忘れかけていた、恐怖が味わえる、櫛木理宇氏のおすすめの作品10選をご紹介させていただきます。
大学卒業後、アパレルメーカー、建設会社などの勤務を経て、執筆活動を開始し、2012年「ホーンテッド・キャンパス」という作品で、第19回日本ホラー小説大賞の読者賞を受賞し、小説家デビューを果します。
また、同年「赤と白」という作品で第25回小説スバル新人賞も受賞しています。
【下書き】櫛木理宇おすすめ作品10選をご紹介~枠にとらわれない描写~
櫛木氏は38歳の誕生日を目前にして、「人生の折り返しが始まるというのに、今のままでは年を取って、自分の人生を振り返った時、何も思い出すことがないのではないか」と思ったそうです。
そして一念発起して、様々なエンターテインメント小説を書き始めたそうです。
さらに、デビュー作をホラー的要素の入った、青春小説に仕立て上げ、見事、読者の共感を得たのです。
そんな櫛木理宇氏のおすすめの作品10選をご紹介いたしますので、どうぞお楽しみ下さい。
1、《ホーンテッド・キャンパス》
ホーンテッド・キャンパスシリーズの第一弾であり、大学のオカルト研究会(通称:オカ研)に持ち込まれる、事件を解決していく話が5編詰まった連作短編集です。
霊が見えてしまう体質の八神森司が主人公であり、オカ研に持ち込まれる様々な事件に挑んでいきます。
ここがポイント
ライトなホラーミステリーなので、怖いのが苦手な方でも、読みやすくなっています。
コメディ要素も多分にあり、読みやすい作品です。
2、《赤と白》
雪国で暮らす、家庭環境に問題がある少女たちの話です。
それぞれが抱える、苦痛や過去が、じんわりとした閉塞感を伴いながら、彼女達の精神を歪めていきます。
そして少女たちに明るい兆しが、全く見えないまま、破滅へと向かっていってしまうのです。
誰も助けてくれず、未来に夢も希望もないのでしょうか。
ここがポイント
リアリティ感タップリの描写と、少女たちの心情が伝わってくる切ない作品です。
3、《避雷針の夏》
閉鎖的な田舎町を舞台にして描かれる、執拗で排他的で村八分まである話です。
その田舎町に家族の生活をやり直そうと、冷え切った都会の生活から、逃げるように越してきた家族の様子が描かれています。
時代錯誤も甚だしい閉鎖的な住民たちによる、町ぐるみのいじめで、町内が殺気立っていきます。
ここがポイント
読み終えたあと、タイトルの意味がシックリとわかる作品です。
4、《ドリームダスト・モンスターズ》
夢見屋シリーズの第一弾であり、悪夢に悩まされている女子高生の晶水が、他人の夢に入り込むことができる同級生の壱によって、過去のトラウマや問題を解決してもらう話です。
一つひとつの話が深く掘り下げられていて、最初の事件でトラウマから解放され、少し前向きになった晶水が、壱と関わっていくうちに元気になっていきます。
ここがポイント
日常系ホラーでありながら、そこへうまく、高校生の初々しい恋愛も絡んでいて楽しめます。
オカルト青春ミステリー作品です。
5、《寄居虫女》
他人の家に入り込み寄生する、白塗り厚化粧の不気味な女の話です。
実際あった事件がモデルになっていて、寂しくて満たされない人たちの心の隙間に入り込む、寄居虫(ヤドカリ)女。
長年一緒に暮らしていた家族は、お互い空気みたいな存在になってしまい、家族を洗脳し、崩壊させていくのです。
果たして一度不信感を持って綻んでしまった家族は、元に戻ることが、できるのでしょうか。
ここがポイント
洗脳の恐ろしさが、痛感できる作品です。
6、《FEED》
社会から弾き出された人間ばかりが住むシェハウスで、友達になった二人の少女の話です。
親の束縛から逃れて、自由を手に入れたいと願う少女たちに、狡猾な悪意が忍び寄ってきます。
転落の淵に立たされた二人の少女の運命を分かつものは、何だったのでしょうか。
ここがポイント
徐々に分かれていく、明暗が交互に描かれていることで、残酷さが執拗に炙り出されてきます。
当たり前に思える日常が一番、幸せなのかもしれません。
7、《世界が赫に染まる日に》
従兄妹を蹂躙した中学生への復讐を企てる、少年二人の話です。
少年法に守られ、司法で裁けない人間を、主人公の少年二人が暴力的に裁いていくのです。
人生を変えられた者たちに捧ぐ圧倒的な暴力は、次第にエスカレートしていき、二人の少年に嗜虐心が芽生えていきます。
ここがポイント
正義を盾にした暴力は何となく、快感を覚えてしまいますが、とはいえ、犯罪は誰も幸せにしないし、そこからは何も生まれないのです。
8、《死刑にいたる病》
連続殺人鬼の榛村大和(はいむらやまと)から、筧井雅也(かけいまさや)に届いた一通の手紙から物語は始まります。
息をするように嘘を吐き、人間を弄び殺していく、そんな死刑が確定的な連続殺人鬼に、雅也は翻弄されていきます。
ここがポイント
読んでいるうちにジワジワと浸食されていき、怖さが地の底から這いあがってくるような感覚になってしまいます。
怖れながらも、何故だか惹かれてしまう作品です。
9、《瑕死物件 209号室のアオイ》
心の隙間にすっと入ってくるような恐怖を集めた、5編からなる連作短編集です。
住んではいけない物件に、住んだことから始まる不幸の連続。
瀟洒なマンション「サンクレール」で次々に起きる、事件や事故、そしてそれらには209号室に住む葵という少年が関わっていたのです。
全体的に静かで穏やかな展開なのですが、そこはかとない不気味さが漂っていて、何とも異様な感覚に陥ってしまいます。
ここがポイント
あなたの家にも、葵が来たらどうしますか。
10、《鵜頭川村事件》
大雨の為、周囲から孤立した山村で発生した、殺人をきっかけに起きる暴動や反乱の話です。
亡き妻の墓参りに来ただけの父と娘は、その古い価値観に縛られたクローズドサークル化された村を脱出できるのでしょうか。
旧態依然の家父長制と地主制度の主従関係、はばをきかせていた場所、そして抑圧されてきた人達のタガが外れた憎悪と暴力が凄まじく描かれています。
ここがポイント
迫りくる狂気に、ぞわっとくる作品です。
まとめ
櫛木理宇氏の作品のご紹介はお楽しみ頂けましたでしょうか。
ホラーイヤミスのように感じていただけと思います。
まだ読んでいない作品がありましたら、是非この機会に読んでみてください。