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小野寺史宜おすすめ作品8選をご紹介~人のありようを描く~

法政大学文学部、英文学科卒後業後、会社員生活を経て、執筆活動に専念していきます。

2006年にサッカーをテーマにした青春短編小説「裏へ走り蹴り込め」で、第86回オール讀物新人賞を受賞し、2008年には、「ROCKER」で、第3回のポプラ社小説大賞優秀賞を受賞し、同作で単行本デビューを果します。

2012年に1作目が、刊行された「みつばの郵便屋さん」は、郵便配達員が届ける手紙がきっかけとなって、物語が展開していくプロットが人気で、シリーズ化されています。

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小野寺史宜おすすめ作品8選をご紹介~人のありようを描く~

2019年には、「ひと」が、第16回本屋大賞で第2位にランクインされ、2022年には同作で、第3回宮崎本大賞を受賞しています。

それぞれの作品で、舞台となる背景は異なりますが、いずれも人と人との心のつながりに、スポットをあてた作品を得意にしています。

そんな小野寺史宜氏のおすすめの作品8選をご紹介させていただきますので、お楽しみください。

1、『みつばの郵便屋さん』

大きな事件はありませんが、町の少しの変化や、人とのふれあい、出逢いなどを郵便屋さん目線で描いた話です。

何気なく過ぎ去る毎日の中で、小説に出てくるような出来事は、そうは起こらないと思います。

だから小説なんだと言えばそれまでですが、そんな毎日でも、心の揺れは大小あって、それに結構悩まされることもあるのです。

起きてしまったことは、しょうがない、受け入れるしかない、しかしどう受け入れるのかはその人次第であり、主人公の平本秋宏は郵便局配達員で、淡々と肩肘張らず、謙虚にそして自分の仕事に忠実であろうとしているのです。

配達先の人々とのやり取りや、ふれあいは、今や現実離れしていると思われるほど濃密であり、ほのぼのとしているのです。

ここがポイント

現実にはあり得ないからこそ、読んでいて優しい気持ちになれる作品です。

2、『近いはずの人』

事故で妻を亡くした夫が、遺品の携帯電話のロックを外し、中のメールを見たことが切っ掛けで、他人との関わりを知ってしまう話です。

友達と旅行に行くと出かけた妻の絵美が、事故で急死するのですが、同行したはずの友達はおらず、その日の詳細は不明のままで、手がかりを掴むべく、夫の俊英が遺された携帯電話のパスワードの解除を試みるのです。

ロックが解除された時、俊英が目にしたのは、事故当日、男との逢引のやり取りをしているメールであり、妻の知らない一面を知り、妻の姉や友人に会い、その足跡を辿って行くのです。

血の繋がりのない夫婦は、まさに近いはずの人であり、だから、言わなくても分かってくれるはずと思ってしまうのです。

ここがポイント

そうじゃなくて、夫婦だからこそ、言わなきゃ分からないこともあるのです。

夫婦とはなにかを、突き詰められたような作品です。

3、『ひと』

父親を交通事故で亡くし、その数年後に母親も病気で突然亡くした主人公の聖輔が、大学も辞め一人きりになってしまうのですが、商店街のメンチカツを食べることで、少しずつ、人と繋がっていき、自分の歩む道を決めていく話です。

若くして両親を失った聖輔は、大学を中退せざるを得ず、食べていくのがやっとという状況の中、ふとしたきっかけで、メンチカツを値引きしてくれた総菜屋さんで働くこととなるのです。

ここがポイント

聖輔の周りの人たちの温かさには、胸にジンとくるものがあり、また聖輔が優しくて、気遣いのできる人間だから、自然とそういう人たちと巡り合えることができたのだと、思ってしまいます。

