ファンタジー感タップリの仁木英之氏のおすすめ作品8選をご紹介させていただきます。
大学入学後、北京に留学し、2年間を中国で過ごしています。
2006年に「夕日の梨ー五代英雄伝」という作品で、第12回学研歴史群像大賞の最優秀賞を受賞します。
また、同年8月には「僕僕先生」という作品で、第18回日本ファンタジーノベル大賞の大賞を受賞し、同年11月21日に作家デビューを果します。
仁木英之おすすめ8選をご紹介~自分の魂を懸けて何かを残す~
仁木氏にとっての人生の分岐点は、小説家一本でやっていくかどうかを決めた時だそうです。
26歳で私塾を開いて、そこそこ普通に暮せるくらいには安定していた時期に小説を書き始め、塾を経営しながら、「僕僕先生」と「夕日の梨ー五代英雄伝」が賞をとったことで決断したそうです。
塾と小説家の二足のわらじをはいていたなら、また違う今の姿があったでしょうし、そう思うと三国志の中で英雄たちが辿ってきた道を及ばずながらも、歩んでいるのかなあと思うそうです。
そんな仁木英之氏のおすすめの作品を8選ご紹介いたしますので、お楽しみください。
1、『僕僕先生』
僕僕先生シリーズの第一弾であり、中国の唐の時代が舞台であり、美少女仙人の僕僕と今で言うところのニート青年、王弁の話です。
父親の財産をあてに、何をするでもなく毎日と過ごしていた王弁が、父親のある頼みを引き受けたことにより、美少女仙人の僕僕と出会うのです。
働くことや生きること、そして外の世界を殆ど知らなかった王弁が、僕僕との旅を通して、立派に成長していく姿は、時には未知の世界へ飛び込むことの大切さを教えてくれました。
ここがポイント
旅先で様々な神様や仙人に出逢い、歴史や神様についての分かり易い解説も魅力の一つです。
秀逸なファンタジー作品です。
2、『薄妃の恋 僕僕先生』
僕僕先生シリーズの第二弾であり、僕僕先生が5年ぶりに王弁の元に戻ってきて、また旅が始まってからの物語です。
久々の二人は最初どことなく、ぎこちないのですが、次第にいつものペースに戻っていきます。
6編からなる連作短編になっていて、相変わらず行く先々で、僕僕先生から無茶ぶりをされる王弁ですが、却って快感になっているように見受けられます。
ここがポイント
今回は史実の人物よりも妖怪変化が登場する妖怪小説的な要素が強くなっています。
旅の仲間も増えて、ますます今後の展開が気になる作品です。
3、『胡蝶の失くし物 僕僕先生』
僕僕先生シリーズの第三弾であり、ゆるゆると旅を続ける僕僕先生と王弁に怒涛の急展開が訪れる話です。
今回は暗殺者集団の胡蝶房に狙われたり、蚕壌が新たに加わったりと、またまた個性的な仲間が増えていきます。
暗殺者の劉欣の家族と仲間の間で揺れる思いと薄妃の失恋。
ここがポイント
守るべきものがあって、ぞれをどんなに一途に思っていても、現実は自分が思っているよりも非常で残酷で難しいのです。
僕僕先生と王弁の旅が、更に新たな方向に向かって進んでいくのが楽しみです。
4、『さびしい女神 僕僕先生』
僕僕先生シリーズの第四弾であり、旱(ひでり)の神である魃(ばつ)の為に王弁が古の神様に逢いに行く話です。
王弁が旱の女神、魃と国の人々を救う為に奮闘していき、凡人であるが、多くの人の心を掴む魅力も伝わってきます。
今回は僕僕先生の出番はあまりなく、王弁の奔走が目立っています。
実際に何かができるわけでもないのですが、強大な力を持っている古代からの神たちに魅入られる王弁は凄い人に思えてしまいます。
ここがポイント
誰もが畏怖し、封印しようとする旱魃の女神さえも受け入れようとする王弁はやはり只者ではないのです。
僕僕先生の過去も少しだけ明らかになり、益々目が離せなくなるシリーズです。
5、『先生の隠しごと 僕僕先生』
僕僕先生シリーズの第五弾であり、僕僕先生の遠い過去を振り返る、ちょっと切ない話です。
今回はまさかの僕僕先生が結婚したりという、僕僕先生と王弁たちの旅が終わりの危機を迎えるという展開です。
諸人の王と敬われるラクスの理想と国は確かに素晴らしいと思います。
でもやはり人間は自分の意志があって時に対立するからこそ、国ができて、平和を目指すものなのです。
今回は劉欣が色々と王弁の手助けをして、思いやりのある一面を見せています。
ここがポイント
僕僕先生が切ない過去に囚われ恋しく思うのは、仙人も人間も同じなのですね。
6、『黄泉坂案内人』
タクシードライバーになった元社長の磐田速人がこの世とあの世の境の入日村に迷い込む話です。
出逢った少女の彩葉に導かれ、村から抜け出す方法を捜しながら、この世に未練を持った者たちが成仏できるのを助ける仕事を始めていきます。
妖怪や神様と共存する入日村の描写は、とてもほのぼのとしていて、心が癒されます。
ここがポイント
いろんな「未練」を抱えた死者たちの未練を断ち切ってあげる仕事は一つひとつが心に沁みて、しみじみさせられます。
抱えきれないほどの未練を抱いて、黄泉の坂を上がり切ることができない人が、増えないことを祈ってしまう作品です。
7、『くるすの残光』
天草四郎の復活を果たすために行動する異能の切支丹たちと、それを阻もうとする幕府の忍者たちの戦いを描いた話です。
冒頭の島原の乱の落城間際の場面は臨場感あるれる描写でワクワクしてしまいます。
やはり天草四郎とファンタジックな設定は抜群です。
ここがポイント
忍法物と言えばやはり、奇想天外な術の掛け合いが見どころであり、本作品でも人間技とは到底思えない様々な技が登場して、なかなか楽しめます。
戦いばかりではなく、人情話も絡んだ味わいのある作品です。
8、『三舟、奔る!』
幕末の三舟と呼ばれた、山岡鉄舟・勝海舟・高橋泥舟の青春時代を描いた話です。
山岡鉄舟の臨終間際に見舞いに来た勝海舟と懐古話を始めることで物語は進んでいきます。
ここがポイント
三舟の出会いから話は始まり、剣や槍の修行、色街での自由奔放な欲望の数々、ほのかな恋心など、幕末が舞台の青春小説のような流れとなっています。
有名ところでは、清河八郎も登場して、怪人物ぶりを見せつけています。
幕末の志士のエネルギーには脱帽してしまう作品です。
まとめ
二木英之氏の作品はお楽しみいただけましたでしょうか。
中国にいた経験を生かした作品が多く、かなり調査したことが伺えます。
まだ読んでいない作品がありましたら、是非この機会に読んでみてください。
読書の楽しさを味わってください。