内田康夫作品、今では主流となった『浅見光彦シリーズ』は浅見光彦の活躍で47都道府県を網羅しております。
今回はその中でも東海地方に限定させていただき地域色たっぷりの作品についてご紹介をかねて進行していこうと思います。
地域限定!「浅見光彦シリーズ」東海地方で事件解決に挑む3作品
自分が生まれ育った街、住み始めて長い年月が経った街、いろいろな思い出、人との出会い別れがある街は人それぞれの感慨があるに違いありません。
学生時代、友と歩いた通学路、部活で通った学校、恋人とデートした思い出の公園等印象に残る場所があります。
作品に出てくる固有名詞に懐かしく思う方や現在、居住されている方なら「あっ、あの場所か」と思うことでしょう。
東海地方限定の3作品をご紹介がてら私なりの感想等も交えて語らせていただきたいと思います。
作品①三州吉良殺人事件(愛知)
三州と言えば瓦で有名で日本の瓦の三大産地(三州、石州、淡路)のひとつとして知られています。
今では瓦葺の屋根はかなり減少していますが、京都や奈良の神社・仏閣はやはり瓦葺です。
事件はその三州で発生します。
リゾート開発計画にからむ殺人事件、地元では有名な伊良湖岬、三ヶ根山の殉国七士の墓(東條英機他6名のA級戦犯が祀られているお墓)などが舞台です。
殺人トリックが絶妙で読み応えのある作品なのでトリックがお好きな方には絶対おすすめです。
また、いつも母に叱られている光彦なのですが、今回は何と作品の冒頭で賢兄の浅見陽一郎警察庁刑事局長が母に叱責される場面があります。
『浅見光彦シリーズ』のなかでは本当にレアなことです。
作品②美濃路殺人事件(岐阜)
事件の発端は愛知県の明治村で発見される死体、その傍らに血染めの回数券が、そこから光彦の事件捜査の始まりです。
宗祇水・郡上八幡城・ 郡上八幡の安養寺などキーワードをヒントに旅情ミステリーがはじまります。
岐阜県は海がない県ですが自然がたっぷりあり、スキー場などもたくさんあるので、お隣の愛知県の名古屋などからもたくさんのスキー客が訪れたり、
合掌造り家屋で有名な白川郷・五箇山などもあります。
流石に冬の寒さは厳しいのですが、昔からの寒さしのぎの工夫もされており、昔からある、ねこという半天は、背中を暖かく保持するものであり風邪などの予防になります。
結局、事件はすっきりした形では終結しないのですが岐阜県の自然を想像しながら作品に接してみてはいかがでしょうか。
作品③志摩半島殺人事件(三重)
三重県志摩市は2016年にサミットが開催され、海の幸が豊富で的矢湾の牡蠣、伊勢海老等が全国的に知られています。
また、真珠の養殖も盛んでミキモトパールで有名な御木本幸吉が作った御木本真珠島もあり、テレビドラマや映画の撮影地としても頻繁に紹介されています。
事件はこの風光明媚な志摩の地で発生します。
元ヤクザで小説家の袴田啓二郎(土平ドンペイ)の殺害事件、海女の取材で接した夏海から「こんなことなら、取材に応じるのではなかった」という抗議の手紙などから事件の核心に迫っていきます。
伊勢神宮を参拝がてら少し足を伸ばして志摩半島一周ドライブをしてこの作品『志摩半島殺人事件』に登場する安乗の灯台なども見てはいかがでしょうか。
まとめ
今回は東海地方の愛知・三重・岐阜の『浅見光彦シリーズ』の事件を追ってみました。
日本全国にまたがる浅見光彦の旅情ミステリーはまだまだ紹介したいものがたくさんあります。
かなり昔になるのですが「日本再発見」という言葉がブームになりました。
今や海外旅行に行く人が増えていますが、もう一度日本を再発見してみると新しい何かに出会えるかもしれません。