とても温かくて、心がホッとする作品を描く、青山美智子氏のおすすめの作品10選をご紹介させていただきます。
大学卒業後、ワーキング・ホリデーでオーストラリアへ行き、1年間過ごし、その後ビジネスビザを取得し、シドニーの日系新聞社で2年間、記者として勤務します。
25歳の4月に帰国後、上京し、出版社で雑誌記者を経て、執筆活動に入ります。
青山美智子おすすめ10選をご紹介~書きたいことがあるから書く~
2003年に「ママにハンド・クラップ!」という作品で、第28回パレットノベル大賞の佳作を受賞します。
2007年には第1回ショートストーリーなごやで佳作入選した「街灯りの向こうに」が奥田瑛二、中村優子の主演で映画化されます。
そして2017年の8月に、単行本「木曜日にはココアを」という作品で小説家デビューを果し、同作品で、第1回宮崎本屋大賞を受賞します。
その後も2021年に「お探し物は図書室まで」、2022年「赤と青とエスキース」が2年連続して本屋大賞2位に選ばれています。
そんな青山美智子氏のおすすめの作品10選をご紹介させていただきますので、どうぞお楽しみ下さい。
1、『木曜日にはココアを』
東京の川沿いの桜並木の側にある、小さな喫茶店「マーブル・カフェ」のココアからはじまり、オーストラリアのシドニーにも繋がる12編の連作短編集です。
木曜日の午後3時を過ぎた頃、窓際の隅の席で、ホットココアを飲む女性と、雇われ店長の出会いから物語は始まります。
店長は彼女のことを心の中で「ココアさん」と呼び恋心を抱いていくのです。
その店のお客様には、初めて子供の為に、弁当を作るキャリアウーマン、幼稚園で働く新米先生、オレンジ色のサンドイッチ屋を開業した元銀行員等々登場人物が、リレー形式で繋がっていき、10編を挟んでマーブル・カフェに戻ってくるのです。
ここがポイント
悩んだ時も、苦しい時も、迷った時も、誰かの一言や優しさに救われ、元気付けられ、一歩を踏み出せ、最後まで悲しいことが起こらない、そんな作品です。
2、『猫のお告げは樹の下で』
ビルの谷間にひっそりと存在する小さな神社で、ハチワレの不思議な猫である「ミクジ」からお告げを受け取る7人の人々が織りなす、7つの連作短編集です。
ミクジのたった一言のメッセージが、直接その人の悩みを解決するわけではありませんが、そのメッセージを自分なりにどう受け止めるかを考えて、これまで放棄していたものの考え方や行動を取り戻していく人々に感動さえ覚えてしまいます。
自分は他人よりも劣っていると悲観的に考えたり、環境を言い訳にしていたのかも知れません。
ここがポイント
もしかしたら、自分の中の凝り固まった考え方を捨てるだけで、意外と悩みというものは、解決してしまうことなのかも知れません。
自分のことも重ね合わせて、心温まることができるそんな作品です。
3、『鎌倉うずまき案内所』
平成時代を6年毎に遡りながら、6人の悩める人が、気付きを得て、優しく強くなっていく「鎌倉うずまき案内所」の話です。
人は誰しも山あり、谷ありの人生の中で、自分を見失ってしまったり、諦めかけてしまったり、そんな時に好転するきっかけを与えてくれるのがこの案内所なのです。
何からはぐれてしまったのか、ふと気づかされてしまうのです。
ここがポイント
6つの話が少しずつ、繋がっている面白味もあって、どの話が面白いというよりも、読み終わると、自分も何とかなるのじゃないかと、不思議な気持ちに導いてくれるような気持ちになってしまいます。
世の中にはいろんなものが渦巻いていて、時代や心を動かしているのかもしれないと少し高揚した気分にもしてくれる作品です。
4、『ただいま神様当番』
毎朝、バス停で同じ時間に顔を合わせる5人、OL、小学生、高校生、大学の非常勤講師、零細企業の社長の前に神様が現れる5編からなる連作短編集です。
それぞれの人がこのバス停で、欲しかった落とし物を拾うことで、奇妙な体験が始まる、それが神様当番なのです。
神様と名乗る年老いたおじいさんの要求は、自分が今求めている想いそのものだったのです。
ここがポイント
最初はこの神様の強引な行動に振り回されますが、やがて自らの力でその想いを果そうと行動していくようになるのです。
現れた神様は、子どものように我儘に見えて、実はそっと背中を押してくれる存在だったのです。
