をビットコインという無機質感と恋人との有機質感、そしてダメな飛行機を絡めての話です。

仮想を追い求めていくと、漠然とした不安感や虚無感に心が支配されて、生きる目的が不明瞭になり、苦しむことが必然になってしまうのではないかと思ってしまいます。

また近い将来、人間の存在自体が、仮想世界や人工知能に駆逐されるのではないかという恐怖に苛まれてしまいます。

ここがポイント

有機的な個の生と、無機的な溶け合った生、生と死ではなく、生と生とを比較しているのが面白く楽しめます。

人間の発展の先と欲望の末の作品のようです。

5、『塔と重力』

SNS全盛の現代にあって、この作品は時代性と真摯に向き合っていているのが分かります。

SNSの中で、人々はかって、声にならなかった声を呟き、共有できなかった出来事を共有して、生半可な自己顕示欲を満たすことに余念がありませんでした。

表題作は今までの作品とは少し作風が異なり、阪神淡路大震災により、恋人とホテルにて生き埋めになった僕だけが生き残ってしまい、彼女の記憶を抱えて生きていく姿が描いています。

そんな折、塔の上の人である田辺が、友人である水上に死んだ彼女のアサインという戦略で徐々に重力にひかれ、人間の形を取り戻していくのです。

ここがポイント

仮想と現実のせめぎ合いの作品です。

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6、『キュー』

夢の中の世界にいるような、奇妙な錯覚に陥ってしまうサイエンス・フィクションのような話です。

全世で太陽と同じ温度で焼け死んだと話す少女と同級生だった「僕」はある組織に拉致され、寝たきりの祖父は失踪し、未来人の自称、天才も交え、混乱の中、物語は進行していきます。

人間が人間として生きて行くために、良かれと思い取り込んだものに、知らず知らずのうちに蝕まれていくのです。

ここがポイント

人間は人間を超えていきたいと縋りついているその先で、悪意無き排除によって振り落とされる日が来るのかもしれません。

本当に強敵な作品です

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まとめ

上田岳弘氏の作品はお楽しみいただけましたでしょうか。

少し、心してかからないと、かなりの強敵です。

しかし、その面白さにハマってしまうと、底なし沼のようにズルズルと引っ張られてしまうのです。

まだ、読んでいない作品がありましたら、是非この機会に読んでみてください。

そして、あなたのお気に入りに是非、加えてください。

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