面白いを追求する森博嗣氏のおすすめの作品10選をご紹介させていただきます。
国立大学の工学部助教授の傍ら、1996年に「すべてがFになる」という作品で、第1回メフィスト賞を受賞し、作家として衝撃的なデビューを果します。
そしてその後、発表したS&Mシリーズ(犀川&萌絵シリーズ)が、そのクールな文章や新鮮なキャラクター、独特のメンタリティで爆発的な支持を得ます。
森博嗣おすすめ作品10選をご紹介~発想を見極める目が重要~
以降、Vシリーズ(瀬在丸紅子シリーズ)、四季シリーズ、女王シリーズなど人気ミステリーを次々に発表しています。
しかも、森氏の作品はミステリーにとどまらず、SF、コメディ、絵本、詩集など数多くのジャンルで活動の場を広げています。
2004年には、初のファンブックである「森博嗣本」も発売されています。
そんな森博嗣氏のおすすめの作品10選をご紹介いたしますの、お楽しみください。
1、『すべてがFになる』
孤島にある研究所内で、隔離された生活を送る、工学博士の部屋から死体が見つかる話です。
殺されていたのは、天才工学博士の真賀田四季であり、しかし、その部屋は完全な密室状態であったはずなのに、謎は深まるばかりなのです。
そしてN大助教授の犀川創平と教え子の西之園萌絵が、その殺人の謎の解明に挑んでいきます。
ここがポイント
殺人の動機も常軌を逸していて、理解不可能であり、密室トリックも普通の感覚では成立しなく、ある意味、常識の通用しない状況ですが、何故かその世界観に魅了されてしまいます。
理系要素と娯楽系要素が上手く融合していて、エンタメ作品として楽しめる作品です。
2、『封印再度』
密室殺人と、壺の中に閉じ込めた鍵を取り出す方法の謎を解く話です。
香山家には家宝の「天地の瓢」と「無我の匣」があり、匣を開けるための鍵が、鍵よりも口が小さい壺の中にあるということが伝えられていたのです。
50年前に香山風采が、これらの家宝を残して、密室の中で、謎の死を遂げたのです。
そして家宝の謎が解けないまま、今度は息子の林水が、死体で発見されてしまうのです。
ここがポイント
整然と解決されてきた、これまでの事件とは異なり、真相は明かされるものの、動機や結末に謎を残しています。
犀川助教授と萌絵の関係も急展開を迎えて、ますます面白味が増してくるシリーズ作品です。
3、『今はもうない』
電話が不通になった嵐の夜に、山奥の別荘の娯楽室と試写室という隣り合わせの密室で、美人姉妹の死体が発見される話です。
密室殺人の真相を暴くべく数々の仮説が浮き上がるも、どれも崩れ去ってしまいます。
ここがポイント
密室のトリックの意外さ、作中作に仕掛けられた読者への罠、犀川助教授と萌絵の洗練されたやり取りに魅了されます。
ラストに向かってのあまりにも詩的な表現など、どれをとってもこれまでのシリーズ中の最高の作品と言えます。
4、『女王の百年密室-GOD SAVE THE QUEEN』
西暦2113年に取材旅行中に道に迷ったミチルとロイディの二人が、孤立し、独自の文化や風習を持った城塞都市のルナティック・シティにたどり着き、殺人事件に関わっていく話です。
ルナティック・シティは女王を中心にした街で、争いもなく、犯罪もなく、そして警察機構もない一見平和な街だったのです。
しかしそんな街でおきる殺人事件に、犯人を捜すミチルたちと、隠そうとする女王や王室の人たちがいたのです。
彼らは一体何を隠して、何を守ろうとしているのか。
ここがポイント
理系と未来とSFとミステリーが混在しているような物語であり、新感覚で楽しむことができます。
法や死や人間の尊厳について考えさせられる一方で、二転三転する展開に飽きることのない作品です。
5、『スカイ・クロラ』
キルドレと呼ばれる少年少女たちが、戦争の中、戦闘機乗りとして生きていく話です。