どの話も小さな幸せを運んでくれるホッコリする作品です。
5、『お探し物は図書室まで』
年齢も性別も境遇も違う悩める5人が、コミュニティハウス内の図書室の司書さんに、本のセレクトと可愛い付録で後押しをしてもらう5編からなる短編集です。
いつになっても、どんな環境にあっても悩みは尽きることなく、襲ってくることがあるのです。
思い悩み、八方ふさがりに感じてしまうようなときに、ほんのちょっと視点を切り替えるだけで、悩みが解決の方向に進んでいくことだってあるのです。
ここがポイント
ここに登場する5人は、図書室で出会った本と、付録をきっかけに、視点を切り替えて、前へ進み始めていきます。
誰もが気づかないところに、前に進むチャンスがあるんだと、感じてしまいます。
明日をいきる勇気が貰える作品です。
6、『月曜日は抹茶カフェ』
「木曜日にはココアを」の続編であり、12編の短編が、作品のテーマである人との縁のように繋がっていく話が綴られています。
誰しも何かしらの壁にぶち当たっても、何かを切っ掛けにして成長していくものなのです。
ここに登場する人たちに共通するのは、「気付けること」であろうと思われます。
ここがポイント
慌ただしい生活や思考をしていては、知らず知らずの内に、流してしまうような小さな気付きを自分事として捉え、自分の問題解決へと思考転換する柔軟さが必要になってくる事が分かります。
児童書の大人版とも言える、いつのまにか忘れてしまった大切なことを思い出させてくれる作品です。
7、『赤と青とエスキース』
1枚の絵、「エスキース」と共に流れる年月と、関わる人々の話です。
物語の軸は、ある男女の二十歳の頃からほぼ10年おきに50代までの愛の軌跡が、描かれています。
好きであるという気持ちと、現実の生活との折り合いが、上手く付け合えないことがあることが良く分かります。
若き画家が描いたそのカップルの女性の肖像画である、「エスキース」が、二人の或いは、その絵に導かれた人々の人生に陰影を落としていたのかも知れません。
ここがポイント
人との繋がりは、その時限りではなく、もしかしたら人生のどこかで、思わぬ形で再会すのかもしれないのです。
未来の可能性を垣間見ることのできる作品です。
8、『いつもの木曜日』
「木曜日にはココアを」のスピンオフ的な作品であり、12編の短編が綴られています。
どの話もココアを飲んだ時のようなホッコリと温かくて、優しい気持ちにしてくれます。
そしてどの話にも、心に響く一文があり、急かされるように流れていく毎日の中で、忘れがちなことを思い出させてくれます。
ここがポイント
思いもよらない事態に立ち止まる時に必要なのは、柔軟であること、そして冷静であることなのだそうです。
生きるための素晴らしいヒントが貰える作品です。
9、『月の立つ林で』
日常に悩みを抱えている5人の主人公たちが、ポッドキャスト「ツキない話」を聞いて、生活していく中で、それぞれに変化が起きていく5編からなる連作短編集です。
人生うまくいかなくなって、誰かに責任転嫁したり、悩んで自分を見失って空回りしたり、負の連鎖が続き、なかなか立ちあがれなかったりと様々なことがあります。
物語のところどころに、身に覚えのあるヒリヒリした思いが、綴られていたりするものなのです。
人と人とは見えないところで繋がっていて、自分も見知らぬ誰かに元気づけられて救われ、そして自分も知らぬ間に誰かを助けているのかもしれないのです。
ここがポイント
自分がこの世に存在する価値は分らずとも、確かに意味があることを教えてくれるような作品です。
10、『マイプレゼント』
自分自身の内側に向けた素敵な言葉が散りばめられた、詩集のような4編です。
一つひとつの言葉を自分の中に蓄えておきたいような、そうすれば、それだけで内側から強くなれそうな気がしてしまいます。
ここがポイント
そして心強い武器になれそうなパワーを身に纏って、日々の暮らしを支えてくれるような気がします。
とても素敵な青い絵に、纏われた言葉は、心の落ち着きをもらえそうな作品です。
まとめ
青山美智子氏の作品のご紹介は、お楽しみ頂けましたでしょうか。
生きることに何かヒントを貰える素敵な言葉が堪能していただけると思います。
まだ読んでいない作品がありましたら、この機会に是非読んでみてください。