心を揺さぶる、沼田まほかる氏のおすすめのイヤミス6作品をご紹介させていただきます。
作風はまさに「心の闇」に囚われた人間を描いていて、作品の中では犯罪を繰り返す人物の内なる声も聴くことができます。
心の闇は一部の犯罪者や異常者だけでなく、だれの内にも潜んでいるということを思い起こさせてくれます。
沼田まほかるおすすめ6作品をご紹介~心を揺さぶるイヤミスに陶酔~
先の読めない展開におののきながらも、ページをめくる手が止まらない、人間心理の奥底を表現する洞察力は凄いの一言につきます。
その結果、読者は沼田氏の罠にはまってしまい、脱け出れなくなってしまうのです。
そんな沼田まほかる氏のおすすめの6作品をご紹介させていただきますので、お楽しみください。
1、『九月が永遠に続けば』
佐知子の周りで次々に起こる不吉な出来事、高校生の一人息子の失踪、愛人の事故死、別れた夫の娘の自殺等。
本当に救いがなく、おぞましい出来事がこれでもかと続き、かなり重いストーリー展開になります。
ここがポイント
人間の心の暗部が丹念に生々しく描写してあり、まさしくサスペンスホラーなのです。
底なし沼に徐々に沈んでいくような、読後感になる作品です。
2、『彼女がその名を知らない鳥たち』
元彼の黒崎のことが忘れられなくて、寂しさから、下品で貧相で地位もお金もない陣治と暮らし始めている十和子の話です。
そして小さなきっかけで不倫をしてしまう十和子。
登場してくる人物がすべてクズのようなやつばかり。
読み続けるのが億劫に思えるくらいに嫌悪感が漂ってきます。
ここがポイント
憎んで、裏切られて、それでも同じような男に惹かれてしまう十和子の性に、とても共感してしまいます。
結末は、唖然としてしまいます。
3、『猫鳴り』
流産した哀しみの中にいる夫婦のもとに、現れた猫のモン、そしてそのモンの生涯と関わった人たちを描いた連作短編集です。
老いていく飼い主と猫との日々の暮らしは、ただただもの悲しく思いますが、幸福感に彩られているのです。
猫と人間が微妙な距離を保ちながらも、信頼し合っている姿が、余計に切なさを醸し出しています。
ここがポイント
今までの沼田氏の作品とは異なり、いやな気持になることなく、終始穏やかな気持ちになれる作品です。
4、『痺れる』
女性の底知れない怖さが宿っている、薄気味悪く怖い、9編からなる短編集です。
様々なバリエーションの話であり、短い時間に後味の悪さを味わいたい人には格好の作品です。
ここがポイント
ちょっとした日常の出来事のように見せかけて、そこに起こった非日常の感覚の描写が秀逸なのです。
本当にどの話も、タイトルと同じく痺れてしまいます。
5、『ユリゴコロ』
実家の押し入れで見つけた「ユリゴコロ」という名のノートは、罪の意識を持たないで、次々に人を殺めた手記だったのです。
ノートの秘密が明かされるところで、終焉を迎えるのではなく、話は更なる展開へと進んでいくのです。
ここがポイント
終わりかと思えばもう一つの話が始まり、やがてそれらは最後には繋がっていき、家族とか愛情とかいろいろな要素が絡みあっていくのです。
これぞイヤミスという、強い余韻を残す作品に間違いありません。
6、『アミダサマ』
産廃処理場で放置された冷蔵庫の中から、発見された裸の美少女、ミハル。
そしてその少女のミハルが基点となり、周囲の人々や景観が段々と変貌していくのです。
不思議な現象が積み重なっていき、全く想像ができない展開が連続して起こってしまうのです。
ここがポイント
思わす覗いてしまう、深淵のような作品です。
まとめ
沼田まほかる氏の作品で、イヤミスの醍醐味を味わって頂けましたでしょうか。
好きな人はもうすでに、まほかる中毒にかかっていますよね。
あなたが読んでいない作品があれば是非読んでみてください。
そしてあなたも、まほかる中毒になってください。