優しさが感じられる、宮下奈都氏のおすすめ作品11選をご紹介させていただきます。
2004年、3人目の子供がおなかにいるときに執筆した、「静かな雨」という作品で第98回文學界新人賞佳作に入選して、小説家デビューを果たします。
その後も各文学賞を受賞したり、候補になったりと、目覚ましい活躍を続けています。
宮下奈都おすすめ11選をご紹介~自分の中の可能性を広げる~
自分が最初の読者なのだから、自分が読んで面白いもの、書く喜びを感じられるものを書いていくことが、自分の使命であるそうです。
また、楽しみながら書くことで、待ってくれている読者の方々にも喜んでいただける作品になると思って、書いているそうです。
そんな宮下奈都氏のおすすめの作品11選をご紹介いたしますので、お楽しみください。
1、《スコーレNO.4》
三姉妹の長女として生まれた女性の中学生時代から社会人までの、悩み苦しみながらも、成長する姿をを描いた話になります。
生真面目で自分に自信を持てない主人公が、いろいろな人に出会い、葛藤することで、自分自身を見つけていくのです。
ここがポイント
歳を重ねていく毎に、変化していく主人公の心情が事細かに描かれていて、心に沁みこんできます。
まさしく自分を応援したくなるような作品です。
2、《遠くの声に耳を澄ませて》
人生の岐路に立つ人をポジティブな気分にしてくれる、12編からなる連作短編集です。
「旅」が共通のテーマであり、様々なシチュエーションで、それぞれの主人公が微妙に重なり合っていきます。
ここがポイント
たくさんの人間が、たくさんの悩みや苦しみを抱え、小さなことに喜び、時には絶望して存在しているのです。
キュンとなる気分の作品です。
3、《よろこびの歌》
悩みや不安を持つ女子高生たちが、合唱を通じて、影響し合い、成長していく姿を描いた7編からなる連作短編集です。
新設の女子高が舞台となっていて、いろいろな思いで通っている、生徒たちの視点で描かれています。
ここがポイント
主観と客観が同居していて、ある時「脇役」だった人物が、自分を語るという手法はとても面白く楽しめます。
女子高生たちのキラキラした高校生活が、目に浮かぶ作品です。
4、《誰かが足りない》
偶然にも、同じ時間に人気レストランの客となった人たちのエピソードや決心を綴った、6編からなる連作短編集です。
店内のテーブルについている人の向かい側には誰もいなくて、誰かが足りないのです。
ここがポイント
6人それぞれが、報われなかったり、虐げられたりと、悲しい気持ちを持っていますが、美味しい料理を食べることで、気分が変わって、幸せな方向へ踏み出せることができるのではないかと、思わせてくれます。
重みのある優しさが感じられる作品です。
5、《窓の向こうのガーシュウィン》
未熟児として生まれ、大人になるまで周りに溶け込むこともできずに、生きてきた女性の話です。
そんな彼女がある家族と出会い、少しずつ変わっていくのです。
言葉をうまく捉えられない、彼女の独特な表現が、ユニークであるけれども、きちんと心に響かせてくれます。
ここがポイント
心が洗われるような穏やかな気持ちにさせてくれる作品です。
6、《終わらない歌》
「よろこびの歌」の3年後を描いた作品であり、女子高生たちが二十歳になり、成長している姿が描かれた6編からなる連作短編集です。
みんなが順風満帆というわけではなく、それぞれが想い悩んでいる姿が綴られています。
ここがポイント
それぞれ、挫折感を味わいながらも、音楽をきっかけに力を取り戻し、前を向いて進んでいきます。
温かいメッセージが伝わってくるような作品です。
7、《ふたつのしるし》
男女二人の幼少期から、運命的に出会うまでを綴った、6編からなる連作短編集です。
遥名と温之という二人のハルの物語であり、遥名は美人で頭もいいのだけれど、クラスでは目立たないようにしていて、もう一方の温之は落ちこぼれで、勉強もできないし、運動もダメなのです。
ここがポイント
そしてそんな、全く違う人生を歩んできた二人が奇跡的に出会い、やがて惹かれ合うようになっていくのです。
運命を感じてしまう作品です。
8、《たった、それだけ》
贈賄の罪が発覚し、浮気相手や家族を捨てて、逃げることになった男を綴った6編からなる連作短編集です。
ここがポイント
一つの失踪事件を中心にして、様々な人の心の動きが描かれています。
贈賄はあくまでもきっかけであり、着地点は明確ではないのですが、彼を取り巻く人たちの心の穴を埋めています。
秀逸なタイトルに乾杯してしまう作品です。
9、《羊と鋼の森》
ピアノの調律師という、地味ながらも、一筋縄ではいかない仕事を選んだ青年が、成長していく姿を描いた話です。
様々な人と接しながら、青年が自分自身の仕事に対して、真摯に向き合う姿がとても印象的です。
ここがポイント
それにも増して、登場人物達の個性豊かで、とても優しい振る舞いに感激してしまいます。
ピアノの音が、心地よく流れているような作品です。
10、《静かな雨》
新しい記憶を留めておくことができない女性と、その傍で生きる男性の話です。
交通事故に巻き込まれた後遺症で、記憶が一日しか留められなくなってしまった、こよみ。
記憶がなくなりつつも、行助と手を取り合って暮らしていく日常をしっとりと、優しく描いています。
ここがポイント
素敵な生きざまに乾杯したくなる作品です。
11、《つぼみ》
優しい読み心地で癒される、6編からなる短編集です。
「スコーレNO.4」のスピンオフ作品が3編含まれていて、どの話も心を落ち着かせてくれます。
ここがポイント
優しくて抑え気味の世界がスーッと脳裏に入り込んでくるようで、温かさが込められています。
日常の小さなことに幸せを感じてしまう作品です。
まとめ
宮下奈都氏の作品のご紹介は、お楽しみいただけましたでしょうか。
まだ読んでいない作品がありましたら、是非この機会に読んでみてください。
穏やかな気持ちになると思います。