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藤沢周平おすすめ10選をご紹介~きめ細やかな風景描写で魅了~

刀

人の世の無常を描く、藤沢周平氏のおすすめの作品10選をご紹介させていただきます。

山形師範学校を卒業後、中学校の教師となるのですが、2年後に結核が見つかり、休職し6年間の闘病後、東京の業界新聞社に勤めることとなります。

そして、会社勤めの傍らに、小説を執筆していき、1971年に「溟い海」という作品が、オール讀物新人賞、1973年には「暗殺の年輪」という作品で直木賞を受賞します。

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藤沢周平おすすめ10選をご紹介~きめ細やかな風景描写で魅了~

作風としましては、微禄の藩士や江戸の下町に生きる人々を描いた時代小説、歴史上の事実や人物を題材とした歴史・伝記小説等の数々の作品を発表しています。

また、作家としての日々の暮らしや、故郷、鶴岡市についてのエッセイも残しています。

1985年から1996年までの21期、11年間、直木賞の選考委員を務め、1995年には紫綬褒章を受賞しています。

そんな藤沢周平氏のおすすめ作品10選をご紹介させていただきますので、お楽しみください。

1、『暗殺の年輪』

過酷な運命を背負う人たちを主人公にした、5編からなる短編集です。

描かれている男たちは、町人であったり、武士であったり、絵描きであったりと立場は異なりますが、いずれも非常な定めに抗いながら生きているのです。

そして、登場する女性達が、物語に独特の艶を与える重要な役割を演じていて、一層作品の強さや重みを増しています。

ここがポイント

風景描写も巧みであり、江戸の街や諸藩の街並みが、目の前に浮かんでくるような描写が印象的です。

男よりも女の生き様に心を揺さぶられる、作品のように想います。

2、『又蔵の火』

暗い宿命を背負った人物が、主人公となる5編からなる短編集です。

タイトルとなった「又蔵の火」は侍が主人公ですが、他の4作は渡世人の世界が描かれています。

いずれの物語も微妙に揺れ動く人生の振幅から、宿業というべき振り子に揺られて、社会の裏側に身を置かざるをえなくなった人物たちを描いていて、絶望的に悲しい話ばかりなのです。

困難な状況から、目を背けさえすれば、楽にやり過ごせるのに、そうはしなかったのです。

博打が身を亡ぼすのは世の常であり、そんな事、百も承知ながら、そこに落ちていってしまうのは、人の弱さと哀れなのでしょうか。

ここがポイント

藤沢氏は敢えて、それを主題にして、人の世の哀れを展開しているのです。

破滅的なハードボイルドのような作品です。

3、『用心棒日月抄』

用心棒日月抄シリーズの第一弾であり、政争に巻き込まれて、脱藩せざるを得なかった青江又八郎が、江戸で用心棒稼業をしながら、様々な人々に関わる10編からなる連作短編集です。

