理想の姿を描く、今野敏氏のおすすめ作品を15選ご紹介させていただきます。
大学在学中の1978年に「怪物が街にやってくる」という作品で、第4回問題小説新人賞を受賞して小説家デビューを果たします。
卒業後は東芝EMIに入社するも2年で退社して小説家に専念し、同時に大学から始めていた空手で空手道今野塾を主催します。
今野敏おすすめ作品15選をご紹介~あるべき理想の姿を描写する~
長年の空手の経験から、武道や格闘技の描写が多く、裏社会や登場人物の描写にも個性が表れています。
上品でポジティブな作風なので女性ファンも多く、警察小説、SF、アクション等の作品を多く描いています。
そんな今野敏氏のおすすめの作品15選をご紹介いたしますので、お楽しみください。
1、《触発》
警視庁捜査一課・碓氷弘一シリーズの第一弾で、混雑する朝のラッシュ時の地下鉄で爆弾テロが発生する話です。
警視庁捜査一課の刑事、碓氷と自衛隊員で爆弾処理のスペシャリストの岸辺が犯人を追いかけていきます。
ここがポイント
警察VS犯罪者としての単純な話ではなく、公安、自衛官、社会学者まで絡んだ流れで、目が離せなくなります。
ハラハラ・ドキドキが臨場感タップリに味わえる作品です。
2、《エチュード》
警視庁捜査一課・碓氷弘一シリーズの第四弾で、無差別殺傷事件の犯人を捕まえるため、碓氷と心理調査官、藤森紗英が事件に挑む話です。
心理捜査官の藤森がかなり絞り込んだ大胆ともいえる、プロファイリングを展開し、犯人のあたりをつけていきます。
ここがポイント
人間の心の隙や油断、そして群衆心理という部分がとても面白く描かれています。
シリーズの中でも大変人気がある作品です。
3、《曙光の街》
倉島警部補シリーズ第一弾であり、ヤクザの組長を殺す目的で日本に潜入した、元KGBの日露混血の殺し屋を巡る話です。
それを迎え撃つ、ヤクザと公安なのですが、鍵を握るロシア人の美少女が現れることにより、急激に事態は展開していきます。
細やかな人物の描写、および戦闘の様子が臨場感たっぷりに溢れています。
ここがポイント
非日常が存分に楽しめる作品です。
4、《殺人ライセンス》
パソコンオタクの高校生が、サイト上で「殺人ライセンス」という殺人を行うゲームを見つけるのですが、そのゲームのターゲットが実際に殺されてしまうという話です。
ここがポイント
素人探偵とイマドキのパソコンオタクの高校生が、事件の解明に乗り出していきます。
そして都市伝説的な要素も加わり、飽きさせない内容でストーリーは展開していきます。
15年前の作品とは思えない程、新鮮味を感じてしまう面白味があります。
5、《義珍の拳》
琉球空手シリーズの第一弾であり、琉球秘伝の「唐手」を極めて、空手を本土に伝えた男の波乱万丈の話です。
武術小説ですが、派手な試合などの描写はあまりなく、空手の普及に尽力した義珍の伝記ものといった感じです。
武道を経験した者が感じるであろう、様々な葛藤を、昔の武道家たちも同様に抱いていたことが分かります。
ここがポイント
合理的捉え方よりも、本質的な捉え方が学べる作品です。
6、《隠蔽捜査》
人気がある隠蔽捜査シリーズの第一弾であり、警察庁のキャリア官僚、竜崎が主人公で、彼の筋を通す生き方を描いた話です。
警察という巨大すぎる組織を守るための隠蔽捜査に異議を唱え、己にも厳しい処断を下していく竜崎の姿が印象に残ります。
単なる警察小説にとどまらず、家族のことや人間ドラマ的な部分も表現されていて、かなり楽しむことができます。
ここがポイント
筋を通す男のカッコ良さが分かる作品です。
7、《スクープ》
スクープシリーズの第一弾であり、テレビ局の遊軍記者である布施が次々にスクープをものしていく話が綴られた、7編からなる短編集です。
布施は敏腕刑事も一目置く独特の嗅覚で、都会の雑踏の中で発生する様々な事件に迫っていきます。
ここがポイント
謎解きの面白さを追求するというよりは寧ろ、登場人物の個性に魅力を感じてしまいます。