お金のない若者目線の東京は、それでも意外に悪くない場所なんだと感じてしまいます。

真摯に人と向き合うことの大切さを教えてくれる作品です。

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4、『まち』

田舎の村で、祖父と二人暮らししていた主人公の瞬一が、東京の川を感じられる街に住み、隣人やバイト先の人たちと交流していき、東京に馴染んで暮らしていく話です。

不幸な火災で両親とも早々になくしてしまい、歩荷である祖父に育てられた主人公の瞬一は、真直ぐで純粋な性格の持ち主として、すくすく育ちました。

自分の周囲の人たちを大切にし、人も守れる人になりなさいという祖父の教えを胸に刻み、他人を思い遣って行動することで、周りの人々をも前向きに変えていったのです。

周りの人たちに誠実に接しているからこそ、様々な縁や、繋がりが生まれてくるのです。

ここがポイント

人に喜んでもらおうという、見返りを求めての行動ではなく、その人の為になるのならと、苦労を惜しまない瞬一が本当に素敵なのです。

しみじみとした人間ドラマが描かれている作品です。

歩荷(ぼっか):山で荷物を担いで運ぶのを仕事にしている人のこと。

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5、『ライフ』

学生時代からのアパートに住み続けて、近くのコンビニでバイト生活をしている27歳の井川幹太の日常を綴った話です。

「ほどほどに生きられたらいい」と大抵の人が思っている、人生のテーマを象徴しているかのように思います。

主人公の幹太は今ある人生を淡々と過ごしていく中で、隣人や同僚、元クラスメイト、近くに住む高校生、元一緒にいた友人、家族など、全ての縁が、見えていないところの縁までもが、結果人生の一部になると思わせてくれます。

じわりじわりと最後に押し寄せてくる感動と、面白さと会話のテンポが、心地良すぎます。

ここがポイント

普通に生活していたなら、絶対に出会わないような人たちと、関わりを持つことで、世の中は本当に生きやすく、寛容になるのではという希望を感じてしまう作品です。

6、『とにもかくにもごはん』

子ども食堂を舞台に、現代社会の生きづらさと、希望を描いた10編からなる連作短編集です。

夫に先立たれ、ふとしたきっかけで、子ども食堂を始める波子さんと、ボランティアとそこに来る親、ご近所さんの姿が描かれています。

其々の時間で問題を抱えた登場人物の一人語りで、物語が展開していきます。

ここがポイント

就活のためのボランティアを始めた今どきの大学生や、運営費をどうするかなど、現実感もほどほどにあるところが、物語にリアリティ感を与えています。

軽くてうまく繋がりすぎる面もあるように思いますが、最後にはホッコリしてしまういい話なのです。

たかがごはん、されどごはんという作品です。

7、『奇跡集』

同じ電車の同じ車両にたまたま乗り合わせた人たちの話を綴った、7編からなる連作短編集です。

朝の満員電車の中で行きかう様々な人間模様が、描かれています。

流れていく日常の誰かにとっての何かが、変わりそうなきっかけとなる朝だったのです。

ここがポイント

奇跡=偶然で片づけてしまうのは野暮というものであり、描かれるその眼差しは、どれも優しくて、人の数だけ違う人生があるのだなあとしみじみ思ってしまいます。

もしかして、知らないうちに自分もこの作品に登場していたりして、、、、、。

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8、『タクジョ!』

大学卒業後、タクシー会社に就職し、タクシードライバーとして活躍する高間夏子の話です。

全体の3パーセントもいないという女性タクシードライバー、いわゆるタクジョの中でも、新卒の新入社員というのは、更に珍しい存在なのです。

何も就活に失敗して仕方なくという訳などでは全くなく、車の運転が好きで、自らタクシードライバーになった夏子なので、この仕事をとても気に入っているのです。

お客さんとのやり取り、職場の同僚、母親、両親の離婚で久しく会っていない父親との関係、そして恋愛模様も描かれています。

ここがポイント

大きな起伏・事件などには縁遠く、緩やかに日常が流れていく感じを読者に飽きさせず、上手く楽しめるように表現している作品です。

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まとめ

小野寺史宜氏の作品のご紹介は、お楽しみいただけましたでしょうか。

人と人との繋がりというものを、感じ取っていただけると思います。

まだ読んでいない作品が、ありましたら、この機会に是非読んでみてください。

読書の楽しみが広がりますよ。

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