ドキドキ感が味わえる、新津きよみ氏のおすすめ作品11選をご紹介させていただきます。
大学卒業後、一般企業に勤めながら創作活動を続け、1988年「両面テープのお嬢さん」という作品で小説家デビューを果たします。
女性心理をリアルに描くことで大変人気があり、日常にある事柄を題材にしたミステリー、サスペンス、ホラー作品を数多く発表しています。
新津きよみのおすすめ11選をご紹介~女性の心理をリアルに描く~
日常の中での非日常なこと、例えば事件とか事故とかに遭遇した時の人間の心の揺れ動く姿を描いていきたいとのことのようです。
また「人間は一生懸命に心のバランスを取って生きている」というのが新津氏の持論であり、それがマイナスに傾いた時の怖さも書きたいとの事です。
そんな新津きよみ氏のおすすめ作品を刊行順に11選ご紹介しますのでどうぞ楽しんでください。
1、《階上に住む女》
二世帯住宅の1階と2階に分かれて住むこととなった、赤の他人の二組の夫婦の話です。
ここがポイント
全くタイプの違う二人の女性の間に、やがて些細なことから、亀裂が生じ始めていくのです。
この二人がマウントを取り合いながら、お互いを比べあって、変な満足感をむき出しにしていく展開になります。
普通ではない怖さが加速していき、女同士の怖さをイヤっていうほど楽しめる作品です。
2、《女友達》
インテリアコーディネーターとして働く、一人暮らしの千鶴が、隣人で同い年の亮子と知り合うところから話は始まります。
容姿、収入、性格が異なる二人が、友達として段々と距離を縮めていきます。
ここがポイント
しかし、育み始めた友情は次第に羨望、嫉妬、虚栄、侮辱、憎悪といった感情の渦に飲み込まれていくのです。
新津氏の女性ならではの感性の筆致により、これぞサスペンスという体で物語は展開していきます。
異様なドキドキ感が味わえる、作品に仕上がっています。
3、《捜さないで》
無神経な家族全員に嫌気がさした主婦が、「捜さないで」と書置きを残し、留守の友人宅へ家出をする話です。
しかしその友人宅で事件に巻き込まれてしまい、思いもよらない方向へとストーリーは展開していくのです。
ここがポイント
専業主婦の焦燥感がうまく描かれていて、場面が変わると人格が変わってしまうという設定も面白く楽しめます。
主人公の主婦の性格の意外性に、唖然としてしまう作品です。
4、《同窓生》
同窓会に出席した史子が、誰もが覚えている、学生時代の「鈴木友子」を自分だけ覚えていないことに不安と恐怖を感じてしまう話です。
正体不明の何者かが近づいてくる恐怖、どうでもいいことをずっと根に持ち続け、恐怖に慄いていく女の姿があります。
ここがポイント
ミステリーとサスペンスを巧みに織り交ぜながら、きっちりとホラー的要素も盛り込んだストーリー展開は流石です。
女同士の陰湿な戦いほど、怖いものはないですね。
5、《ママの友達》
30年前、中学時代に友達4人で回していた交換日記が突然、差出人不明のまま主婦の典子に送られてくる話です。
そして送られてきた直後、4人のリーダー格であった長谷川淳子が、殺されたというニュースが飛び込んでくるのです。
残った3人の現状は、シングルマザーやモラハラに悩んだり、娘の不登校とそれぞれの問題をかかえている主婦たち。
ここがポイント
40代になった女性のそれぞれの問題を、サスペンスタッチで描いていて、現実というものをもう一度振り返らせてくれる作品です。
6、《トライアングル》
小学4年生の時に誘拐され、殺された同級生の女の子、その後その事件は解決せず時効を迎えてしまう話です。
医師となった同級生の郷田は、事件から15年経ち、時効が成立したのを機に、何故か医師を辞め、刑事となってこの事件を追い続けることを決意したのです。
そして、それに関わりのあった周りの人々が、その事件に徐々に翻弄されていくのです。
ここがポイント
犯人捜しというよりも事件を取り巻く周りの出来事で、ストーリーは展開していきます。
事件が及ぼしたその後の影響とか、心理状態にスポットをあてた作品です。
7、《彼女の命日》
死んだ葉子は残された家族のことが気にかかり、毎年くる命日の一日だけ、他人の身体を借りて蘇る話です。
葉子は帰宅途中に、何者かに胸を刃物で刺されて、殺されてしまったのです。
生きていた時、知りたくない、見たくないことまでも分かってしまう辛さは、葉子の耐え難い思いになってしまっていたのです。
ここがポイント
生きている時とは全く違う感覚で、物事を捉えらてしまう恐怖が、襲いかかってくるのです。
そして彼女の自宅で待っていたものとは・・・。
8、《巻きぞえ》
日常に普通に起きる出来事が、その後の人生に、何らかの影響を及ぼしてしまうような内容が綴られた7編からなる短編集です。
ここがポイント
なんとなく過ごす日常にも、突然起こりえることや、少しのきっかけが、大きなことに発展してしまうことってあるのです。
短編集なのでスキマ時間にさらーっと読めるのですが、ゾクッとする感覚が何とも言えず後を引いてしまいます。
全体的に、本当に起こってしまうのではないかと思える作品です。
9、《ふたたびの加奈子》
交通事故で亡くなった5歳の娘の魂が、妊娠三か月の他の妊婦の身体に入り、生まれ変わる輪廻転生の話です。
そして、新たに生まれた子供は、亡くなる前の娘の記憶を持っていたのです。
我が子を失った悲しみから立ち直ることができない元の母親は、狂ったように娘の姿を追い求めていきます。
ここがポイント
子を慕う母親の気持ちが、真に伝わってくる作品です。
10、《夫以外》
結婚を機に、そこから派生する、夫以外の親族関係を取り上げた6編からなる短編集です。
結婚生活が現実となり、次第に見えてくる日常の様々な問題が浮き彫りにされていきます。
ここがポイント
どの話も冒頭から興味をそそる書き出しなのに、全く展開が読めなくて、予想外の結末にたどり着いてしまいます。
現実にありそうな話だから、面白いほど怖くなってしまいます。
11、《シェアメイト》
女性と住まいをテーマにした、6編からなる短編集です。
新津氏らしく、ホラー要素とイヤミス感を含んだお得意の内容となっています。
ここがポイント
普通の日常を過ごしていてもほんの些細なことで、恐怖が身近になってしまうことがあるのです。
さらーっと読めるのに後味が苦い作品です。
まとめ
新津きよみ氏の作品のご紹介は、お楽しみ頂けましたでしょうか。
まだ読んでいない作品がありましたら、是非この機会に読んでみてください。
何気ない日常に気を付けて、読書ライフを満喫してください。