日常に潜む恐怖を描く、浦賀和宏氏のおすすめ作品10選をご紹介させていただきます。
1998年に「記憶の果て」という作品で第5回メフィスト賞を受賞し、作家デビューを果します。
青春小説、SF、ミステリの要素が混交された独自のプロットを確立しています。
浦賀和宏おすすめ10選をご紹介~日常に潜む恐怖に切り込む~
また、イエロー・マジック・オーケストラの熱狂的なファンであり、広義の電子音楽に造詣が深いことでも知られています。
作風としては、近親相姦、同性愛、カニバリズム、オタク文化や読者等への痛烈な罵倒、作品のテーマとしてタブー化されているものを使う傾向にあります。
そんな浦賀和宏氏のおすすめの作品10選をご紹介させていただきますので楽しんでください。
1、『記憶の果て 上・下』
安藤直樹シリーズの第一弾であり、自殺した父親のパソコンの中に、まるで意志を持ったかのように返答してくる、人口知能の安藤裕子というプログラム入っていた話です。
悲劇的な運命にもがき苦しむ尚樹の苦悩を描いていて、論理的な考察を主体として、非現実な存在を紐解く予測のつかない展開です。
ここがポイント
青春小説としてはあまりにも暗く、推理小説としても王道から外れたタブー全開の作品です。
2、『時の鳥籠 上・下』
安藤直樹シリーズの第二弾であり、ある少女が自殺するのを阻止するために、未来から女性がやってくるという話です。
前作「記憶の果て」と対になる形で、記憶喪失とタイムスリップを合わせた展開になっています。
前作では回収されなかった伏線がいくつか回収され、次作へと続く流れになっています。
ここがポイント
静かな戦慄の中に広がっていく、挑戦的で意欲的な世界が伺えます。
SFテイストでありながら、ミステリーとして十分に楽しめる作品です。
3、『眠りの牢獄』
階段から落ちて昏睡状態になった女性を巡り、3人の青年が、核シェルターに閉じ込められる話です。
一体誰が彼女を突き落としたのか、話が進むにつれて全く違った展開になっていきます。
読んでいて違和感を感じる描写はいくつかありますが、最後に主人公に関する真実が明かされ、気持ちよく騙されてしまいます。
ここがポイント
どんでん返しが好きな方に、お勧めの作品です。
4、『彼女は存在しない』
恋人を殺された香奈子と、妹の異常な行動を目撃した根本が、次々に起きる凄惨な事件によって、引き合わされる話です。
香奈子と根本の2人の視点で話は進んでいき、多重人格をテーマにした、叙述トリックが仕掛けられています。
ここがポイント
解けそうなヒントがあちこちにあるように見せかけて、実はトラップだらけ、そうです読者のミスリードを引き出しているのです。
考えれば考える程どんどん混乱していきます。
イヤミス感を感じてしまう作品です。
5、『こわれもの』
売れっ子漫画家の陣内龍二の婚約者が、交通事故で亡くなり、そのショックで自作の漫画のヒロインを殺してしまう話です。
そのことに対して怒ったファンからバッシングの嵐、そんな時、婚約者の事故を予言するような手紙が届きます。
ここがポイント
目に見えぬ憎悪から秘められた憎悪になり、そして計画された憎悪へと変わっていくのです。
何とも終盤は恐ろしいことになり、そして最後にまたしても想像を絶する展開にと進んでいくのです。
知らないうちに浦賀ワールドに引き込まれてしまう作品です。
6、『彼女の血が溶けてゆく』
桑原銀次郎シリーズの第一弾であり、ライター銀次郎の元妻で医者の聡美が引き起こした、医療ミス事件の真相を探っていく話です。
真相がどんどん明らかになっていく中、二転三転するストーリー、凄まじい牽引力に引っ張られるように目が離せなくなってしまいます。
ここがポイント
スルスルと謎が謎を呼び、前のめりになりながら、やはり最後に驚愕の展開が待ち受けていたのです。
最後まで想像がつかない展開の作品です。
7、『彼女のため生まれた』
桑原銀次郎シリーズの第二弾であり、母親を高校の同級生の渡部に殺された銀次郎が、その真相を探っていく話です。
しかもその同級生は自殺してしまい、そして、母の殺された原因が銀次郎自身にあったと残された遺書に書かれていたのです。
自分と家族の名誉の為、銀次郎の必死の探求が始まり、驚くべき事実が次々に浮き彫りになってきます。
ここがポイント
ラストで明かされる事件黒幕の存在と、その動機の不可解ぶりに衝撃を受けてしまいます。
二転三転する展開に、翻弄されてしまう作品です。
8、『彼女の倖せを祈れない』
桑原銀次郎シリーズの第三弾であり、銀次郎の同業者の青葉が殺され、その真相を探っていく話です。
手掛かりは、青葉のカメラに写っていた、ボンデージ姿の女性。
何と序盤で銀次郎が協力者の男に刺され、以後スクープの当時者たちによる、銀次郎の刀刺の経緯が描かれています。
ここがポイント
中盤で早々に訪れる衝撃的な展開と、そこからの繋がりも不明瞭なままに始まる物語に、何かあるのかと思ってしまいます。
見事に騙されてしまう作品です。
9、『緋い猫』
殺人事件の犯人と疑われた失踪した恋人を探すため、彼の故郷の東北の寒村へ向かう17歳の洋子の話です。
しかしそこは、閉鎖的な村であり、尚且つ、洋子は村人たちに半ば軟禁状態にされてしまうのです。
酷い仕打ちと目をそむけたくなるような描写が、不気味でおぞましく綴られています。
ここがポイント
ラストの衝撃度がかなり高い作品です。
10、『ifの悲劇』
結婚した妹が、夫の浮気を苦に自殺してしまい、兄である小説家の加納がその復讐をする話です。
そしてその夫を殺害し、偽装工作を終え車で運ぶ途中に、展開は二つに分岐していくのです。
ここがポイント
ここから浦賀氏のパラレルワールドが始まるのです。
かなり手の込んだ仕掛けが用意されていて、頭が混乱してしまいます。
二度読み必至の作品だと思います。
まとめ
浦賀和宏氏の作品のご紹介は、お楽しみいただけましたでしょうか。
かなり手の込んだ作品がたくさんあり、楽しんでいただけたと思います。
まだ読んだことがない作品があれば、是非この機会に読んでみてください。
読書の楽しみが広がりますよ。