記事内に広告が含まれています。

おすすめ推理小説 アンソロジー ファンタジー 時代小説 短編ミステリー

伊吹亜門おすすめ作品5選をご紹介~大胆不敵な描写で魅了する~

和傘の美

人物造形を魅力的に描く、伊吹亜門氏のおすすめの作品5選をご紹介させていただきます。

大学在学中はミステリー研究会に所属し、2015年に「監獄舎の殺人」という作品で、第12回ミステリーシリーズ!新人賞を最年少で受賞し、作家デビューを果します。

同作は明治期という時代背景を活かしたミステリーの意匠と、鮮烈極まりない幕末の激動期が余韻を残した作品であり、日本推理作家協会ならびに本格ミステリ作家クラブの年刊アンソロジーにも選ばれています。

スポンサーリンク

伊吹亜門おすすめ作品5選をご紹介~大胆不敵な描写で魅了する~

この作品は新人のデビュー作としても破格の評価を受け、2018年には同作を連作化した「刀と傘 明治京洛推理帖」で初単行本デビューをし、翌年には第19回本格ミステリ大賞の小説部門を受賞しています。

この他の著作にも、「刀と傘」の前日譚となる「雨と拳銃」や「幻月と探偵」等の作品があります。

そんな気鋭の手腕が光る、伊吹亜門氏のおすすめの作品5選をご紹介させていただきますので、お楽しみ下さい。

1、『刀と傘(明治京洛推理帖)』

佐賀藩士であり、明治政府、初代司法卿の江藤新平と相棒の尾張藩士の鹿野師光が、殺人の下手人を推理する4作からなる連作短編集になります。

幕末から明治へと大きく時代が動いた、激動の時期を生きた侍たちの姿が、臨場感タップリに描かれています。

ある者は藩の為に己を殺し、ある者は己が信じることに全てを懸け、またある者は武士の矜持を成すために惡を成していたのです。

150年前まで存在していた武士たちが、今現在生きている自分たちと全く異なる価値観を持つというこの違和感、これこそが彼等の魅力であったろうと思います。

ここがポイント

伊吹氏は、江藤新平と鹿野師光という二人の男を通じて、そんな激動の時代に連れて行ってくれるのです。

各編とも動乱期に迷い、苦しむがゆえに罪を犯してしまう動機がよく考えられていて、時代ミステリとしては出色の作品です。

2、『雨と短銃』

「刀と傘」の前日譚であり、幕末動乱期の行方を決めた薩長同盟締結前夜に起きた長州藩士傷害事件を「刀と傘」でも活躍した鹿野師光が、坂本龍馬と一緒に推理していく話です。

テロが横行する京都にあって、西郷隆盛や土方歳三らも絡み、危険にさらされながらも、真相究明に奔走する鹿野の姿は、刑事さながらで、目が離せません。

政治的英雄の栄光の裏側には、彼らを盛り上げるために、巻き込まれて葬られた無名の戦士たちが、いたのです。

ここがポイント

何よりも幕末にありがちな人斬りをミステリとして扱い、さらに当時の政治情勢と絡ませている手腕は流石です。

時代の空気感とミステリが巧い具合に融合された作品です。

3、『幻月と探偵』

元陸軍中将の孫娘の婚約者の急死の原因究明を、官僚である岸信介から依頼された、私立探偵の月寒三四郎が徐々に満州の闇に切り込んでいく話です。

正式な依頼は婚約者の千代子から入り、探偵、月寒は先ず、千代子宅へ伺うことになります。

彼女の祖父は満州で絶大な権力を持つ、退役軍人であり、周りの人々も、きな臭さ満点の人間ばかりだったのです。

婚約者は毒殺されたと考えられるのですが、晩餐会での様子では、犯人を絞り込むことが出来なかったのです。

様々な人種の思惑が渦巻く満州の猥雑な雰囲気の中、あくまでも淡々と調査を行っていく月寒の姿がハードボイルチックで格好良く感じてしまいます。

ここがポイント

探偵、月寒がロジックを組み立てて、ミステリアスな事件を紐解いていく、クオリティの高い作品です。

4、『京都陰陽寮謎解き滅妖帖』

和風退魔ファンタジーと本格ミステリそして、学園青春小説が融合した物語です。

国家公務員である陰陽師が人知れず人倫を守護する世界で、陰陽師育成機関に通う候補生、狩埜師実が、妖や陰陽師の存在を以ってしても不可解な怪事件に立ち向かっていきます。

ここがポイント

育成機関や教師、周辺の関係者など、陰陽師の世界がきちんと作りこまれており、古都の闇に蠢く妖たちの描写にも迫力を感じてしまいます。

キャッチーなキャラと特殊な設定にも驚いてしまいますが、きちんと本格ミステリの筋は押さえているので、続編が楽しみになる作品です。

5、『監獄舎の殺人』

公募短編小説「ミステリーズ!新人賞」受賞作のアンソロジー第二弾であり、新鋭5人の出発点となった作品が綴られています。

全て傑作揃いであり、ホラー臭の強いものや、軽妙なもの、医療カンファレンスもあれば、胎児が探偵というSFチックなものまであります。

ここがポイント

それぞれの作品には、持ち味があり、捨てがたいのですが、中でも伊吹氏の表題作「監獄舎の殺人」は、明治初期という時代設定(その時代でないと成立しない)に必然性があり、さらに、最後の一捻りを加えることによって、かなり楽しませてくれます。

 

スポンサーリンク

まとめ

伊吹亜門氏の作品のご紹介は、お楽しみ頂けましたでしょうか。

まだ読んでいない作品がありましたら、是非この機会に読んでみて下さい。

新進気鋭作家の素晴らしさが堪能していただけると思います。

 

スポンサーリンク
スポンサーリンク

-おすすめ推理小説, アンソロジー, ファンタジー, 時代小説, 短編ミステリー

© 2024 サスペンスLIFE