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佐藤多佳子おすすめ10選をご紹介~自分の世界を創造する楽しさ~

巧妙な構成で読者を引き込む、佐藤多佳子氏のおすすめの作品10選をご紹介させていただきます。

青山学院大学卒業後、一旦、就職するのですが、会社勤めが性に合わず、退社し、両親に1年間の猶予を貰って、さまざまな文学賞に応募しまくります。

その結果、1989年、「サマータイム」という作品が、第10回月間MOE童話大賞を受賞し、それが転機となり、作家デビューを果します。

1998年には、「しゃべれどもしゃべれども」という作品で、吉川英治文学新人賞、山本周五郎賞の候補になります。

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佐藤多佳子おすすめ10選をご紹介~自分の世界を創造する楽しさ~

2007年に、「一瞬の風になれ」という作品が、第4回の本屋大賞と、第28回吉川英治文学新人賞を受賞します。

2017年には、金沢八景を舞台にした「明るい夜に出かけて」で、第30回の山本周五郎賞を受賞します。

また、プロ野球横浜DeNAベイスターズの40年来の大ファンであり、2020年には「いつの空にも星が出ていた」という、ベイスターズを愛してやまない人々の作品を描いています。

そんな佐藤多佳子氏のおすすめの作品10選をご紹介させていただきますので、お楽しみください。

1、『サマータイム』

小学5年生の進、癇癪持ちの姉の佳奈、そして同じ団地に住む左腕を失った広一たちの交流を描いた、4編が収録された物語です。

進と姉の佳奈、どしゃ降りの雨のプールで出会った広一との間には、互いに心の深い部分で、共鳴するような不思議な繋がりがあったのです。

ここがポイント

子どもと大人の境界線にいる彼らが、夏の日の出会いを切っ掛けに、すこしずつ成長していくのです。

強烈な日差し、青緑の海色のゼリー、片腕で奏でられるピアノのメロディー等、美しい描写が五感を刺激してくれます。

他者や世界に触れることは、不安や痛みを伴いますが、そのすべてを内包した人は、それでも歩んでいけるのです。

読後もサマータイムの音色が響いているような感じで、眩い夏のとある一日を詰め込んだ宝箱のような作品です。

新潮社
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2、『黄色い目の魚』

不器用だけど、本当は強くて、どこまでも真っすぐなみのりと、彼女の絵を描くことでその魅力に、気付き惹かれていく木島の話です。

みのりと木島の青春の1ページであり、もどかしさと、じれったさが、ひしひしと伝わってきます。

好きとか嫌いだけでなく、本当にいろんな感情が、ギュッと詰まっているのです。

大人も子供も不器用で、ぶつかり合う場面が多く、辛くなってしまいますが、その後の心の変化の描写が絶妙であり、痛みを感じることで、人を受け入れられることが分かります。

ここがポイント

少しずつですが、嫌いより好きが多くなり、恋愛作品なのに、全然ふわふわしていない雰囲気に酔いしれてしまう作品です。

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3、『しゃべれども しゃべれども』

下は小学生から、上は引退した野球選手まで、上手く会話ができない悩みを抱えた人々が、若手落語家の今昔亭三つ葉に話し方を習う話です。

今昔亭三つ葉は、今ひとつ伸び悩んでいる二つ目の落語家であり、そんな彼のところへ落語指南を希望してやって来たのは、吃音で悩むテニス・インストラクター、人との会話を拒否してしまう美女、関西弁の為、クラスでイジメに遭うという小学生、野球中継の解説で、口ごもる元プロ野球選手だったのです。

ここがポイント

三つ葉と4人の弟子たちのキャラクターが鮮やかであり、彼らと交流していく中で、それぞれ苦手を克服していく様子は、じっくり熟成された人情噺のようで、その並々ならぬ上達に平伏してしまいます。

読後の余韻も清々しい作品です。

4、『神様がくれた指』

ひょんなことから出会った、出所したばかりの天才スリ師の辻と、ギャンブル好きでタロット占い師の昼間が、奇妙な事件に巻き込まれる話です。

服役を終えたばかりのスリ師の辻は、出所したその日に、電車内で高校生らしき集団のスリ現場を目撃し、そのうちの一人を追跡するも、利き腕に負傷させられてしまうのです。

傷ついた辻を女装のタロット占い師の昼間が、助けたことから、二人の奇妙な共同生活が始まっていきます。

ここがポイント

徐々に変わっていく彼らの関係性の面白さや、終盤での高校生スリ集団との息詰まる対決など、盛りだくさんで楽しめます。

登場人物が魅力的な作品です。

5、『一瞬の風になれ 第一部ーイチニツイテー』

サッカーの才能のある兄と比べられ、サッカーを楽しめなくなった新二と、才能がありながら中学の陸上部を辞めた連が、同じ高校の陸上部に入って成長する物語です。

ここがポイント

兄の側では、自分のサッカーを認めることが出来なかった新二は、同じく才能のある連の側では、自然でいられることに気付き、陸上への情熱をそそぎ始めていくのです。

エネルギッシュなスポーツマンの視点らしく、リズミカルな文体で読みやすく、努力が報われるスポーツ根性ものかと思いきや、それが報われない悔しさや葛藤もあったりして、なかなか、楽しめます。

