独特の世界観で魅了する、麻耶雄嵩氏のおすすめ作品10選をご紹介させていただきます。
大学在学中、推理小説研究会に所属し、1991年「翼ある闇メルカトル鮎最後の事件」という作品で、作家デビューを果たします。
独特の世界観と手法的アプローチに強いこだわりをもった、クセのある作風で知られています。
この記事の目次
麻耶雄嵩おすすめ作品10選をご紹介~精緻な作りで読者を騙す~
長い間無冠の日々が続いていましたが、2011年に「隻眼の少女」で日本推理作家協会賞と本格ミステリ大賞をダブル受賞して人気作家の仲間入りを果たします。
摩耶氏の作品の特色としては、登場人物は何らかの原理やポリシーの元に存在し、不可解なキャラは書けないとのことです。
そんな麻耶雄嵩氏のおすすめの作品を10選ご紹介させていただきますので、お楽しみください。
《翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件》
京都近郊に建つ、ヨーロッパ中世の古城のような館で起きた惨劇の話です。
推理小説のあらゆる要素を目いっぱい詰め込んである話であり、誰もが悩む密室トリックも然ることながら、探偵を含めた人物描写が始終、不穏な空気を醸しだしています。
ここがポイント
今までの推理小説の概念を吹き飛ばすような、一味違う感覚を覚えてしまいます。
現実逃避できる面白さにハマる作品です。
《夏と冬の奏鳴曲(ソナタ)》
雪が降り積もった夏の朝、ミステリアスな孤島で首無し死体が発見される話です。
序盤は王道のミステリーと思わせておきながら、終盤になると様相がガラリと変わる展開になっていきます。
明かされない謎が散りばめられ、幻想小説のような体をなしていますが、本格ミステリーとしての枠を超えない絶妙なバランスを保っています。
ここがポイント
破滅的な爽快感に浸れる作品です。
《メルカトルと美袋のための殺人》
脱出不可能な密室殺人から、関係者全員にアリバイが成立する不可能犯罪等を描いた7編からなる短編集です。
全編のメインの事件で「メルカトルは何をしたか」が謎になっていて、ほかの探偵にはない、彼の魅力を際立たせています。
ここがポイント
精緻なのか煙に巻かれているだけなのか、分からなくなってくる酩酊感があります。
どの話もクセがあり、おすすめです。
《鴉》
弟の死の真相を探るため、地図にない異郷の村へ潜入する兄の話です。
人を襲う鴉の大群、殺人事件、村の絶対的存在の大鏡等、不吉に思えることが満載です。
ここがポイント
複数の伏線に全く気付くことができない、見事なミスリードとトリックは衝撃的です。
摩耶ワールドを堪能させてくれる作品です。
《螢》
京都、山間部の黒いレンガ屋敷、ファイアフライ館に肝試しに来た、オカルトスポット探検サークルの学生の話です。
惨劇の起こった館の背景に思いを馳せ、肝試しに興じる学生たちであったが、第一の殺人が起き、降り続く雨の影響で、館に閉じ込められてしまうはめとなってしまいます。
犯人の解明に期待が高ぶる中、ラストで次々に明かされる真相には何度も驚かされます。
ここがポイント
王道な展開であるのですが、思いもよらない仕掛けがある作品です。
《神様ゲーム》
連続猫殺し事件を巡り、謎の転校生の小学4年の少年が犯人を瞬時に言い当てる話です。
自称「神様」という謎の転校生の言うとおりに物事は進んでいきますが、果たして本当にそうなのでしょうか。
神様を信じるか否かで、物語の捉え方が変わってしまいますが、天誅を通して真実を想像するしかないのです。
ここがポイント
意外な犯人、意外な結末の作品です。
《隻眼の少女》
自殺する場所を探していた、大学生の青年が山深き寒村で少女の首切り事件に巻き込まれる話です。
話は2部構成になっていて、第1部の事件が、第2部の18年後の事件にそのまま結びついています。
代々伝わる生き神様伝説、三つ子の女の子たちが犠牲となる連続殺人事件等、まるで横溝正史の世界を彷彿してしまいます。
ここがポイント
悲劇は繰り返されると思ってしまう作品です。
《貴族探偵対女探偵》
精緻なトリックと、どんでん返しに満ちた話を収録した、5編からなる連作短編集です。
探偵としてのプライドを持ち、事件に立ち向かう女探偵がことごとく、貴族探偵の使用人の推理に負けてしまいます。
ここがポイント
話の中には破壊力抜群の仕掛けも用意されていて、かなり楽しむことができます。
結果的には貴族探偵の方が二枚も三枚も上という、痛快作品です。
《さよなら神様》
自称神様である、少年が冒頭に、犯人が誰であるかを明かす6編からなる短編集です。
どの話もハッピーエンドで終わるはずもない、ブラックな話であり、強烈に心に迫ってきます。
大変読みやすく、サプライズも多く仕掛けられていて、かなり楽しめます。
ここがポイント
ラストの破壊力が凄まじい作品です。
《友達以上探偵未満》
女子高生名探偵の桃青コンビが殺人事件に巻き込まれる3編からなる連作短編集です。
ここがポイント
3話の殺人事件は、それぞれ問題編と解決編分かれていて、本格ミステリーが楽しめます。
性格が真逆な二人、スボラと繊細、大胆と慎重が相まって、見事なコンビプレイを演じていきます。
摩耶氏にとっては真っ当なミステリーであり、初心者にもとっつき易い作品です。
まとめ
独特の世界観を持った、麻耶雄嵩氏の作品はいかがでしたでしょうか。
まだ、読んでいない作品がありましたら、是非この機会に読んでみてください。
摩耶氏の素晴らしい世界が堪能できると思います。