ミステリー小説を読む読者にとって事件がどのように展開して、解決に向かっていくのかが一番の興味となるところだと思います。
事件が難しくて難解なほど、次はどうなるのだろうとか、何故あの場面であんなことが起きてしまったのだろうとか思いは様々です。
主人公が戸惑うほど、読者は作品の内容に惹きつけられてしまいます。
食事をするのも忘れる程、夢中になって読んだ作品は、読者の方々の中にもあるのではないでしょうか。
【参考】浅見光彦シリーズの中で難解事件だと思う厳選3作品をご紹介
どうやっても、事件の真相に辿り着けない、糸口さえ見つけられない、過去に似通ったケースもない、どんな風に探っていっていいか分からない。
そんな『浅見光彦シリーズ』の中でも光彦が謎解きに苦労した三作品を、ご紹介させていただきたいと思います。
見方を変えれば見えてくるもの、場所を変えれば判明するもの・・・。
光彦の活躍にはらはら、ドキドキ感を持ちながらご紹介させていただきたいと思います。
その①『秋田殺人事件』
タイトルが地名+殺人事件なのも10作ぶりであり、これ以降は浅見光彦シリーズは、タイトルに『殺人事件』が付かなくなる作品になります。
秋田県副知事の私設秘書として普段のラフな格好とは違い、スーツにネクタイ姿で登場となる光彦。
欠陥住宅を巡る巨額の使途不明金問題等事件に挑んでいきます。
欠陥住宅といいますと、当時世間を騒がした姉○建築士による手抜き工事が発覚し新聞やテレビを賑わしていました。
その後日本各地では、建物の補強工事が数多くあったことを覚えています。
珍しく今回の作品は賢兄の警察庁刑事局長、浅見陽一郎からの依頼であり、堂々と胸を張って事件に関わっていけるのです。
ここがポイント
キーワードは〔警告、秋田には魔物が棲んでいる。〕という手紙でであり、魔物探しに東奔西走していきます。
作品の内容に深く触れますとネタバレになってしまう恐れがありますので、この辺でやめておきます。
過去にこの作品を読んだ方も、また、これから読もうと思っている方も事件のからくりを模索しながら読んでみると、解明できるかもしれません。
是非、難事件に挑戦してみて下さい。
その②『坊ちゃん殺人事件』
タイトルと同じく、浅見家の「坊ちゃん」である光彦が活躍する話です。
作品の紹介ではこの『坊ちゃん殺人事件』を読む前に、夏目漱石の『坊ちゃん』を読むとさらに、面白さが倍増すると書かれています。
遠い昔、学生時代の感想文などで書くために読んだくらいで作品の内容など、すっかり忘れてしまった方のほうが多いと思います。
ただ『坊ちゃん』に出てくる登場人物のニックネームをうっすら覚えていれば十分楽しめる作品だと思います。
事件が2転3転する展開で、ほとんど登場人物がニックネームで書かれているので、少々戸惑ってしまいます。
「あれっ、これって、誰だったかな」と前に戻って確認する必要があるかもしれませんが、浅見光彦自身が記した危険な事件簿!と銘打ってあるだけあって、実に読み応えがあり楽しめます。
いままでの○○殺人事件とは違った意味合いで読むことができると思います。
ここがポイント
内田康夫氏には珍しい遊びゴコロがある作品です。
その③『歌枕殺人事件』
浅見家の正月恒例行事のカルタ(百人一首)大会で、光彦と決勝戦で対決した、東京都カルタ大会の女王、朝倉千恵の父親が3年前に殺害された未解決事件の調査からはじまる作品です。
タイトルの歌枕の意味はご存知の読者の方もいると思いますが、敢えて解説させていただきますと、
1 和歌に多く詠み込まれる名所・旧跡。
2 和歌に詠み込まれる特殊な語や句。名所・枕詞・序詞など。
3 歌を詠むのに典拠とすべき枕詞・名所などを記した書物。「能因歌枕」など。引用:コトバンクより
ここがポイント
この作品の特徴は光彦が事件を解明する前に2回も投げ出そうとしたことと、いつもヒロインから慕われる光彦がヒロインとその相手の男性に嫉妬するところです。
キーワドは歌枕の「末の松山」です。日本三景の厳島、天橋立と並ぶ一つとして松島を訪れて、『歌枕殺人事件』の現場を巡って名探偵の気分を味わってみてもいいかもしれませんね。
まとめ
日本警察の長い歴史の中には未解決事件が多数あります。
中でも30年以上も前に発生した三億円事件、グリコ森永事件そして最近と言っても10数年前になりますが、世田谷一家殺人事件など多数の未解決事件があります。
警察の地道な捜査、マスコミ各社の情報提供などの呼びかけにも関わらず未解決のままです。
ミステリーの世界でも難解事件はありますが、必ず何かしらの解決に導いてくれます。
難解な事件の作品をあなたの推理で、解決に導きながら読んでみてはいかがでしょうか。