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宮内悠介おすすめ8選をご紹介~理知的で繊細な世界観を描く~

SFからミステリー、純文学でも話題の宮内悠介氏のおすすめの作品8選をご紹介させていただきます。

1979年、東京生まれで1992年までニューヨークに在住(父親の仕事の関係?)していました。

帰国後、大学を卒業しインド、アフガニスタンを放浪し、麻雀プロ試験受験などを経てプログラマーの道に進みます。

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宮内悠介おすすめ8選をご紹介~理知的で繊細な世界観を描く~

その一方で、大学時代のミステリクラブのOBで構成する創作同人誌「清龍」に参加し創作活動を続けていきます。

2010年に囲碁を題材とした「盤上の夜」という作品で、第1回創元SF短編賞で選考委員特別賞(山田正紀賞)を受賞します。

各種盤上ゲームを題材とした、短編を連作として書き継ぎ、2012年に連作短編集「盤上の夜」を発表し単行本デビューを果します。

また宮内氏の作品は史上初の芥川賞、直木賞、三島賞、山本賞の全てに挙がっています。

そんな宮内悠介氏のおすすめの作品8選をご紹介いたしますのでお楽しみください。

1、『盤上の夜』

囲碁や将棋、麻雀といった盤上遊戯をめぐる6編からなる短編集です。

勝利に必要なのは統計を基にした、緻密な戦略なのか、はたまた、運か、意志なのか。

それぞれのボードゲームの奥深さが分かり易く描かれていて、登場人物達の言動も規格外で面白く、ルールを知らなくても物語に引き込まれてしまいます。

ここがポイント

また狂気すら孕んだキャラクター達の凄烈な生き様が濃厚に描かれ、最終的に皆、盤上の向こうに、人非ざる何かを見出していく様は圧巻です。

細かいことは良く分からなくても、引き込まれる、素晴らしい作品です。

2、『ヨハネスブルグの天使たち』

DX9という美少女ロボットを主軸に据え、民俗やテロの問題を近未来の世界で描いた5編からなる連作短編集です。

膨大な参考文献から紡ぎだされる文章は、まるで見て来たかのようにリアルで、現地のジリジリとした空気や、そこで暮らす人々のやり場のない感情が伝わってきます。

テロや民族紛争といった重いテーマに必ず登場する美少女ロボット、生々しい現実と美少女というモチーフが、心地よいコントラストを生んでいて、映像的にとても楽しめます。

ここがポイント

読みながら自分の内面や思想を覗きこまれるような、感覚に陥ってします、超おすすめの作品です。

3、『エクソダス症候群』

地球を追われた青年精神科医師が、火星唯一のカバラの生命の樹を模した配置で建てられている、精神病院に赴任する話です。

高度な医療が発展したにもかかわらず、自殺者が増えている地球から精神科医のカズキは追われるように、生まれ故郷の火星に帰ってきたのです。

そして唯一の精神病院に勤務することになるのですが、ここはかってカズキの父が医者をしていたところであり、昔の事件を調べる目的もあったのです。

ここがポイント

開拓中の火星の状態は幻想的且つ西部劇を思わせる不思議な雰囲気で、ミステリーとして展開しながら、精神医療史や精神治療のありようにも触れた盛りだくさんの楽しめる作品です。

4、『彼女がエスパーだったころ』

エスパーや疑似科学的事象を題材とした6編からなるSF連作短編集です。

超能力や宗教の絡んだ、事象の裏を暴く構成で、あるジャーナリズム目線で描かれています。

化学を超えた超常現象は人によって様々な捉え方ができ、どれが間違っていて、どれが正しいというわけでもなく、そこには各々の信仰や霊性が明らかになるのです。

化学は全知全能ではなく、科学的未知を解明しようとする時、既知と未知の間に橋を架けるものは個人のアイデアであり、そこには信仰が宿るのです。

ここがポイント

何かにすがらなくてはならない、人間の弱さを感じる作品です。

5、『カブールの園』

英語と日本語の狭間で生きる主人公や、その周りにいる人々が淡々と描かれている2編からなる中編集です。

幼少期のイジメ被害の記憶と、母娘関係の束縛されることに苦しむ日系三世の話と、姉をプロレス興行で、そして友人をドラッグが絡んだ殺人事件で失う少年の話です。

ここがポイント

マイノリティであることの辛さであったり、民俗性を売って生きることへの抵抗であったことが、繊細な文体で描かれています。

自分のアイデンティティまで揺らいでしまいそうになる作品です。

文藝春秋
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6、『あとは野となれ大和撫子』

架空の国である中央アジアの小国、アラルスタンで国を支えるために奮闘する少女たちの話です。

国家や信仰に翻弄され、生きてきた女性たちが、自分たちの最後の居場所を守るために、自国の危機に立ち向かっていきます。

内戦、紛争、難民、テロそして、資源争奪や環境破壊と扱うテーマは深刻で重いものの、難題に立ち向かう様は学芸会の如きのノリで楽しめます。

ここがポイント

荒唐無稽でご都合主義的な展開ながら、現地取材や文献資料に裏打ちされた細かな情景描写にリアリティがあり、土台となる設定も緻密です。

難しいテーマながらも気持ちよく読める作品です。

KADOKAWA
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7、『宮辻薬東宮』

何とも贅沢なメンバー(宮部みゆき氏、辻村深月氏、薬丸岳氏、東山彰良氏、宮内悠介氏)による5つのホラーアンソロジーで、「宮辻薬東宮」なのです。

前者の作家先生からバトンを受け取り、モチーフを繋いでいくという、趣旨で面白く描かれています。

全体的にホラーなテイストというのが共通していますが、軽めの怖さといった感じで、少しのゾワゾワ感があり、日常の中にある、異世界を感じてしまいます。

ここがポイント

ないはずのものが、あったり、あるはずのものがないのは、気のせいだけではないように感じてしまいます。

異次元に連れていかれるような作品です。

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8、『偶然の聖地』

カシミール地方にあると言われるイシュクト山を目指す4組のコンビを描いたSF群像劇です。

琵琶湖と他の海がつながっていたり、貨幣交換ではなく、タンパク質や炭水化物の栄養価を等価交換するあり得ないゲームのバグのような世界が描かれています。

ここがポイント

世界観とストーリーも面白いのですが、300以上に及ぶ大量の註を読むのが楽しい作品です。

宮内氏の幼少期の思い出や旅の経験から、SEあるあるまで、宮内氏が何を考えながら執筆したのかを考えながら読むと、とても楽しむことができます。

不思議な感覚が味わえる作品です。

講談社
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まとめ

宮内悠介氏の作品はお楽しみいただけましたでしょうか。

まだ読んでいない作品がありましたら、是非この機会に読んでみてください。

そして、宮内氏の特別な世界に浸ってみてください。

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