人々が争う理由も、彼らのまわりにあるであろう世界も、そして彼らが生きる意味さえも、全てが不明瞭なのです。
この作品の世界は、私たちの世界とはかけ離れているようでありながら、すぐそばにあるように感じてしまいます。
反対の世界でも、別の世界ではなく、海を越え、空を越えた先に彼らは今も生き続けているのです。
ここがポイント
全体的に荒廃観というか空虚感が漂っていて、なかなか他では味わえない不思議な読後感が残る作品です。
6、『黒猫の三角』
一年に一度、決まったルールの元で起きる殺人事件の話です。
瀬在丸紅子が登場するVシリーズの第一弾であり、紅子と麻雀仲間の保呂草、練無、紫子の計4人が協力して殺人事件の謎に挑んでいきます。
ここがポイント
一見して、ありふれた連続殺人事件で、犯人探しと動機、そしてトリックの解明かと思いきやその実、そうではなかったのです。
紅子を始めとする4人の特徴や言動はいずれも個性的であり、最初は人物把握に戸惑ってしまいますが、終始に賑やかな雰囲気で展開していきます。
次作の予告描写もあり、続きが気になる様な仕掛けが盛り込まれている作品です。
7、『恋恋蓮歩の演習』
豪華客船のヒミコ号内で、姿が消えた男性客と、船内で消えた天才画家の関根朔太の自画像を巡る話です。
ここがポイント
交錯する2つの事件、そしてロマンス等、事件の謎と同じ位に、登場人物たちの恋模様もスリリングな感じで楽しめます。
保呂草に対して危険な憧れを抱く紫子と、講演会で出会った年上の男性に想いを寄せる大笛梨枝、事件の顛末と彼や彼女たちの環境の変化、そして客船の豪華な雰囲気も相まってかなりのドキドキ感が味わえます。
なるほどと思わされるトリックが続き、ロマンチックな展開にも胸躍る作品です。
8、『赤緑黒白』
赤、緑、黒、白のペンキでそれぞれが塗装された4人の死体が発見されるという奇妙な連続殺人事件の話です。
猟奇的ともいえる殺人事件であり、4人の被害者の名前に因んだ色でペイントされているという異常な事件なのです。
容疑者はすぐに浮上するものの、証拠が不十分なため、捕まえられずにいるうちに、次々に事件が発生してしまいます。
ここがポイント
そしてメインの人たちの心の機微や矛盾する感情、曖昧さといった部分に、重点を置いているかのように展開していきます。
最後に回収される伏線に驚愕を隠せない作品です。
9、『四季 春』
「すべてがFになる」に登場する天才工学博士の真賀田四季の少女時代の話です。
圧倒的な記憶力と思考能力を持ち、6歳の時点で大学院生を助手として使い、対等に語り合う相手がいない彼女は、あまりにも孤独だったのです。
ここがポイント
それ故に、自分の中に別の人格を生み出し、その相手と会話をしていたのです。
あらゆる事象をインプットする四季は、プログラム作成中のコンピュータのようであり、他人をトレースして思考を読むことはできるけど、彼女の中の別人格でさえ、彼女を完全に理解できなかったのです。
要するに彼女は、天才過ぎる故の孤独だったのです。
森氏のイマジネーションを感じ取れる作品です。
10、『φは壊れたね』
密室状態の部屋で、背中に作り物の翼を付けられ、Yの字に吊るされていた死体の事件解明に挑む話です。
その密室では、遺体発見の一部始終が「φは壊れたね」というタイトルでビデオに記録されていたのです。
ここがポイント
果たして、その意図とは、そしてその死の真相とは一体何だったのでしょうか。
事件の謎解きの強引さは少しあるものの、森氏独特の雰囲気は相変わらずで、面白く楽しめます。
トリック自体には驚きは少ないですが、学生たちの会話などが魅力的な作品です。
まとめ
森博嗣氏の作品のご紹介はお楽しみ頂けましたでしょうか。
色々な発想で読者を楽しませてくれると思います。
まだ、読んでいない作品がありましたら、是非この機会に読んでみて下さい。
読書の楽しみがひろがりますよ。