人間同士の関係を描く、あさのあつこ氏のおすすめ作品、13選をご紹介させていただきます。
大学卒業後、地元の岡山で2年間、小学校の臨時教諭を務めた後、歯科医師と結婚して家庭に入りますが、自由時間に書いた「ほたる館物語」が認められ、37歳で作家デビューを果たします。
1997年、代表作でもある「バッテリー」で野間児童文学賞を受賞し、幅広い世代の支持を得ることとなります。
あさのあつこ作品おすすめ13選をご紹介~自分の中にいる人を描く~
小説家になるために必要なこととは、たくさん読んで、たくさん書くこと、それと人に対する興味を持ち続けることだそうです。
作風としては、野球を題材にした作品を多く発表していますが、本人は野球経験が全くないそうです。
ただスポーツを通して、成り立つ人間同士の関係を描いているとのことです。
そんな、あさのあつこ氏のおすすめの作品13選をご紹介させていただきますのでお楽しみください。
1、『バッテリー』
中学校入学を目前に控えた少年が、父親の転勤で引越しをした先で、好きな野球を通じて成長していく話です。
投手としての才能とプライドを持った少年が、引越し先の野球少年たちとの出会いにより、少年の心の中の何かが変わっていくのです。
ここがポイント
少年の野球に対するストイックな姿勢に感心し、垣間見える、まだまだ子供っぽい仕草に心が和んでしまいます。
思春期を思い出してしまう、もどかしくも、懐かしくなる作品です。
2、『十二の嘘と十二の真実』
どこかの国の后(きさき)と侍女の話、そして現代日本の女性の一人称語りが交わる話になります。
タイトル通りに12の話が2つの視点(嘘と真実)から、語られて24の話が構成されていきます。
ここがポイント
人間の暗部を象徴しているかのような、何ともやりきれない破滅的な話の連続です。
読後感は悪いのですが、何故か楽しめる作品です。
3、『末ながく、お幸せに』
結婚式を舞台にした、新郎新婦を取り巻く連作短編のような話です。
新郎新婦を取り巻く人たちのスピーチや、心の内側から少しづつですが、その人達の真実が見えてきます。
ここがポイント
人にはそれぞれのドラマがあり、嬉しいことや、楽しいことばかりでなく、辛く悲しいことも携えながら生きているのです。
静かで柔らかな気持ちになれる作品です。
4、『グリーン・グリーン』
県立の農林高校で働きながら、成長していく女性新米教師の話です。
タイトルのグリーン・グリーンは主人公、翠川真緑(みどりかわみどり)の通称であり、生徒たちと本音でぶつかった1年間がおもしろ可笑しく描かれています。
ここがポイント
また農業高校ならではの希望とか、それに反する苦難などがとても分かりやすく、ユーモアも交えながら描かれているので、飽きることなく楽しめます。
心温まる、穏やかな気持ちにしてくれる作品です。
5、『なによりも大切なこと』
あさの氏の過去の作品群の中から、選りすぐりの一文を集めた名言集になります。
子供たちの心に響くような数々の言葉は、苦境を乗り越えたい、子供たちに勇気や希望を与えるように思います。
ふとした瞬間に考えたこととか、友達との何気ない会話の中で感じたものとかが、実に巧く書き綴られています。
ここがポイント
思春期の子供たちだけでなく、その子供たちの親にも読んでもらいたい作品です。
6、『弥勒の月』
弥勒シリーズ第一弾で、小間物問屋の若女将の水死体が発見され、そのことに違和感を抱いた同心が真実を探っていく話です。
ひたひたと闇が近づいてくるような恐ろしさと、何かに陥れられるような描写が、恐ろしさをさらに深めていきます。
ここがポイント
そして人間が持っている、心の闇が垣間見える瞬間が、幾度か現れてゾクッとしてしまいます。
闇に引きずり込まれてしまいそうな作品です。
7、『夜叉桜』
弥勒シリーズ第二弾で、江戸の町で次々に殺された女の頭には、同じ店の簪(かんざし)が挿してあったところから始まる話です。
前作、「弥勒の月」のような重苦しい雰囲気はあまりなく、江戸に生きる人たちの姿が細やかに描かれています。
ここがポイント
時代小説としてのテクニックや表現が素晴らしく、探偵ものとしての読みごたえも十分にあります。
人間が持っている心の闇が解る作品です。
8、『花宴』
武家の女性の生き様を如実に描いた、切なすぎる話になります。
体面を重んじる武家社会にありながら、夫以外に忘れられない男性がいるというのは、あってはならないことなのです。
相手を激しく求める想いと、穏やかに寄り添う想いが描かれていて、この時代に生きた女性の覚悟が伺われます。
ここがポイント
武家の家庭に生まれた、女性の凛とした姿を描いた作品です。
9、『ラスト・イニング』
人気作品「バッテリー」の続編スピンオフ作品であり、その後のことが綴られた話になります。
少年から大人への成長の過程で遭遇する、心の葛藤などの内面が描かれています。
少年たちがそれぞれの人生を模索しながら、一生懸命に生きていく姿が感動を誘います。
ここがポイント
忘れてしまいそうな感動を思い出させてくれる作品です。
10、『The MANZAI』
漫才コンビを組む中学生の話です。
二人の会話がリズミカルでとても面白く、間合いも絶妙で読んでいて思わず笑ってしまいます。
ここがポイント
登場人物も丁寧に描かれているので、ストーリーの展開に引き込まれてしまいます。
青春と笑いを楽しめる至極の作品です。
11、『ガールズ・ブルー』
落ちこぼれ女子高生3人が、ささやかな日常を精一杯生きる話です。
勉強もできない、夢もない、彼氏もいない、でも、十代の時だから笑って過ごしていけたのです。
ここがポイント
毎日が魅力的で、あの時代に戻りたくなるような感慨になります。
思春期の感性が、味わえる作品です。
12、『NO.6♯1 』
2013年の理想都市「NO.6」を舞台にした、二人の少年の話になります。
エリートに生きてきた少年と、その闇の部分で生きてきた少年の二人が交錯しながらも、ある真実に近づいているかのような展開でストーリーは進んでいきます。
次に何が起こるのか、楽しみで、わくわくドキドキしてしまいます。
ここがポイント
もうすでに2013年は過ぎ去っていますが、独特の世界観が味わえる作品です。
13、『グラウンドの空』
田舎の中学生たちが野球を通して、繋がっていく話です。
思春期の少年たちが抱える悩みや葛藤が、リアルに描かれています。
ここがポイント
可能性が無限にある十代にワクワクしながら、楽しめる未知の世界を垣間見たような感覚になります。
確かに、グッとくる作品です。
まとめ
あさのあつこ氏の作品のご紹介は、お楽しみいただけましたでしょうか。
多彩なジャンルを満喫して、楽しんでいただけと思います。
まだ読んでいない作品がありましたら是非この機会に読んでみてください。
読書の楽しみが広がりますよ。