爽快であり、痛快なシーンを満載した作品です。
8、《同期》
同期シリーズ第一弾で、汚名を背負い懲戒免職になった同期の公安の蘇我の謎を追っていく宇田川刑事の話です。
疑問を感じる宇田川は捜査の合間に蘇我を調べていく中で、警察庁警備局からの接触がもらたされ、ますます謎が深まっていきます。
所々に挟まれる警察組織の葛藤や、人間ドラマが絶妙であり、登場人物それぞれの個性もしっかりと描かれています。
ここがポイント
警察内部の上下関係とか、公安との距離感などが分かりやすく描かれている作品です。
9、《確証》
萩尾警部補シリーズの第二弾で、捜査三課のベテラン刑事の萩尾と女性刑事、武田秋穂が強盗殺人事件に挑む話です。
捜査一課と共に事件にかかわることになり、一課の刑事とのやり取り、部署間の競り合いもリアリティたっぷりに描かれています。
刑事ものとしての安定の面白さもあり、ヒューマンドラマととしての部分も加味されていて、かなり楽しめます。
ここがポイント
他の作品ではお目にかかれない、捜査三課ならではの面白さが堪能できる作品です。
10、《精鋭》
特殊急襲部隊「SAT」に憧れる、新米巡査、柿田亮の成長を描いた話です。
柿田は実習時や地域課勤務時には自らの判断に悩み、機動隊やSATに選ばれてからも、自信が持てないのですが、それでも周りの人たちに助けられて成長していきます。
機動隊、自衛隊、SATの一般にはあまり知られていないようなエピソードも散りばめられていて、楽しめます。
ここがポイント
人間の心理がとてもうまく描写されている作品です。
11、《豹変》
警視庁少年係の富野と旧知である、お祓い師の鬼龍が狐憑き事件に挑んでいく話です。
中学生がおこす傷害事件であり、狐憑きのお祓いをしようとした中学生が刺されるという事件が発生します。
SNSやアプリ等、最新のネタもふんだんに取り入れた構成で犯人は追い詰められていきます。
ここがポイント
少しオカルト好きな方には、おすすめの作品です。
12、《任侠書房》
任侠シリーズ第一弾であり、阿岐本組というヤクザの組が倒産寸前の出版社を立て直す話です。
ヤクザたちが出版社の仕事にとりかかっていくのですが、ヤクザならではの視点や少し強引なやり方に、何とも言えない面白味を感じてしまいます。
義理堅く、情が厚いヤクザにホロリとさせられたりして、テンポもよく展開も早いので、サクサク読み進んでいけます。
ここがポイント
純粋な任侠の世界が、少し分かる作品です。
13、《防諜捜査》
倉島警部補シリーズ第五弾で、ロシア人女性の轢死事故を手掛かりに、ロシアの殺し屋の確保に奔走する話です。
ここがポイント
嫌われ者として扱われる公安捜査官を主人公とした、シリーズものの最新であり、警察小説としても稀有な作品です。
地味な展開で、中だるみになりがちなストーリーを飽きさせることなく引っ張っていく今野氏の筆力は流石です。
安定したストーリーが、楽しめる作品です。
14、《真贋》
萩尾警部補シリーズの第三弾であり、デバートで開催された陶磁器展で国宝が偽物にすり替えられる話です。
相手のちょっとした表情の変化を見逃さず、ベテラン刑事、萩尾の読みの鋭さには感服してしまいます。
ここがポイント
警察小説というよりは人情小説のようでもあり、あまり緊張感は感じられませんが、しみじみとした気分が味わえます。
イメージが湧きやすく、読みやすい作品です。
15、《任侠浴場》
任侠シリーズ第四弾であり、今回は阿岐本組が、古びた銭湯を再生させる話です。
赤字経営の銭湯の債務整理ができなくて困っているという、兄弟分からの依頼に挑んでいきます。
ここがポイント
問題の本質を見抜く親分の眼力と、周りを引き込む器の大きさに脱帽してしまいます。
任侠物なのに、共感できる作品です。
まとめ
今野敏氏の作品のご紹介は、お楽しみ頂けましたでしょうか。
まだ読んでいない作品がありましたら、是非、この機会に読んでみてください。
さらに読書の楽しみが広がります。