幻想的なミステリーを描く、初野晴氏のおすすめ作品10選をご紹介させていただきます。
2002年「水の時計」という作品で、第22回横溝正史ミステリー大賞を受賞して、作家デビューを果たします。
作家になる以前は営業職だったこもあり、自分の言葉で話すことを大切にしていて、それが執筆にも生かされているようです。
初野晴おすすめ10選をご紹介~ファンタジーとミステリーの融合~
小説を書くために購入した参考文献などは、三色ペンなどで書き込み、また重要な個所はマーキングしておくのだそうです。
執筆するときは、できるだけ長く椅子に座っているそうで、書けないときは、気分転換をしても無意味なので、結局パソコンの前で、じっとしているそうです。
そんな初野晴氏のおすすめ作品10選をご紹介させていただきますので、お楽しみください。
1、《水の時計》
「幸福の王子」という短編小説をモチーフにしていて、脳死状態の少女が、自分自身の臓器を必要とする人たちに、分け与えることを暴走族の少年に託す話です。
ここがポイント
ドナーの現状や社会の闇、ドナー不適合者には、厳しさをたたきつける社会構造の様子が理解できます。
臓器移植という重いテーマが6つの小節から構成されていて、大変分かりやすい展開で描かれています。
最後まで息を抜けない作品です。
2、《漆黒の王子》
暴力と悪意にまみれた世界と、幻想的な痛みの暗渠の世界の2つを描いた話です。
ここがポイント
関連不明な2つの世界が、様々な謎を振りまきながら、交互に物語を展開させていきます。
どちらの世界も混沌としていて、暗闇に覆われ、全く希望は感じられません。
まさしく幻想的ミステリー作品です。
3、《1/2の騎士》
アーチェリー部主将の女子高校生と、幽霊の男子高校生が異常犯罪者たちと闘う話です。
次々に現れる、4人の異常犯罪者から街を守り、彼らが成長していく姿が描かれています。
ここがポイント
社会の歪んだところをうまく表現していて、青春期の爽やかな世界観や非現実的なファンタジーも堪能できます。
ファンタジックなミステリー作品です。
4、《退出ゲーム》
ハルチカシリーズ第一弾であり、吹奏楽部に所属する、高校1年生のハルタとチカが活躍する4編からなる連作短編集です。
学園ミステリーであり、日常の謎を解いていくという、流れで物語は展開していきます。
ここがポイント
ほのぼのしているような感はありますが、人間の死や戦争といった、重く深いテーマもあり、考えさせられます。
映画化もされている、大変人気の作品です。
5、《初恋ソムリエ》
ハルチカシリーズ第二弾であり、高校2年生になったハルタとチカが関わる、思いがけない結末が用意された4編からなる連作短編集です。
ここがポイント
今回も、ほのぼのながら、引きこもりや、マイノリティなどの社会的問題が含まれていて、奥深い内容となっています。
しかし、登場人物の楽しいキャラクターのおかげで、楽しく爽快な気分にしてくれます。
学園ものが好きな人は、かなり楽しめる作品です。
6、《トワイライト博物館》
同じ施設で育った、脳死状態の妹のような女の子ナナを救うため、勇介と枇杷がタイムスリップして彼女を救う話です。
二人は残酷な魔女狩りが横行する、中世のイングランドへ旅立つのです。
ここがポイント
当時を生きた人物と、精神的に共存したナナを救う為に奔走します。
時空を超えた冒険ファンタジー作品です。
7、《千年ジュリエット》
ハルチカシリーズ第四弾であり、文化祭の準備で忙しい毎日を送っている、ハルタとチカの前に現れる謎の女の話が絡んだ、4編からなる連作短編集です。
文化祭一色に染まった内容で、今回も個性的な人物たちが登場して、場を盛り上げてくれます。
ここがポイント
突然起きる怪事件も涙と爆笑のうちに、解決されていくことで、快感に酔いしれてしまいます。
中毒性のあるシリーズ作品です。
8、《わたしのノーマジーン》
終末世界を孤独に生きる女性(シズカ)と、言葉を話す不思議なサル(ノーマジーン)の話です。
どちらも社会から隔絶した存在でありながら、お互いに大切な存在になっていく過程が描かれています。
ここがポイント
しかし、シズカとノーマジーンの間にはその先、悲しい運命が待ち受けていたのです。
切ない中にも、愛を感じる作品です。
9、《向こう側の遊園》
花々が咲き乱れる、廃園となった遊園地の中にある、謎めいた青年が守る動物霊園が舞台の5編からなる連作短編集です。
どの話も動物霊園を守る青年と、各主人公の掛け合いでストーリーは展開していきます。
ここがポイント
ストーリー自体はミステリーの要素を備えつつも、ファンタジックな雰囲気が漂っています。
しかし、テーマ自体は重く、生と死、人間とペット、それらの境界が揺らぐような感覚に陥ってしまう作品です。
10、《惑星カロン》
ハルチカシリーズ第五弾であり、喧噪の文化祭が終わったのも束の間、ハルタとチカに新たな難題が浮上しくる4編からなる連作短編集です。
チカの独特のキャラクターで明るくてコミカルな雰囲気が出ていますが、その内容はとてつもなく、ほろ苦く、切ないものなのです。
ここがポイント
吹奏楽部の活動にはあまり、変化はありませんが、草壁先生の謎が覗けたり、未来の後輩に出合えたりと、わずかな進展に出合うことができます。
次の展開がますます楽しみになる作品です。
まとめ
初野晴氏の作品のご紹介は、お楽しみ頂けましたでしょうか。
まだ読んでいない作品がありましたら、是非この機会に読んでみてください。
そして、ファンタジーとミステリーの世界に浸ってください。