忠臣蔵と程よい距離で絡んでいて、血生臭い場面も多いのですが、それを凌ぐ江戸の暮らしのしたたかさの様なものが、全編を流れています。

主人公の請け負う仕事は用心棒と言っても、相手が犬だったりと、それでも、日々生活するためにと割り切っているのです。

そして知らず知らずのうちに大きな事件に巻きこまれていくのですが、最後まで自分の考えをしっかり持ってやり切るところが潔く描かれています。

ここがポイント

歴史的な出来事が、素晴らしいバランスで絡んでいる作品です。

4、『凶刃 用心棒日月抄』

用心棒日月抄シリーズの第四弾であり、前作から16年後、再び密命を帯びて江戸へ赴く又八郎の話です。

今回は脱藩ではなく、正式な出府なので、以前のような用心棒稼業に苦労することもないのです。

登場人物も年を取り、主人公の又八郎も40代半ば、相棒であった浪人も身を持ち崩し、口入屋も亡くなるなど、寂しさが迫りきます。

ここがポイント

全編を通して、物悲しさが漂い、前作までのユーモア色は影を潜め、長き物語は終焉へと進んでいきます。

読み手をはかない余韻に浸らせてしまう作品です。

5、『風の果て 上・下』

出世の階段を駆け上がり、主席家老に登り詰めた桑山又左衛門の元に、かっての道場仲間から果たし状が届く話です。

果たし状の理由が分からぬまま、果たし状に書かれている刻限が近づき、桑山は自身の過去を回想していきます。

青春期を同じ剣術道場で過ごした武家の仲間5人は、家督を継いだ者から婿入りした者、陰扶持をえるものなど、さまざまな道を歩んでいたのです。

果たし状を突き付けてきたかっての仲間は、栄華を極めた又左衛門のことを妬んでいるのかと考えていたのですが、ある時、ある人間の陰謀ではないかと思い至るのです。

ここがポイント

まさに藤沢作品の神髄が満喫できる作品です。

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6、『蝉しぐれ』

少年から青年になろうとする、主人公の牧文四郎が海坂藩という小藩の中で、自己を確立していく話です。

幼馴染であった少女ふくが、藩主に仕え、二人は別々の人生を歩いていくのですが、藩主の子をめぐる抗争の中で再会し、つかの間の逢瀬で、かってのお互いの想いを伝え合うのです。

大いなる運命の流れの果てに、自分の意志で人生を選べなかった二人の逢瀬があって、ほっとしてしまいます。

ここがポイント

登場人物の真摯な生き方に魅かれてしまい、研ぎ澄まされた文章にも淀みがなく、楽しむことができます。

時代小説の面白さが凝縮された、すばらしい作品です。

7、『たそがれ清兵衛』

普段見栄えのしない人物が、いざという時にスーパーヒーローに変身して、颯爽とした活躍を見せる8編からなる連作短編集です。

いずれの主人公も不名誉なあだ名を付けられていますが、剣の腕は一流なのです。

侮られている日常から一変して、事が起これば、鮮やかに力量を発揮する姿は,、読んでいて爽快な気分になります。

人の命を奪うのだから、暗いはずなのに、からっと明るく、清々しささえあります。

そして自らの役目を果たすと、男たちは、またいつもの冴えない日常に戻っていくのです。

ここがポイント

そんな物事の本質を見極める潔さが、味わえる作品です。

8、『麦屋町昼下がり』

決闘をテーマとした藤沢文学の神髄が味わえる、4編からなる短編集です。

かって剣術を極めた人間が、日常にうらぶれ、騒動に巻き込まれていく姿が描かれています。

ここがポイント

余分なものが一切ない削ぎ落された端的な文章で、きりっと引き締まった緊張感と、ゆったりとした時の流れを同時に感じます。

武家社会の何もかも決められた枠組みの中での日常や、人の在り方、常に命のやり取りをする厳しさと共に、その中で生きる人々の心の揺れが伝わってきます。

余韻の中で、いろいろなことを想像させてくれる作品です。

9、『秘太刀馬の骨』

巧みなプロットで最後まで飽きることのない7編からなる連作短編集です。

秘剣「馬の骨」を伝承されたのは誰なのか、テンポ良く展開されるまさにミステリーです。

かっての家老暗殺に使われた秘太刀の使い手を、実際に試合をしながら探し出していく展開になります。

ここがポイント

ミステリー要素と剣術の凄味、そして藤沢氏ならではの人物描写が絡み合っていきます。

他流試合を断る相手の弱みを、狡猾に探し出す厭味な上役の甥と、精神的な病の妻を持つ主人公である半十郎が、いい味を出しています。

緊張感をはらんだ展開ですが、ラストに安堵感が味わえる作品です。

10、『夜消える』

市井に生きる男女の哀歌と、人情の機微を描いた7編からなる連作短編集です。

ここがポイント

日常を切り取った、ちょっとした心の機微や思いをサラッと描いていて、短い文章の中で現在も変わらない人間の真理を垣間見ることができます。

江戸の街に溶け込みながら、誰かの生活を覗き見たり、自分を主人公に置き換えて、心の痛みを一緒に受けたりと、江戸の空気をじかに感じながら、様々な人生に触れた気分にしてくれます。

文字を通して、その時代に生きた人たちやその暮らし、情景が窺い知れる作品です。

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まとめ

藤沢周平氏の作品のご紹介はお楽しみいただけましたでしょうか。

映画化やテレビドラマ化されたものもたくさんあり、ご存知のものがあったかもしれません。

まだ読んでいない作品がありましたら、是非この機会に読んでみてください。

映像とは違った楽しさが、きっと味わえますよ。

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