仕組まれた伏線が魅力の泡坂妻夫氏のおすすめの作品を10選をご紹介させていただきます。
東京、神田の生まれで、生家は「松葉屋」の屋号を持つ、紋章上絵師の家に生まれています。
定時制高校に通いながら、5年の会社勤めの後、家業を継ぐ傍ら、短編「DL2号機事件」という作品で、幻影城新人賞の佳作に入選して、1976年に43歳で作家デビューを果たします。
泡坂妻夫おすすめ作品8選をご紹介~あらゆる描写に伏線を仕込む~
作家活動と並行して家業の紋章上絵師の仕事も続け、その経験知識から、家紋についての本も執筆しています。
また、同じ幻影城出身の連城三紀彦氏と並び称さされる、短編ミステリの名手としても知られています。
2009年に75歳で他界するまでに、数々の名作を残し続けた、泡坂妻夫氏のおすすめの作品8選をご紹介いたしますのでどうぞお楽しみください。
1、『11枚のとらんぷ』
奇術ショウの間に起きた奇妙な殺人事件の話であり、それに関連して奇妙なトリック暴きを内容とする、11本の短編からなる作中作が挟まれている話です。
ここがポイント
作中作11枚のトランプの中に巧妙に隠された伏線があるのです。
騙される楽しさが存分に満喫でき、昭和の香りがする、奇術の不思議感にどっぷりと浸れるマジックとミステリをゆうごうさせた作品です。
2、『乱れからくり』
ことの発端は隕石落下事故から始まり、それから次から次へと起こる連続殺人の話です。
その背景に見え隠れする「からくり」を元警察官と元ボクサーのコンビで追っていきます。
古今東西のあらゆる、からくりの蘊蓄が余すところなく披露されています。
ここがポイント
探偵小説の面白さをたっぷりと堪能できる、名作中の名作です。
3、『湖底のまつり』
旅先の村で自分(紀子)の命を救ってくれた、晃二と一夜を共にするのですが、翌朝、晃二は姿を消していたのです。
そして晃二を探すために村人に訪ねると、なんと、晃二はひと月前に殺されていたのだと聞かされるのです。
ここがポイント
章を重ねるごとに、現実か幻か不思議な世界に物語は入り込んでいくのです。
4人の登場人物の視点で描かれていて、段々と全体像が朧気ながらも見えてきます。
最後にはきっちり、複数の伏線も回収され、意外な結末に驚かされる作品です。
4、『花嫁のさけび』
映画スターと結婚した、幸せ絶頂の新妻が、自殺を遂げた先妻の陰に振り回される話です。
かの名作「レベッカ」を想起させながら、実は思いっきりミスリードに走らせる、仕掛けが散りばめられています。
ここがポイント
仕掛のインパクトもかなり、凄いですが、それを隠すための舞台設定や展開が見事なのです。
やられた感が、次々に襲いかかってくる作品です。
5、『煙の殺意』
作風も内容もバラエティに富んだ8編からなる、珠玉の短編集です。
スリリングな展開があったり、絶妙な論理があったりと、読み応えのある話がタップリと詰まっています。
ここがポイント
人間の論理と、それに説得力をもたせる伏線の構成力が如何なく発揮されています。
翻弄されっぱなしの極上の作品です。
6、『死者の輪舞』
海方・小湊シリーズの第一弾であり、ある事件の犯人が次の事件の被害者となり、さらにそうした奇怪な事態が連鎖的に続いていく話です。
ここがポイント
リレー殺人をテーマにした事件であり、当然ながらその構成には一捻りも二捻りもあります。
派手な見せ場はありますが、伏線を張っていないかのように見せる泡坂氏の手腕に感服する作品です。
7、『しあわせの書ー迷探偵ヨギガンジーの心霊術』
ヨギ・ガンジーシリーズ第二弾であり、新興宗教の跡目争いに巻き込まれる、ガンジーたちの話です。
マジシャンとしても著名な泡坂氏にしか書けない類のミステリー構成になっています。
ここがポイント
トリックの切れ味が素晴らしく、書籍にこのようなトリックを仕掛けているとは、想像もつきません。
読者のあなたにとって、新体験の感覚が得られる作品です。
8、『鬼女の鱗』
泡坂氏初の時代物の7編からなる短編集です。
江戸の岡っ引き、宝引の辰が遭遇する、少し変わった事件の謎を解き明かしていきます。
ここがポイント
事件が起こり、解決して終わる話だけではなく、江戸に生きる人々の人情や男女の機微に触れる話も描かれています。
キラキラと輝く江戸の街並みが想像できる作品です。
まとめ
泡坂妻夫氏の作品のご紹介は、はお楽しみいただけましたでしょうか。
まだ、読んでいない作品がありましたら、是非この機会に読んでみてください。
読書の楽しみが広がりますよ。