また悔しさにもがきながらも、主人公の新二が前向きなので、何でもできそうな気がしてしまうというか、可能性が広がっていくような感じもして、ワクワク感が堪らない作品です。

6、『一瞬の風になれ 第二部ーヨウイー』

高校二年生になった新二は、信頼していた先輩たちが引退していく中、部長となり、真剣に貪欲に競技に向き合っていく展開になります。

スプリンターとして、切磋琢磨する中でも、ライバルとの小さくも大きな差が、なかなか詰められないでいたのです。

そんな時、信頼する兄に大きな災難が降りかかってしまうのです。

ここがポイント

憔悴しきった中、もう一度前を向かせてくれたのは、まぎれもなく、走る姿だったのです。

今作は陸上以外の場面も充実した感があり、試合を通じて、選手としても人間としても生長していく構成に、厚みを持たせた作品です。

7、『一瞬の風になれ 第三部ードンー』

新二も高校3年になり、問題児の後輩に悩まされながらも、最強メンバーで、県、南関東大会、インターハイへと高校生活の全てをかけて、勝負していきます。

懊悩や挫折を乗り越えて、素晴らしいスプリンターになった新二に、胸が熱くなってしまいます。

競技においては、ランナーはどこまでも孤独で、身体的限界とプレッシャーと戦いながら、理想の走りを求め続けるのです。

同時にリレーでのバトン渡しや、部活での後輩指導など、仲間やコーチ・先輩から受け継いで、育てたものの大きさも実感させられます。

ここがポイント

個人とチームのバランス、そしてその中での登場人物の想いと、成長が巧妙に描かれた作品です。

8、『夏から夏へ』

2007年世界陸上大阪大会でのアジア新記録、2008年北京オリンピックでの銅(のちに銀)メダルを獲得した4×100mリレーメンバーの日本代表チームに密着したノンフィクションになります。

100分の1秒を縮める為に、身体を限界まで追い込む選手たち、でも日常は普通の若者達だったのです。

塚原選手、末續選手、高平選手の”朝原さんのために゛という思い、リザーブメンバーである小島選手の思い、そしてそれに対する朝原選手の「小島の想いを忘れてはダメだ」と語る姿、みんなカッコよくて、素晴らしく、胸が詰まる想いになります。

ここがポイント

関係者の証言も交えながら、語られるチーム4人のそれぞれが、生きてきた道を踏まえることで、実際のレースの感動を数倍にしてくれる作品です。

9、『明るい夜に出かけて』

自身の接触恐怖症や、それに関連したトラウマのせいで、富山は大学を休学し、実家も離れ、人には言えない葛藤をかかえた臆病な自分が、唯一、心の拠り所としているラジオを通して、少しずつ生き方を取り戻していく話です。

引きこもりを恐れ、コンビニでバイトを始めた富山は、深夜ラジオだけを楽しみに生きていきます。

偶然リスナーのハガキ職人と出会い、少しずつですが、気持ちが緩み始め、繊細な若者たちの抱える憂いと、ラジオ番組で繋がる絆が上手くマッチし、相乗効果が生まれていくのです。

また、バイト先の先輩や、偶然出会ったリスナーの女子高生や高校の同級生が、殻に閉じこもり気味だった富山を何気に気遣ってくれ、少しずつですが、傷も癒され、前を向けるような環境も整っていくのです。

ここがポイント

心の傷でうまく生きられなくても、出逢いで変わることもあるし、好きなものがあることで、可能性も広がると思える作品です。

10、『いつの空にも星が出ていた』

横浜ベイスターズを愛してやまない人々の物語が綴られた、4編からなる短編集です。

舞台となる時代は、1998年、2010年、2017年であり、その時々によってベイスターズは、とても強かったり、とても弱かったりしました。

ここがポイント

読み進めるうちに、ストーリー展開の巧みさで、どの話も物語の中へ引き込まれてしまい、ファンでなくても、かなり楽しむことができます。

この物語に登場する人は皆、ベイスターズの試合に一喜一憂しながら、上手くいかなかったり、大変な日々を過ごしていたことが分かります。

愛すべき横浜のプロ野球チームと、そのチームと共に生活を送る、横浜の人たちへの筆者の温かいまなざしと、筆致が感じられる素敵な作品です。

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まとめ

佐藤多佳子氏の作品のご紹介は、お楽しみいただけましたでしょうか。

まだ読んでいない作品がありましたら、この機会に是非、読んでみてください。

読書の楽しみが広がりますよ。

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